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視力や血管の改善に作用する植物性の栄養素

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掲載日:2018.04.16
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アントシアノサイド(Anthocyanoside)

アントシアノサイドはビルベリーに多く含まれ、アントシアニジンと糖が結合したものです。ビルベリーは、北欧や北米、カナダに生育する野生の植物です。この地方では、ビルベリーが実を付ける夏、産地の北欧は白夜の時期に入り、夜が無くなります。
大量の紫外線から実を守ろうとするために果皮が厚くなり、抗酸化物質のアントシアニンが豊富に含まれる果実が出来ると言われています。更にビルベリーは、ブルーベリーとは異なり、果肉自体にもアントシアニンが豊富に含まれています。アントシアノサイドは中性pHで紫色、酸性で赤色を現す色素です。

抗酸化物質ポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持ちます。
ストレスで酸化する眼を守ったり、視力機能改善、暗順応(明るいところから暗いところに行った時に、すぐに限が慣れて見える様になる事)(KaltW (2001) Horticult Rev. 27,2 69-315)、紫外線などにより発生する活性酸素を消去する等、多くの報告があります。

現在報告されている主な作用

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ロドプシンの再合成促進作用(暗順応促進、眼精疲労改善など)
ロドプシンとは眼の網膜にある色素の事です。ロドプシンは、光の刺激を受けると分解されますが、すぐまた再合成されます。この再合成の連続作用によって、光を信号に変え、脳に伝達し「物を見ている」のです。

ロドプシンの再合成能力が衰えると、眼精疲労、暗順応低下などが起こり、眼の疲れ、かすみ、眼痛など様々な症状が出現します。若い頃には感じませんが、ロドプシンが減って来た中高年になると、日によって物の見え方が変わる事があります。私が小さい頃、祖母が「今日は良く見えるわ」と言っていた意味が今ひとつ分かりませんでしたが、最近になってそれが自分の眼にも起こっているのを感じます。アントシアニンの摂取により、ロドプシンの再合成が促進され、症状の改善が見られます。

・老人性白内障の進行抑制作用
・糖尿病性網膜症の網膜障害の改善作用
・血流改善作用、血小板凝固抑制作用

毛細血管がたくさん集まっている眼の血流が悪くなると、酸素や栄養素が運べません。血流改善により、眼圧低下がみられ、緑内障の改善が期待されています。

・毛細血管の透過性、抵抗性の改善作用
・結合組織の強化作用
・視力低下(近視、遠視、老眼)の改善作用
眼の網膜にあるロドプシンという物質は、暗順応に関与する栄養素です。タンパク質とビタミンAから生合成されます。ビタミンAやタン白質が不足していると、ロドプシンが十分供給出来なくなってしまい、暗順応低下による夜盲症(夜になると著しく視力が落ちてしまう症状)や、眼精疲労(眼がよく疲れる、かすむなどの症状)を引き起こしてしまいます。最近、少し暗くなっただけで本や書類が読みにくくなったと感じるようなら、それは眼のロドプシンが減っているのかも知れません。

また、亜鉛は血中ビタミンA濃度を上昇させ、暗順応の回復に関与します。そして、アントシアノサイドは、ロドプシンの再合成を促進させる働きがあります。

現代人は、テレビやパソコンなどの人工的な光、紫外線などの酸化ストレスにさらされています。
日の出と共に働き、日が暮れたら床に休む、テレビは殆ど観ない、パソコンもしない、なんて生活をしている現代人は殆どいないでしょう。当然ながら眼精疲労や白内障など、眼のトラブルを引き起こし易くなっています。

プ口アントシア二ジン

プロアントシアニジンはグレープシード(ブドウの種)に多く含まれる栄養素です。最近ではグレープシードのオイルが、オリーブオイルなどと並んでスーパーマーケットの棚にあるのをよく見かける様になりました。アントシアニジンとはポリフェノールの一種で、ワインを飲む人が動脈硬化になりにくい事から研究が進められた有効成分です。アントシアニジンの前駆物質でもあるプロアントシアニジンは、それ自体にも独自の作用があります。
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①水溶性のラジカル消去作用
プロアントシアニジンは抗酸化力が強く、分子1個当たり8個のラジカル(身体を酸化させてしまう物)を消去することが出来ます。特に光による酸化に対する働きが強いと言われています。水溶性のため体内への吸収が早く、硝子体、水晶体など、水分を多く含む眼の組織では、光による障害、フリーラジカル(酵素による障害)を強力に消去してくれると考えられています。


②毛細血菅保護作用
コラーゲンやエラスチンなどの弾性繊維(伸び縮みする組織)を分解して壊してしまう酵素の働きを抑えてくれます。眼には多くの細かい血管がありますが、血管の壁を強化し血管の弾力をアップしてくれるので、血流が確保されます。その為、酸素や栄養成分がたくさん運ばれ、眼細胞を活性化させてくれます。


③光分解抑制作用
ビタミンB2、β-カロチンなどのビタミン類が、光によって分解されて壊れてしまうのを抑制する作用があります。

コンプレックスで!!

ここでご紹介している植物性成分の殆どが抗酸化物質です。でもお読み戴いてお分かりの通り、それぞれの働きは少しずつ違います。それは人間の個性みたいな物です。一人で仕事をするよりも、個性の違った人達がチームを作って、協力し合って行動すると大きな仕事が出来るように、それぞれのカロチノイドをコンプレックス(複合体)で摂り、種々のストレスを退治しましょう!

ビルべリーエキスとグレープシードエキスを両方摂取する事で相乗効果が期待出来ます。
  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)
    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901~1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

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