フィジーク・オンライン

Ad by SUPLINX

カロリー収支と体重変化 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

この記事をシェアする

0
掲載日:2015.06.05


カロリー収支と体重変化


筋肉を増やす、体脂肪を減らす、スポーツのための体重維持、競技力の向上などなど、何を目標にする場合でも、栄養管理のパズルを解くのに一番大切なピースはカロリー収支です。三大栄養素の配分を考えたり、特定の食品を選んで食べたり避けたりする前に、まず自分にとって正しいカロリー摂取量を考えましょう。

この記事の要点をまとめると次のとおりです。
① 現状の体脂肪率に合わせて、体脂肪を落とすペースを決める方法
② 現状のトレーニング経験(筋力レベル)に合わせて、筋肉を増やすペースを決める方法
③ 上記のペース設定に合わせて、カロリー摂取量を決める方法
④ カロリー計算は「推定値」を求めるだけで、調整が必要なワケ
⑤計算通りに進まないときのカロリー摂取量の調整方法


この栄養管理の重要度ピラミッドシリーズで一番大事な所です。


体脂肪ダウンと筋肉量アップの原則




一度に追い掛ける目標はひとつ
体形改善の目標は、ほとんどの場合「体脂肪ダウン」と「筋肉量アップ」に分けることができます。体脂肪を減らす場合には体重が落ちて行き、筋肉を増やす場合には体重が増えていきます。「体重」の増減はカロリー収支によって決まるので、まずはここを押さえるのが大切なワケです。

減量時のマイナス幅は、増量時のプラス幅より大きくできる
筋肉を増やすよりも、体脂肪を減らす方が速く進みます。減量をする場合の方が、増量する場合よりも、短期間で目に見える変化が現れます。筋肉を増やすには、身体の構造的な変化を必要とするので時間が掛かります。

増量期に毎日ドカ食いを続ければ、筋肉は増えますが、必要以上に体脂肪を増やしてしまうことになります。つまり、体脂肪を減らすためのカロリー収支のマイナス幅は、筋肉を増やすためのプラス幅よりも大きく取ることができます。

カロリー収支は運動より食事で調整する
カロリー収支の調整は、食事でする方がカンタンで効果的です。動く量よりも、食べる量を増やしたり減らしたりするということです。

ウェイトトレーニングの頻度(インターバルトレーニング等も含めて)を上げると、身体の回復力の限界を超えてしまうリスクがあります。増量時には筋力アップのペースが伸び悩んだり、減量時には、食事制限で身体の回復力は制限されている状態なので、さらにトレーニングの負担やカロリー消費が加わると、ホルモンバランスの乱れにつながり、体脂肪を減らせるペースに悪影響が出ます。有酸素運動は、必要なタイミングでうまく使えば、カロリー収支を調節して体脂肪を減らしていくのに有効ですが、本当に必要になるのはごく限られたケースで、体脂肪を減らすためのメインのツールとして考えるべきではありません。


自分のカロリー消費量を計算する


どんな計算式を使っても、出てくる数字は「推定値」の範囲を出ません。NEAT(Non Exercise Activity Thermogenesis)と言って、無意識の内に身体を動かしたり、エレベーターより階段を選んだりといったカロリー消費には大きく個人差が出てきます。

例えば、身長180cm / 体重90kgで体脂肪率15%とだいたい同じ体格の男性二人が、同じトレーニングプログラムを実践したとして、1人は2500kcal、もう1人は3250kcalと二人の消費カロリーは大きく違う可能性があります。

こういったNEATの個人差を出せる計算式は存在しないので、経過チェックが不可欠になります。


<減量の場合>
減量ペースとカロリー摂取量を決める


どのくらいのペースで脂肪を落とすか?
1日に燃焼できる脂肪の量には限界があり、体脂肪率が低くなるほど、この限界は低くなっていきます。この限界を超えると、たんぱく質をたくさん摂っても筋肉を減らすことにつながってしまいます。要は太った人ほど速いペースで脂肪を落とせるということです。

以下の表の数値に合わせてペース設定をすれば、筋肉を犠牲にする心配なく進められると思います。



※体脂肪率30%を大きく超えるような肥満体形の人は、筋肉を維持しながら、さらに速いペースで脂肪を落とすことも可能ですが、皮膚のたるみが出るリスクを考えるとオススメしません。
※この表は平均的な数字なので、身長の低い人は低めに、長身の人は高めに設定するなど個人差は出てきます。
※この表の数字よりもゆっくりのペース設定をするのは問題ありません。結果を急いで苦しむよりも、長く続けられる方が大切です。


減量中のカロリー摂取量の調整の仕方
「体脂肪を1kg減らすには、7000kcal燃やす必要がある」と聞いたことがある人も多いと思います。

例えば、上の表を踏まえて、1週間500gのペースで体脂肪を落とそう思うと、1週間のカロリー収支をマイナス3500kcalにする必要があるということになります。これを実現するには、毎日500kcalずつマイナスにするのが分かりやすい方法です。私が主にクライアントさんにオススメするリーンゲインズというダイエット法では、少しでも栄養分がうまく使われたり、筋肉の回復が進み易いようにトレーニング日の摂取量を増やして、休息日のマイナス幅を大きくします。

つまり、週3回のトレーニングの場合には、トレーニング日には+500kcalで、休息日には-1250kcalというような設定になるでしょう。この考え方が分かれば、週4回・5回とトレーニングをしたい場合の摂取量配分も自ずと答えがでてきます。


