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2013年日韓友好親善ボディビル 大会至れり尽くせりで韓国三昧

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.08.22
韓国のボディフィットネスの選手

韓国のボディフィットネスの選手

日韓の絆

 日刊友好親善大会が始まったのは、今から12年前の2001年。韓国側の申し出でスタートした。スタート時点での韓国の実力は、日本とほぼ同レベルか日本が少し勝っていた。当時の韓国連盟を仕切っていたホンさんが「韓国は20年前から日本を目標にがんばってきました。そのかいあって韓国ではボディビルがとても盛んになりました。しかしトップのレベルはまだまだです。一番近い国、日本とぜひ毎年友好大会を開きたいです。われわれは日本からたくさん学びたいと思っています」

 こうしてスタートし韓国のレベルはどんどん上がっていった。特に最近の男子重量級の充実度は目を見張るレベルだ。

 そんな中、韓国連盟の人事は04年ごろに大幅に揺れ動いた。8年ほど前ホンさんは選挙で負けて退いた。しかし日韓友好大会は続いた。そして、4年前ホンさんの返り咲き。さらに、今年の春の選挙。再びホンさんは選挙に負けた。いったい韓国連盟に何が起こっているのだろう?選手の友好親善とともに、長く続いてきたKBBFとJBBFの友好親善も大切だ。それを見極めに行こうということで珍しく玉利JBBF会長も韓国へ飛ぶことになった。
ミスターYMCA総合優勝のヘビー級の選手

ミスターYMCA総合優勝のヘビー級の選手

YMCA

 9月7日土曜日午後。羽田発のアシアナ航空で、われわれ日本チームはソウルに到着。羽田からたった2時間の空の旅だから、東京から沖縄へ飛ぶぐらいの感覚だ。とても近い。成田に行かなくてすむので気も楽。

 市内のホテルまで距離はたいしたことはないのだが、渋滞が激しい。片側4車線の道路が車で埋まっている。ホテルは2年前に来たときのような超豪華ホテルではないが、なかなか快適。KBBF事務局長のチャーリー・リムさんが我々を待っていてくれた。

 今回の大会は、ミスターYMCAという韓国で二番目に大切な大会に合わせて開催するという。日韓友好大会は試合ではなく、日本選手とYMCA大会の各クラス優勝者がパフォーマンスを披露し合あうという形式をとる。

 日本でもボディビルがスタートした60年前はYMCAが大きな役割を果たしてくれた。当時東京YMCAは大きな施設を持ち、東京唯一の温水プールやウェイトリフティングの試合もできるトレーニング場などを持っていた。YMCAのトレーニング場から当時多くのボディビル選手が育ったそうである。

 韓国ではYMCAの影響力はさらに大きく、現在でもKBBFをサポートする一大スポンサーであるとともに、多くのスポーツも支えている。韓国では日本で言う国体に合わせた大会が一番大きな大会で、YMCA大会は第二の大会として長い間韓国ボディビルのレベルアップに貢献してきた。

 大会は日曜日。一日休んで次の日、大会は大学の大きなホールで行われた。われわれが到着すると韓国YMCAの幹部が出迎えてくれて、玉利会長の昔話で大いに盛り上がった。
会場の大学講堂

会場の大学講堂

開会式で挨拶をする玉利会長

開会式で挨拶をする玉利会長

重量級ほど見栄えする韓国選手

 韓国の大会はすべてクラス別。国際大会がすべてクラス別だから、当然と言えば当然。逆に日本選手権が特殊なんだということが分かる。たった一人のミスターYMCAどう選出するのかというと、各クラスの優勝者が一堂に並んでオーバーオールの優勝者を決める。その優勝者がミスターYMCA。
韓国のヘビー級の選手。日本では選手層の薄いヘビー級も韓国ではレベルが高い

韓国のヘビー級の選手。日本では選手層の薄いヘビー級も韓国ではレベルが高い

 軽いクラスから戦いを見ていくと、それぞれのクラスで6名しか出てこない。前日に予選をやってそこで選ばれた6名だけの比較審査だ。しかもクラスが多いためか、フリーポーズは一切なし。ちなみにカテゴリーはいろいろある。高校生の部が3クラス。マスターズ2クラス。女子はボディビル2クラス。ボディフィットネス3クラス(フィットネスは無し)。男子は60㎏、65㎏、70㎏、75㎏、80㎏、85㎏、90㎏、100㎏、+ 100㎏の9クラス。それを一堂にやってしまうので、フリーポーズをやる時間がないのは当然だと思った。

 60㎏、65㎏は日本のほうがレベルが高い感じ。70㎏ぐらいから同じレベルか。80、85㎏になると高いレベルで選手がそろっている。みんな僅差だ。90㎏、100㎏あたりになると、日本では選手が少ないせいもあるが、日本のレベルを明らかに超えている。100㎏超級は同じ東洋人でこんなバルクがあるのかと驚くばかり。キムチパワーか? 焼肉パワーか?

