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古き時代のトレーニングとダイエット <高脂肪ダイエット①>

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掲載日:2017.08.23
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古き時代のトレーニングとダイエット

ボディビルダーとは、より多くの筋肉をつけ、より多くの脂肪を落とすために何か良い方法はないかと、日々探しているものです。ですから、彼らは、食事やトレーニングということになると、方針を頻繁に変えてみたりするのです。例えば、トレーニングを例にとってみましょう。

マッスルビーチが全盛期だった時代、ステロイドがまだ使われていなかった頃は、ベンチプレスやクリーン、デッドリフトにローイング、それにチンニングといった基本的なエクササイズで山のような筋肉を築いたものです。それが、アーノルドの出現によってボディビルのトレーニングは全く変わってしまいました。セット数は多くなり、各部位に対するエクササイズの種類と数も増えて、基本種目だけではなく、筋肉の形を整えるようなものも行われるようになったのです。

当時は皆が、アーノルドのやり方がベストのトレーニング方法だと認めていました。それから、メンツァーが、ハイ・インテンシティー、ロー・ボリューム(強度は高く、量の少ない)トレーニングで、ボディビル界に革命を巻き起こしたのでした。メンツァーの方法は、どちらかといえば、マッスルビーチ全盛時代のオールドタイムなボディビルダー達が行っていたトレーニング方法に近いものです。エクササイズは少なめで、高重量を使って限界まで追い込む、これが彼のやり方です。今日の優れたボディビルダーの多くがメンツァーのトレーニング方法を使っています。前世界チャンピオンのドリアン・イエーツもそうです。

このように、ボディビルのトレーニング方法は、円を描くように変遷して、元のところへ戻ってきました。

では、ダイエットに関してはどうでしょうか。脂肪を落とすベストの方法をめぐって、やはり円を描くように変遷してきたようにみえます。アーノルドやフランコ、それにザボと呼ばれた男、彼らはその当時、非常にカットがあると思われていました。体脂肪を非常に低く抑えるために彼らが行っていたのは、高タンパク、高脂肪、そして低炭水化物のダイエットでした。しかし、ここで考慮に入れておかなければならないのは、彼らは有酸素運動をしていなかったということです(今日オリンピアに出場しているボディビルダーの中には、一日2時間行う者もいます)。また、彼らは、ファットバーナー系のドラッグ、クレンブテロールやエフェドリン、合成成長ホルモン等を使っていませんでした。というのも、まだ手に入らなかったからです。このように、70年代と今とでは状況が違います。70年代に活躍したボディビルダーが、今日のよりハイレベルなコンテストに出場したらどう見えるか、想像してみてください。

炭水化物は両頭の剣

ドクター・アトキンスのダイエット、炭水化物をまったく取らない高脂肪の食事がポピュラーだった時期がありました。この炭水化物をまったく取らない方法を使って、何人かの運動をしない女性が多くのウェイトを、しかも短期間で落としたことを僕は知っています。このように、高脂肪ダイエットにも効果はあります。ただし、炭水化物が制限されていなければなりません。

そして、80年代になって、高カロリー/高炭水化物ダイエットが流行し出しました。しかし、脂肪を燃やすためには、このような高炭水化物、そして極端に低脂肪のダイエットでは、遺伝的にもともと脂肪が少ないか、筋肉質の人でない限り、コンテストに出場できるようなコンディションをつくることは難しいでしょう。このダイエット方法を、僕はいいとは思いません。というのも、高炭水化物ダイエットは、多くの有酸素運動を行った場合に、はじめてカットのある筋肉を生むことができます。が、僕は有酸素運動にはあまり賛成ではないからです。なぜなら、それを行うことにより、ダイエット中のボディビルダーがひどいオーバートレーニングに陥ってしまうことがよくあるからです。

筋量をつけるために高カロリーを取るというのは、プロのボディビルダー達に僕が教えてきた方法では決してありません。それどころか、筋量をつけようと食べ過ぎることのマイナス面はすでに述べてきたように、すべてのウェイトゲイナー達を打ち負かしたと思います。それに、驚いたことに今日では、カロリーを低く抑えているウェイトゲイナー達もいます。要するに、食べ過ぎれば(特に炭水化物)太るということです。

「炭水化物を食べよ。そうすればやせられる」
「ウェイト(脂肪)が落ちないのだとしたら、炭水化物を十分食べていないからだ」
「炭水化物が燃える時に脂肪も燃える」

この三つは、様々なボディビル誌の中の医学博士によるコラムでよく見受けられます。しかし、これらの言葉は、多かれ少なかれバカげてると言わねばなりません。炭水化物は、両頭の剣です。それは筋肉を増やす助けになりますが、気をつけなければならないのは、脂肪の蓄積にとっても非常に有効だということです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

[ 究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック ]

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