<増量の場合>
筋肉の増え方とカロリー摂取量を考える


体脂肪を落とすペース設定では体脂肪率が主な決定要因ですが、筋肉を増やすペースを考えるには、トレーニング経験(筋力レベル)がカギになります。体脂肪は比較的短期間で落とす事ができますが、筋肉量を増やすのには時間が掛かります。

トレーニング経験のレベル分け
筋肉を増やすペースを決める考え方は人によって微妙に違いがありますが、トレーニング初心者ほど短期間で大きく筋肉増やすことができ、トレーニング経験を積んで筋力レベルが上がるほどに筋肉を増やせるペースは落ちていきます。

では、どの程度が初心者で、どの程度が経験者なのかというのは、ハッキリした答えを出すのが難しいテーマです。アメリカの有名なコーチは初心者・中級者・上級者に分ける方法を採っている人が多いです。BIG3を中心にトレーニングをしている人なら、以下の数値が良い指標になると思います。



体重を基準にそれぞれの目安の重量が設定されているのがポイントです。

例えば、同じベンチプレス80kgでも、体重60kgの人と80kgの人では、数字の持つ意味は大きく違います。単純に「何kg何回」と自分の記録を周囲と比べて一喜一憂する必要がないことが分かると思います。また、人によって得意種目の違いなど個人差は出てきます。あくまでも目安の値なので、細かな数字に神経質になる必要はありません。


筋肉を増やせるペース


実際どの程度のペースで筋肉を増やして行けるかという意味では、体重に対する割合で考えたり、実際の重量で考えたりコーチによって見方が変わる所です。

以下に体重ベースでの目安をまとめました。


[注意点]
細かい数字にとらわれない
上記のカロリー収支のプラス幅は、大体の目安です。減量のときと同じように個人差が出てきます。カロリー摂取量を決めたら、しばらく一定にして続けて、体重の変化を見ながら増やし幅を調整しましょう。

身長を考え合わせる
初心者・中級者のクラス分けも完全に白黒ハッキリできるものではありませんが、身長の高い人は上記の数値の幅の上限近く、身長の低い人は下限近くに当てはまるかも知れません。女性は、上記の数字の半分くらいを目安にすると良いでしょう。(女性として例外的にガタイの良い方は別として)

筋肉量の増減についての目安の数値です
増量に入って食事量を増やすと、炭水化物の量が増え、結果的に体内水分量が増えます。身体の水分量に影響の出やすいサプリメントを摂り始めると、その影響で体重計の数字が変わるので注意しましょう。

上級者トレーニーの経過チェック
上級者になると、筋肉の増えるペースは非常にゆっくりで、客観的にチェックするのが難しくなります。カロリー収支は若干のプラスに留めて、メインのコンパウンド種目のトレーニング記録(重量・回数)をチェックするのが一番でしょう。体重計・身体のサイズ・鏡などでハッキリ違いが出てこなくても、筋力の伸びで前進していることを確認することができます。


思うように進まないときのカロリー調整の仕方




<減量の場合>
1日のカロリー摂取量を200〜300kcal、もしくは5〜10%程度落としましょう。
※体重減のペースが速過ぎると筋肉が落ちるリスクがあるので、その場合は食事量を増やす事も考えましょう。

<増量の場合>
1日のカロリー摂取量を100〜200kcal、もしくは3〜6%程度落としましょう。
※体重が増えるペースが速過ぎると、必要以上に体脂肪が増えてしまうので注意しましょう。
体重は、筋肉・体脂肪の他に水分の影響も受けます。3〜4週間分くらいの体重の推移を見て経過チェックをすると良いでしょう。


このピラミッドシリーズの中で最も大切なパート、カロリーの話はここまでです。
実生活の中で「これ食べても良いかな?」ということを考えるときには、まず1日の自分のカロリー摂取量に収まるかどうかを考えましょう。三大栄養素はその次です。もちろん、減量中に筋肉が落ちるのを防いだり、増量中に体脂肪が増えるのを最小限に抑えたりすることを考えると、三大栄養素をしっかり押さえる必要が出てきます。


  • アンディ・モーガン
    イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナー。日本在住で滞在歴は7年。フィットネス業界にはいい加減な情報やデタラメが多く、特に日本では本当に使える情報源が少ない現状を少しでも変えたいと、ウェブサイトを立ち上げて日本語・英語両方で情報を発信している。ボディビルダー、格闘家、一般トレーニーなどのダイエット指導を行う一方、その指導経験をガイドにまとめてウェブサイトで公開中。

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 003 ]

関連記事

糖を摂りすぎたら脂肪になる?脂肪と糖質の関係性とは?

糖を摂りすぎたら脂肪になる?脂肪と糖質の関係性とは?

血液検査の必要性とは?血液検査の結果から分かる栄養状態

血液検査の必要性とは?血液検査の結果から分かる栄養状態

ウォーミングアップについて/三土手 大介

ウォーミングアップについて/三土手 大介

正しく立つことで得られる二つの効果/三土手 大介

正しく立つことで得られる二つの効果/三土手 大介

サプリメント研究の世界的権威を持つ Dr.マウロ博士とは?/サイモン・デュー

サプリメント研究の世界的権威を持つ Dr.マウロ博士とは?/サイモン・デュー

ボディメイクの優先順位とは? / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

ボディメイクの優先順位とは? / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

食事の摂り方で体脂肪を燃焼させる<脂肪の蓄積を防止するには?>

食事の摂り方で体脂肪を燃焼させる<脂肪の蓄積を防止するには?>

エネルギー代謝に役立つ栄養<コエンザイムQ10とガルシニア・カンボジア>

エネルギー代謝に役立つ栄養<コエンザイムQ10とガルシニア・カンボジア>