 高校生のレベルは日本と比べてどっこい。ただし選手の数は多いようだ。マスターズは日本の勝ち。日本のマスターズの層の厚さとレベルは大したもんだと思った。

 女子はマッスルで日本の勝ち。ボディフィットネスは人気種目。選手の数も多いし、皆さんそこそこのレベル。ただし、全体に筋肉の発達度は低い。どちらかというと世界でいうビキニのレベルではないか? ただし見たことないので想像だが。
韓国のボディフィットネス優勝者。筋肉の発達度では日本選手に劣る

韓国のボディフィットネス優勝者。筋肉の発達度では日本選手に劣る

日本人登場

日本選手。左より辻田、衛藤、井上、石澤、重岡

日本選手。左より辻田、衛藤、井上、石澤、重岡

 各クラスの優勝者が決まったところで日韓友好親善大会となった。
ボディフィットネス。日本の衛藤(左)と韓国の選手

ボディフィットネス。日本の衛藤(左)と韓国の選手

 まずはボディフィットネス。日本からは衛藤選手。元ダイビングのインストラクターの彼女は、程よいマッスルと美しいプロポーションの持ち主だ。韓国の選手はいい感じで仕上がっているのだがポーズが不自然。世界のトップ選手に見られる上半身のそりがない。ボディフィットネスは、体そのものの発達やプロポーションも大切だが、姿勢がいかに大切かというのが見ていて伝わった。衛藤の勝利。ただし、試合ではないので勝ち負けなし。
女子ボディビル。日本の石澤(左から2人目)と韓国の選手

女子ボディビル。日本の石澤(左から2人目)と韓国の選手

 女子ボディビル49㎏級。韓国の選手は肩から腕のカットと筋肉の発達がすばらしい。しかし上半身のVシェイプが乏しい。私は男子も女子もまずボディビルダーとしての一番の基本はVシェイプだと思っている。いかに腕や肩がすばらしくても逆三角形が少ないとさびしい感じに見える。日本の石澤は圧倒的にVシェイプがきれいだった。全身のバルクも申し分ない。欲を言えば、カットはもっと鋭くしてほしかったが、ボディビルダー的な筋肉を全身にくまなく発達させた石澤の勝ちと見た。
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 男子は65㎏級に重岡。先のジャパンオープンで準優勝して最近伸び盛り。土曜日に「今回はバリバリに仕上がったので期待してください」と珍しく自信たっぷり。日曜日にホテルを出るときに「尻から大腿二頭筋が切れてます」というので触ってみると確かにすごい。

 ステージ上では、はっきり韓国選手に差をつけている。プロポーションのよさでは日本のこのクラスでは一歩ぬきんでているのではないか。そこに本人が言うようにすばらしい仕上がり。会場もどよめいていた。
男子80㎏級。日本の井上(左)と韓国の選手

男子80㎏級。日本の井上(左)と韓国の選手

 80㎏級には井上。ジャパンオープンで日本のトップビルダーの仲間入り。私はまだ彼の戦いぶりを見たことがない。しかしTシャツから覗く腕に只者ならぬものを感じた。しかし80㎏クラスは韓国で一番層が厚い。激戦のクラスを勝ち残った選手もすばらしい。その韓国選手と互角の感じを与えただけで、井上がいかに健闘したかが分かる。欲を言えば、もうちょっとカットがあれば韓国の選手にもっと差をつけることも可能だった。
男子85㎏級。日本の辻田(左)と韓国の選手

男子85㎏級。日本の辻田(左)と韓国の選手

 85㎏級には辻田。井上と同じ大阪出身。30歳代半ばからトレーニングを開始したという異色の選手。身長が180センチもあるので、細味かなと思ったがどうしてなかなかのバルクの持ち主。しかも全身くまなくバリバリ。坊主頭なので玉利会長は「彼を見ていると弁慶が暴れているみたいだ」と。確かにすごい迫力だ。レベルの高い韓国選手とくらべても互角だったということで、彼の頑張りが伝わってくる。

もうひとつの訪韓目的

 試合が終わった月曜日。選手たちはリム事務局長と通訳の女性とともに市内観光。ショッピングや観光や食事でソウルを満喫。

 一方玉利会長と私はもうひとつの目的を果たすためにミーティングに明け暮れた。まず、今年の選挙で負けてしまったホン元副会長に会う。彼の事務所は韓国体育協会が所有する事務所ビルの上階に位置する。彼は韓国の「マッスル&フィットネス誌」の発行者。3人のスタッフで毎月美しい雑誌を発行している。すでにアメリカの本社とは話がついたようで、独立した会社として韓国で作った記事を主体として発行している。彼の事務所の上の階がジム。室内ゴルフレンジ、スタジオ、マシンジムを備える小さな総合スポーツクラブという雰囲気。

 われわれが気にしている韓国連盟の実情を聞くとーー

「現在の会長は私の後輩。ポール・チュア氏のやっているABBFにも繋がっている。新会長となりAFBFにも顔を向けている。しかし二つの連盟に同時に参画するのは無理がある。いずれABBFとは縁を切らなくてはならなくなるだろう。私はあまり心配していない」と意外とのんびりしたことを言っていた。

 夕方はその韓国連盟の新会長とミーティング。話題は徐々にABBF問題へ。我々サイドからきっかけを投げかけた。

「IFBBの働きで来年のビーチゲームズはAFBFがアジアオリンピック委員会に認められ、AFBF傘下の連盟がビーチゲームズに参加するようだが?」

 新会長はこう答えた。「その情報は正式には聞いていない。われわれはAFBFに繋がる組織と、ABBFに繋がる組織を完全に分けて考えている」

 なんだか不思議な状況だが、我々は深く立ち入ることはできない。

来年は日本で

 宿泊、食事、観光と我々をじっくりと歓迎してくれた韓国連盟。来年は韓国の選手が日本へ来ることになる。お返しという意味でも我々は彼らを歓待したい。アジアのトップを走る韓国と日本。我々が切磋琢磨してレベルを上げていけば、日本の将来にもきっといい影響があるはず。

 交流することによっていい影響を受けることは、何もスポーツだけとは限らない。コミュニケーションが我々の世界観を徐々に広いものにしていくのだろう。来年も期待しよう。
滞在したホテルの前で。左より通訳、重岡、石澤、筆者、玉利会長、辻田、衛藤、井上

滞在したホテルの前で。左より通訳、重岡、石澤、筆者、玉利会長、辻田、衛藤、井上

[ 月刊ボディビルディング 2013年12月号 ]

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