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「有酸素運動の強度と効能」②

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掲載日:2017.09.04
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー)

前回は「有酸素運動の強度と効能」の1.有酸素系トレーニング(L1)、2.LT系トレーニング(L2)について書きました。現場でも多くの反響をいただきありがとうございます(^^)今回はその続きの3.AT系トレーニング(L3)4.無酸素系トレーニング(L4)と総括になります。

①有酸素運動の強度
有酸素運動のトレーニング強度は、心拍数を基準として下記の4つに分類します。

1. 有酸素系トレーニング(L1)(最大心拍数の70%以下)
2. LT系トレーニング(L2)(最大心拍数の70~85%)
3. AT系トレーニング(L3)(最大心拍数の85~90%)
4. 無酸素系トレーニング(L4)(最大心拍数の90~100%)

この4つのレベルを選んで、周期的プログラムを組みトレーニングしていきます。

AT系トレーニング(L3)

これは最大心拍数の85〜90%の強度で行うトレーニングで、体感的には「きついけど5分以上は頑張れるトレーニング」です。このレベルからは高強度のトレーニングになります。下記のような効能があります。

• スピード&持久力をつける
• 乳酸代謝能力の向上
• 最大酸素摂取量のUP

になります。主にスピードをつける為のトレーニングになります。当然体への負担も大きくなり、回復にも約24~48時間かかると言われています。このレベルのトレーニングは疲労が残りやすくケガやオーバートレーニングのリスクも高まります。毎日やるのはNGです。

ですので、成績をアップさせるトレーニングですが、全体のトレーニングの中では1〜1.5割程度に比率になります。これ以上増やすことは危険だと考えてください。

また、L1とL2でしっかりと土台を作っていない場合、L3は取り組むべきではありません。ただ、短期間でスピードがつくので、「もっとやれば早くなるのでは」と思いますが、強度が高い運動ほど、回復も考えたプログラムが大事になります。

※ATとは Anaerobic Threshold(無酸素性作業閾値)の略で議論がいろいろとありますが、LTより高い乳酸濃度の度合いを指します。有酸素運動と無酸素運動の境目と意味し、この強度を越えると無酸素運動となり短時間でバテて動けなくなります。

ここでのATトレーニングは、「有酸素運動から無酸素運動に変わるレベルを把握し、そのレベル付近でトレーニング」という意味で使っています。


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無酸素系トレーニング(L4)

最大心拍数の90〜100%の強度でおこなうきついトレーニングで、3分ももたないレベルの強度になります。スプリントトレーニングや全力ダッシュのようなトレーニングになります。下記のような効能があります。

• スピード・パワーのUP
• 最大酸素摂取量のUP
• 乳酸代謝能力の向上
• 素早い動作の習得
• 成長ホルモン分泌の増大

体への負担が非常に大きく、完全に回復するには48〜72時間かかると言われています。基本的に心拍数が高過ぎるので、初心者の有酸素運動ではあまり行われる事はありませんが、HIIT(高強度インターバルトレーニング)のような、「1分ダッシュ→1分ウォーキング→1分ダッシュ」のようなプログラムでは、このL4までの強度で運動が行われたりします。身体が出来てるトレーニーでも、全体の有酸素運動プログラムでも5%程度の量にしておくのがよいと思います。

• ランニングなら100mダッシュ
• エアロバイク・クロストレーナーなら40秒〜60秒程度のスプリント
• 階段を一気に駆け上がり、下りは歩いて戻る

といった練習で、神経系を強化する、ハイスピードトレーニングという感覚です。

トレーニングに身体が適応してくると分かるのですが、L1・L2レベルのトレーニングばかりしていると、身体の瞬発力が落ち、神経が速い動きに対応できなくなります。瞬発力を要するアスリートは、L3、L4の運動をたまに取り入れることは重要です。

またL3~L4レベルの運動は、「運動後過剰酸素消費量」=EPOC(Excess Post-exercise Oxygen Consumption)を高めることができます。このEPOCが高まることは、安静時により体脂肪が燃えるようになります。

まとめ

L3、L4の運動は強度も高く、怪我やオーバートレーニングにも繋がりやすいので、長めにウォーミングアップを行うなど注意して取り組んでください。

L1、L2、L3、L4のプログラムの使い分けができると、持久力や脂肪燃焼が苦手だった方でも、格段に能力が向上するので、強度・時間・回復の管理をしてみてください。自身を客観視する為にも、運動時・安静時の心拍数の管理、パーソナルトレーナーの助言が大事になります(^^)
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