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美しい肌を保つために欠かせない栄養とは? / 分子栄養医学管理士の星真理さんに学ぶカラダ作りの栄養学

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掲載日:2015.06.05


この数年で家庭用テレビの画質が格段に向上し、「お肌のキメまでよく見える」と言われるようになりました。そういえば最近ドラマを観ていると、女優さんのお肌の状態やお化粧のノリまで分かるようです。それでは、お肌のキメはどのように作られているのでしょうか。


コラーゲンは高級タオル


お肌の表皮にはコラーゲンがたくさんあります。コラーゲンはタンパク質を材料にして数本の糸状に作られ、そこに鉄とビタミンCが加わると編んだ紐のような状態になって強化されます。皮膚にはこのような編まれた紐が縦横に折り重なってふかふかの高級タオルのような状態で存在しているのです。

コラーゲンは電気を帯びていて、その近くに電気的に水を溜めます。ふかふかのタオルに水をしみ込ませたような状態です。ですからコラーゲンがたくさんあるとみずみずしいお肌が作られるのです。

コラーゲンはお肌だけではなく体中の色々なところにあります。筋肉と腱、腱と骨をつないでいるのもコラーゲンです。臓器が下垂しないように保ったり、血管の弾力を保ったりもしています。関節の軟骨成分にもたくさんあります。

しかし、年齢を重ねるとコラーゲンは作られにくくなります。関節からコラーゲンが減って行くと軟骨は弾力を保てなくなって縮んでいきます。すると、骨と骨の間隔が変わり、骨同士があたるなどして関節痛がおこるのです。

お肌からコラーゲンが減って行くとふかふかのタオルではなく、使い古したタオルのような状態になっていきます。水をたくさん含むことができなくなり、潤いやハリがなくなっていき、シワやたるみの原因となります。ですから、ある程度の年齢になりましたらサプリメントなどを上手に利用して材料となるタンパク質、鉄、ビタミンCを積極的に摂って、みずみずしい肌を保つようにしましょう。


湿疹には鉄と亜鉛


貧血のある人はお肌の新陳代謝にも影響があります。赤血球を作る材料とコラーゲンを作る材料は、タンパク質、鉄、そしてビタミンCと同じですので、貧血の人はコラーゲンも不足する事となります。

肌トラブルの湿疹は、鉄とリンクして働くミネラルの亜鉛が不足すると出やすくなりますので、頻繁に出る湿疹に悩まされている方は、亜鉛を摂る事をお勧めします。生理のある女性は、排卵から生理期間中にかけて鉄や亜鉛の消費量がかなり増えますので、その時期に湿疹が出るようでしたら鉄や亜鉛の欠乏を疑ってください。


美白のビタミンC




テニス、サッカー、野球、ビーチバレー、マラソンなど、野外スポーツでは皮膚は太陽光線にさらされます。長時間に渡って太陽光線を浴びた皮膚はダメージを受けてしまいます。美白にはビタミンCと言われていますが、ビタミンCが使われる用途は広く、まずは体の中で重要なストレスによる体の抗酸化などに使われ、その後、さまざまな用途に使われた後、余って分が美白に使われます。ですから、美白に使うにはビタミンCをたっぷりと摂らないといけません。

ビタミンCは摂取から30分ほどで体内濃度が最高潮に達し、その後徐々に減っていき、約2時間で使い切ってしまいますので、こまめに摂る事をお勧めします。


粘膜と皮膚のバリア


人間の体には、口、耳、鼻などの「穴」があります。そして、穴の向こう側は全て粘膜です。粘膜はネバネバ物質を出す事でバリアを作っています。皮膚とは少し作りが違いますが、バリアという点では同じような働きをします。

