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筋発達の最終兵器 ロイシンを摂ろう!

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.04.07
必須アミノ酸は9 種類あると言われていますが、ボディビルダーにとって、ロイシンよりも重要なアミノ酸は他にありません。このブランチドチェーン・アミノ酸の1つが、どのようにタンパク質合成を高めるのか、最新の研究結果を見ていきましょう。
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筋発達を刺激するスイッチがあると言われたら、どうします? 部屋に明かりをつける電気のスイッチのように。

ジムで一時間頑張った後、私はふと考えました。そのスイッチは、思っているよりもずっと速くつけることができるんじゃないかと。

トレーニングによって、筋発達する状態がつくられるわけですが、それだけでは十分ではありません。タンパク質が必要なのです。この点に関して、ホエイプロテイン以上のものはありません。アミノ酸スコアが高く、特にロイシンの含有量が多いからです。ロイシンは、9つある必須アミノ酸(“必須”とは、体がつくることができないこと)の一つで、タンパク質合成を刺激する“スイッチ”だと考えられています。

ロイシンに関して、かなり多くの研究が行われていますが、ここでは、皆さんが知っておく必要のあることを教えます。ただし、筋発達を望む人、限定です。それでは、見てみましょう。

ブランチド・チェーン反応

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ロイシン、イソロイシン、そしてバリンが、3つのブランチド・チェーン・アミノ酸(BCAA)で、骨格筋のタンパク質合成を刺激するのに高い効果があります。興味深いことに、ロイシンは、他の2つのアミノ酸に比べて、タンパク質合成を刺激する効果がずっと高いのです。

筋発達の経路のうち、最も研究が進んでいるものの一つに、mTOR(mechanistic target of rapamycin)経路と呼ばれるものがあり、ロイシンは、mTOR 1と2によって、複雑な筋発達経路を活性化します。mTOR は、ロイシンの凝集に非常に敏感なのです。

何が起こるかといえば、ロイシンの値が下がると、新たに骨格筋タンパクを合成するためのタンパク質が欠乏していると、mTOR に信号が送られ、mTOR の働きが鈍ります。逆に、高濃度のロイシンを摂取することで、アミノ酸が増え、十分にタンパク質があるという信号がmTOR に送られ、全体のタンパク質合成にスイッチが入ります。ここで覚えておかなければならない重要なことは、mTOR の働き(および、それに関わる経路すべて)が高まると、タンパク質合成も高まり、結果筋発達が起こるということです。

とてもシンプルです。ロイシンというスイッチを入れるだけで、筋発達が始まるのです。もちろん、皆さんが、トレーニングと食事により、すでにアナボリズム(同化作用)をサポートしているという条件付きですが。
年齢の異なる2つのグループにおける実験
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ロイシンは、タンパク質合成を刺激する“スイッチ”だと考えられています。ですから、近年ジムでロイシンが話題になっていますが、これは驚くべきことではありません。

アミノ酸が与える影響を明確にし、さらに他のアミノ酸と比較してロイシンをより多く(または少なく)摂取した場合の影響を明確にするために、ガルベストンにあるテキサス大学で研究が行われました。この研究には、若者(28~30歳)と高齢者(66歳以上)が参加し、6.7gの必須アミノ酸を溶かしたカロリーのない飲料が与えられました。一つは、1.7gのロイシンを含んだ溶液(26%:ホエイプロテインに一般的な割合)。そして、2.8gのロイシンを含んだ溶液で、これは、必須アミノ酸の総量の41%のロイシンを含みます。研究者たちが答えを知りたがっている2つの大きな疑問は、こうです。

①ホエイプロテインに一般的に含まれているロイシンの量以上に、ロイシンを増やした場合、筋タンパク質代謝にプラスの結果をもたらすのか?
②被験者の年齢は、反応に影響を与えるのか?

ホエイプロテインとロイシンで筋タンパク質合成が最大になる

研究によって分かったことは、若い被験者に与えられたロイシンの量は、タンパク質合成に目立った影響を与えない、ということです。言い換えれば、26%のロイシンでも、41%のロイシンでも、若い被験者においては、筋タンパク代謝にそれほどの違いがなかったということです。

若者のグループにおいては、どちらの量のロイシンが与えられても、血液中のアミノ酸値の著しい上昇が非常に速く起こりました。実に、どちらの溶液とも摂取15分以内に血液中のアミノ酸値が急速に上がり始め、30分以内にそのピークへと達しました。さらに、26%、41%といったロイシンの含有量にかかわらず、筋タンパク質合成の割合は、同じようなピーク値に達しました。

