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<低血糖とその症状>糖質代謝と低血糖③

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掲載日:2017.02.27
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低血糖の症状は、鉄欠乏性貧血ともよく似ています。また、カルシウム不足から来る自律神経失調とも似ています。そのどれもが同時に起こっていたら大変です。でも、私たちのところに相談に見える方々の中には、このような方も決して少なくないです。特に最近の若い方には、低血糖の症状に当てはまる方が見受けられます。また、低血糖のまま更年期の年齢になると、更年期障害の症状がひどくなって現れる事もあるようです。

低血糖の原因は様々ですが、ここでは食原性と機能性についてお話ししましょう。
低血糖の患者(600人以上)が訴える精神的な症状

低血糖の患者(600人以上)が訴える精神的な症状

低血糖とその症状

低血糖とその症状

機能性低血糖の症状

機能性低血糖の症状

ガイランド、サルツァー、フレデリックス、マーチン、ウエラー、チェラスキン、そのほかの博士の報告から累積された病名

ガイランド、サルツァー、フレデリックス、マーチン、ウエラー、チェラスキン、そのほかの博士の報告から累積された病名

●食原性低血糖の原因
①高度栄養不良状態
②意図的な過食、特に精白炭水化物(糖質)の過剰摂取
③アルコール、タバコ、コーヒーあるいはカフェイン含有清涼飲料水の過剰摂取
④ビタミン、ミネラルの摂取不足
⑤食物繊維の摂取不足

●機能性低血糖の原因
①ジャンクフードによる栄養欠損
②ストレスによるホメオスターシスの乱れ

現代人の食生活や生活スタイルを見てみると、誰しも低血糖症になっておかしくない様な環境にあると言えます。あなたは、上記の原因の幾つに当てはまる生活をしているでしょうか?どれも無い方のほうが、むしろ少ないはずです。

また、低血糖になり易い体質があり、そういう方は特に注意が必要です。

①胃下垂、萎縮胃、胃切除
②貧血
③肥満
④先天性糖尿病体質
⑤アレルギー体質
⑥自律神経失調症
⑦甲状腺機能障害

●低血糖を招かない為に…
1)食事はゆっくりよく噛んで
2)砂糖などの単純糖質の摂取を制限する
3)アルコール、カフェインを控える
4)清涼飲料水、ジャンクフードをやめる
5)初期には果物も控えめにし、果糖の多い物も避ける
6)食事回数を増やし、食後2時間後くらいに食事を摂る
7)定期的な運動をする
8)午前中の食事を抜かない
9)3食規則正しい食事を心掛ける
10)食物繊維の摂取
11)食後、歩くなどの軽い運動をする
12)ストレスコントロール

冬によく行われるスポーツで駅伝があります。何度か、選手が気を失いそうになりながらタスキを渡しているのを見たことがあります。中にはそこまで選手が持たず、ふらふらになって、監督が泣く泣く棄権をしたレースを観たこともあります。解説者は“脱水ですねぇ”と言っていましたが、私は低血糖を疑いました。普段からどのような食事を摂らせていたかが、大会当日の体調に大きく影響するでしょう。最近ではチーム合宿になると、“アイスクリーム禁止”とか“チョコレート禁止”などという食事指導をしているスポーツも出てきているようです。それはそれで喜ばしいことですが、それだけでなく、禁止にするときには、何故それがよろしくないのかも、選手にきちんと理解させて欲しいものですし、それがストレスとなって悪循環にならないような食事指導も必要となるでしょう。

また、そういう食べ物が欲しくなる原因にエネルギー不足が起こっていることも忘れてはなりません。たんぱく質やビタミンB群の摂取量をチェックしたり、カロリー制限している場合にはアミノ酸と併用する等の対策も必要でしょう。一度低血糖症になってしまうと、それを改善するのはとても長い時間と努力を要します。指導できる医師の数も、まだまだ少ないです。オフにどんなトレーニングをしたか、だけではなく、普段から何をどう食べているかが、勝敗のカギを握っているのです。

低血糖を侮ることなかれ。
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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


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