皮膚と粘膜の両方を守ってくれる栄養素と言えばビタミンAです。粘膜の保護も皮膚のバリアもビタミンAがおこなっています。肌トラブルの吹き出物(ニキビ)はアクネ菌が原因と言われていますが、ビタミンAの不足でも起こります。洗顔などの外からの対処療法も必要ですが、吹き出物ができる原因は体内でもおこっていますので、ビタミンAの摂取は欠かせません。

冬になるとお肌の乾燥が気になりますが、潤いによって守られている肌のバリアを強化するために、冬はビタミンAの必要量が増えます。ビタミンAは体内で使用する時に、タンパク質の専用トラックで運ばれます。ビタミンAを食べる時にはタンパク質も一緒に食べると効果的です。また、野菜の中にある脂溶性のビタミンAは、熱と油によって繊維の中から引き出されます。ですから、ビタミンAを効率よく利用するために、肉、魚、卵などのタンパク質食品と一緒に油を使って炒めたり煮たりして食べるようにしましょう。


シワを取る




シワをとる栄養素で忘れてはならないのはコエンザイムQ10です。今では化粧品にも使われるようになりましたので、「お肌に良い」という事をご存知の方も多いと思います。コエンザイムQ10は、小さいシワを減らしてくれると言われています。つまりそれは「ハリ」を作るとも言えます。お肌に直接塗るタイプのものもありますが、それは表面的なものです。体の中からの改善の方が効果的ですので、サプリメントを利用する方が良いでしょう。

体内ではビタミンCやビタミンEが減る前にコエンザイムQ10が先に使われます。つまり、コエンザイムQ10が減ってからビタミンCやビタミンEが減り出すという事です。一般的に、体内のコエンザイムQ10濃度度をみる血液検査データはありませんので、体内のコエンザイムQ10が減っているかどうかを知ることは難しいのですが、ビタミンCやビタミンEが減っているようでしたら、コエンザイムQ10はすでにかなり減っているという事になります。サプリメントで摂取する時は、ビタミンCやビタミンEと一緒に摂ると効果的です。


シミを薄くする


シワと並んで「お肌」から連想されるトラブルはシミでしょう。シミを薄くしたり消したりする栄養素の代表格はビタミンEです。これは私の経験ですが、乳化されたビタミンEを就寝前にシミに塗って寝ると、毎日続けていくうちにシミはだんだん薄くなり、消えていきます。それほどビタミンEの抗酸化力は高いのです。ただし、翌朝には洗顔しないと油が酸化して逆効果になってしまいますのでご注意を!

ビタミンEは体内でビタミンCとリンクして働いていますので、ビタミンEを摂る時にはビタミンCも積極的に摂りましょう。


毛穴を目立たなくする


最近の化粧品はかなり進化していますので、「毛穴を見えなくする」というのを売りにしたファンデーションも出てきています。特に鼻の頭などは毛穴が気になる部分でしょう。

実は毛穴のキメを整えて目立たなくさせるのもタンパク質の働きです。毛穴の汚れを取るシール状の商品もありますが、毛穴を小さくさせるわけではありません。タンパク質が充足されて毛穴のキメが小さくなれば、汚れも溜まりにくくなり、毛穴も目立たなくなるでしょう。


その他


お肌のトラブルを回避するのは、これで全てというわけではありません。例えば、便秘が原因なら、便秘を解消しなければなりませんが、便秘にも色々な原因が考えられ、単に食物繊維を摂れば良いとは言えない場合もあります。ストレスや睡眠不足が影響している場合だってあるでしょう。

皮膚の新陳代謝は約28日周期と言われています。粘膜については、場所によって変わりますが、だいたい1日〜3日くらいです。毎日の食生活があなたの体を作っています。美しい肌を手に入れるために、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛けてください。

美肌のまとめ
肌のキメを整える・・・タンパク質、鉄、ビタミンC
美白・・・ビタミンC、ビタミンE
ニキビ、吹き出物・・・ビタミンA、タンパク質
シワ・・・コエンザイムQ10
シミ・・・ビタミンE、ビタミンC

  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための 分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

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