一方、老人のグループは、41%の溶液を摂取した時にのみタンパク質合成の増加が見られました。これは、驚くべきことではありません。以前の研究で、少量しか必須アミノ酸を摂取しなかった場合、老人における筋タンパク質合成が低下することが明らかになっていたからです。ロイシンに対する感度が低下していることも踏まえ、65歳以上の人は、筋タンパク質合成を活性化するために、多めにロイシンを摂取することを心がけましょう。

これらの結果を裏付けるように、“ニュートリション・ジャーナル”に掲載された最近の研究は、高齢者がプロテインとアミノ酸の組み合わせを摂取した後の筋タンパク質合成における変化を強調しています。あるグループでは、被験者たちがロイシンを加えたホエイプロテインを摂取し、別のグループでは、被験者たちがミルクプロテインの入った飲料を摂取しました。両方のグループに与えられたカロリーの量は同じでしたが、違いは、タンパク質とロイシンの量でした。ホエイプロテインにロイシンを加えたものを摂取したグループのみ、レジスタンス・エクササイズ(抵抗運動:ウエイトトレーニングのように一定以上の強度で抵抗を与える運動)の前と後で筋タンパク合成の割合が最大となりました。

筋発達のスイッチを入れる

簡単に言えば、ロイシンはタンパク質合成を刺激するので、筋発達が促進されます。タンパク質にロイシンを足しただけで、筋タンパク質合成を刺激することになるのです。

“アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー”上でヨーロッパの研究者たちが発表した研究では、8名の男性被験者により、3つの異なる実験が行われました。すべての実験で、1週間おきに、45分間の下半身を中心としたレジスタンス・トレーニングが行われました。

第一の条件として、炭水化物が摂取されました。第二の条件として、同じ量の炭水化物が摂取されましたが、それに加えてプロテインがサプルメントされました。第三の条件として、炭水化物、プロテイン、そしてロイシンが摂取されました。研究の結果から、ロイシンを加えた実験では、著しいインスリン反応が見られましたが、では、なぜここでインスリンが大事なのでしょうか? インスリンは、筋タンパクの分解を防ぎ、アミノ酸の吸収を促進し、最終的にはタンパク質合成率を高めることが証明されています。このことが今回の研究でも明らかとなっているのです。

ただ炭水化物だけを摂取した実験と比べて、プロテインとロイシンを摂取した実験では、筋タンパク質分解の割合が低く、筋タンパク質合成の割合が高いという結果が見られます。ロイシンを炭水化物とプロテインに加えた場合、燃料として酸化されるプロテインは少なく、タンパク質合成の割合が高い状態が、6時間続きました。

ロイシンは、筋発達を刺激する

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“アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション”上で発表されたカナダのマックマスター大学の研究者たちによる研究では、筋タンパク質合成における変化を、ホエイプロテインと個々のアミノ酸の量と組み合わせを様々に変えた場合、および静止時とレジスタンス・トレーニング後で調べています。平均年齢21歳の40人の男性が被験者となり、静止状態とエクササイズ状態を経験しました。第一のグループは、ホエイ25g(ロイシン3g)、第二グループは、ホエイプロテイン6.25g(ロイシン0.75g)だけ、第三グループは、ホエイ6.25gにロイシンをサプルメントして、合計5gのロイシンを、第四グループは、ホエイプロテインにBCAAをサプルメントして、合計5gのロイシンを摂取しました。

結果は、6.25gのホエイプロテインに、多めのロイシン(5g)を加えた場合が、ホエイの量は同じで少なめのロイシン(3g)を加えた場合と比較して、より同化作用が高まりました。さらに、プロテインの量が多い場合(25g)と同じだけ、タンパク質の合成率が高まりました。つまり、ロイシンの値が高ければ、ホエイプロテイン
の量が最適でなくとも補うことができるということです。同じだけのタンパク質合成が得られるということです。

最後に、ロイシンの効果を最大にするために用いることができる実践的なサプルメント戦略を教えましょう。

・同化作用を刺激するために、トレーニング開始30分以内に2.5gのロイシン(またはBCAA 5g)を摂取しましょう。
・ワークアウト後のプロテインシェイクに5gのロイシン(または10gのBCAA)を加えましょう。
・トレーニングからの回復のために、就寝前に5gのロイシンを摂取してください。すでに述べたように、飲料にロイシンを加えたり、ホエイプロテインにロイシンを足して補ったりすることは、タンパク質合成を刺激するのにとても効果的です。
・食間にロイシンを摂取することは、回復を速め、タンパク質合成を高めるためにお勧めです。ダイエット中の人や、筋量を維持したい人は、ロイシンをサプルメントすることを検討してください。そうすることで、起こりうるカタボリックな(異化作用の)影響を減らし、筋肉の分解を防ぐ役に立ちます。ほんの2、3gのロイシンでよいでしょう。
⇒本記事が掲載されている月刊ボディビルディング2015年10月号はこちら!

[ 月刊ボディビルディング 2015年10月号 ]