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砂糖

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.10.18
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野沢秀雄

<砂糖は貴重品>

 まっ赤に熟した果物の実が甘くてとてもおいしいことを人類が知ったのはいつごろだろうか。おそらく人間がまだ裸で生活していた数千年前の昔からに違いない。
 野生の猿や鳥たちが好んで木の実を食べる習性を見てもわかるように,動物たちは本能的に甘い物が体の役に立つことを知っていたのだろう。秋の。ある期間にしか甘くならない果物をなんとか保存する方法はないかと人びとは考えあぐんだにちがいない。その中で,干し柿や干しぶどうにする方法は最もすぐれたアイディアであった。
 この貴重な砂糖を果物ばかりに求めつづけていた人間が,きびの茎や大根の根に甘さを見つけたとき,とびあがらんばかりに歓喜したことだろう。砂糖の発見は人類最大の発見だといわれている。このおかげで今日の砂糖工業が確立され,われわれの食生活と健康に貢献している。

<砂糖もとりすぎると害になる>

 砂糖の消費量はその国の文化度をあらわすといわれ,日本もやっと先進ヨーロッパなみになりつつある。
 昔,貴重であった砂糖は,近年スーパーの店頭に山のように積まれ,10グラム(コーヒーや紅茶1杯に入れる量で,約40カロリー)で1円という安さで買える時代になった。また,コーラやジュース,ソーダなどのドリンク類や,ケーキ・チョコレート・缶詰など多くの食品に使用されて,知らず知らずの間に体内に入ってくる。
 われわれのように激しいトレーニングを続けているスポーツマンや,発育期の子供たちならば,たちまちエネルギーに変えて消耗してしまうが,運動をろくにしない人たちの場合,過剰に入ってくる砂糖は,グリコーゲン→脂肪と変化し,皮下や血管に畜積され高血圧・心臓病・糖尿病などの病気を誘発する原因となる。
 砂糖そのものは,体の発達や運動のエネルギーになる点,および料理の味を引き立て,食品加工上,増量剤となる点など,メリットは大きいのだが,過剰になると,どの場合でもそうであるが,かえって害を及ぼす。TPOの精神にのっとり,ケースバイケースで判断することが,われわれの知恵ではなかろうか。

<砂糖以外の甘味料>

 砂糖以外に,甘さのある物質をつくれないものかと,研究者たちは膨大なエネルギーを費やして,いくつかの新甘味料を発見してきた。すなわち,ぶどう糖・果糖・ソルビトール・マルチトール・サッカリン等である。では,これらを簡単に説明してみよう。
①ぶどう糖
 さつまいも・じゃがいも・とうもろこし・米などは,その大部分がでんぶんで,甘くはないが,これを酸や酵素で分解すると,だんだん分子が小さくなり,ついにはぶどう糖(グルコース)になる。
 ぶどう糖は甘さこそ砂糖より少ないが,体内に早く吸収されてエネルギーになる。病院で患者にぶどう糖溶液をリンゲル方式で注入しているのを見かけるが,体の吸収・分解能力が弱っている病人には適切な栄養の補給法といえる。また,マラソンなど激しいスポーツの最中に,ちょっと飲んでエネルギーをすぐに要求される場合にも都合がよいことはいうまでもない。
②果糖
 果糖は砂糖よりも甘さが強く,果実やはちみつに多く存在する。ぶどう糖と同じくらいの分子量なので消化・吸収が早い。また,インシュリンというホルモンを用いずにグリコーゲンをつくるので,糖尿病患者に都合がよいといわれている。砂糖やでんぶんを原料にして製造するが,コストの高いのが(砂糖の6倍くらい)残念である。
③ソルビトール
 ぶどう糖に水素添加して構造を少し変えたもの。甘さは少ないが,インシュリンの助けを借りないでグリコーゲンに変わる点,糖尿病によいし,虫歯の原因にならないと発表されている。
④マルチトール
 でんぶんの分解中にできる麦芽糖に水素添加して製造されたもの。砂糖とほぼ同じくらいの甘さと分子量を持っている。体内に吸収されないため,栄養にはならない。この特徴をいかして低カロリーの美容食品や糖尿病の治療品として使われている。一度に食べすぎると下痢する場合がある。
⑤サッカリン
 アメリカ生まれの人工甘味料。少量で甘く消化されずに尿から出ていく。安全性について再検討されている。

<甘味料の上手な使い方>

 デフィニションをつけようと努力中ならば,砂糖はひかえた方がいい。なにしろ,登山や船舶の遭難で何日も命をつなげるだけの高カロリーを持っているからだ。
 また,意識しないうちにいろいろな食品から体内に入りこむ。コーラ・ドリンク・ジャム・あんばん・アイスクリーム・プリン・チューインガム・ケーキ・ビスケット・ぶどう酒等にも要注意。
 発育期にある人で,背を高くしたいとか,体重を増やしたいと望んでいる人には,砂糖OKであるが,その場合カルシウムをはじめミネラル類が多いという点で,白砂糖より黒砂糖をおすすめしたい。
 やせたい人ならマルチトールを使った製品がよい。甘さの欲望は満足されしかもカロリーにならないので,太ってくることはないだろう。
[ 月刊ボディビルディング 1973年3月号 ]

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