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意外と知らない!骨盤底筋を鍛えるメリットとは / Flowing Exercise®でコアを鍛えよう

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掲載日:2015.06.05


ストレスによって、ホメオスタシスが揺さぶられる
「あら?まだカゼ治らないの?」と訊くと、「いや、新しいカゼ」と答える友人。会うたびにひいている気がするので、この分だと、人間が、一生かけても制覇できないであろうと言われている、全種類のカゼウイルス(200種以上)を総なめするのではないか?と思っています。

そう言えば以前、運動をやらなさ過ぎは、ふつうにカゼをひき、適度な運動をする人はカゼにかかりにくく、激しい運動をする人は、とってもカゼをひきやすい。と聞いたことがあります。そうか、運動不足なのかと思いきや、カゼの原因は、彼女いわくストレスにあるそう。たしかにストレスの度合いが強すぎると、いろいろな弊害を生みます。

気温の変化や、騒音などの物理的ストレス。アルコールや薬物による化学的ストレス。疲れや病気から起こる、生理的ストレス。職場や友人、人間関係から受ける、心理的ストレス。私たちは、日々これらに直面して、カラダの中のホメオスタシス「恒常性の維持」が揺さぶられます。



この、外部からの刺激によって起こる、イライラや怒り、驚き、悲しみなどの感情を、元に戻そうと、自律神経系や内分泌系が援護するのです。つまり、防衛反応ですね。

健康体であれば、この一連のシステムを、スムーズに行うことができますが、ストレスが許容量を超えてしまうと、作業処理が遅れたり、または、反応しなくなり、さまざまな障害が引き起こされます。自律神経系心身症・免疫系心身症・内分泌系心身症・アルコール依存症・不眠症・うつ病などが、それに値します。

なんだかとてもストレスが悪者のように思えてきますが、まったくのストレスフリーもカラダには良くないそうですよ。要は、無数のストレスに対しての適応力の問題なので、万全で対応するために、今の自分に何が足りないのか?それを補っておく必要がありそうですね。

トレーニングの原則にもあるように、運動(刺激)、食事(栄養)、休息(睡眠・回復)この3つのバランスが、きちんと保たれているのが理想形です。運動をすると、脳は刺激を受け、脳内物質(ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンなどの快楽ホルモン)の分泌を促し、活性化します。そのため、ストレスに対する耐性がアップするのです。

また、適度な運動は、寝つきが良くなったり、深い眠りであったりと、睡眠の質そのものを改善させるメリットがあります。カラダやストレスのリカバリーに、運動習慣は不可欠のようです。

最後は栄養について。人によって、1日の食事回数は違うのかもしれませんが、2回であれ、5回であれ、バランスが大事であるということです。お肉ばかり、野菜オンリー、ごはんのみ、なんて食事はしていないですよね?脂質・糖質・タンパク質、それにビタミン、ミネラルもプラスして、いろいろなものをバランスよく摂れるように。あたり前ですが、意外に難しい。そんなことを心がけて、カラダを喜ばせてあげてください。そうすればきっと、免疫力も向上し、ウイルスやストレスに負けないカラダをつくり、維持できるはずです。

この3つ(運動・食事・休息)のトライアングルを上手にキープしながら、毎日を楽しみましょう。

今回の『Flowing Exercise』は、骨盤底筋群にアプローチする「カール」
(1)骨盤を立て背すじを伸ばします。ハンドポジションは、手のひらを上に向け、指で骨盤を捉えます。このニュートラルポジションで息を吸いましょう。
(2)意識する部位は、恥骨の奥(骨盤底筋群)です。

(1)息を吐きながら腰を丸め、骨盤を後傾(後ろに倒すような動作)させていきましょう。
(2)さらに、おしりを絞りながら、お腹をへこませます。(おへそをお腹にしまうようなイメージで)

(1)骨盤底筋群をしっかり意識しながら、息を吐ききってください。
(2)息を吸いながらニュートラルポジションに戻ります。背すじを伸ばし、腰を立てましょう。この一連の呼吸と動作は、音楽とともに、20〜30回くり返されます。


骨盤底筋が衰えるとどうなるのか




胴体の底を支える骨盤底筋。さまざまないくつもの薄い筋肉や靭帯が折り重なっているため、「骨盤底筋群」とも呼ばれています。単独では活動せず、腹横筋の活動と関連しており、腹圧を増加させます。とても小さな筋肉ですが、担っている役割はとても重大です。

内腹斜筋・外腹斜筋は体幹を動かすためだけではなく、腹横筋とともに、腹腔の内圧を高めたり、内臓の位置を安定させるなどの働きがあります。

図のように、骨盤底筋群はカラダの前面にある恥骨から、後ろの尾骨までをつなぐ、ハンモックのようなかたちをしている筋肉です。私たち人間が二本足で歩きはじめた頃から、胴体、つまり骨盤の底に、膀胱や子宮、直腸などの、生殖器や内臓器の負担がかかるようになりました。その負担から、カラダを守ろうと支えているのが、ハンモック状の骨盤底筋群です。

この役割以外にも、排尿、排泄、分娩などの生理機能をコントロールしたり、腹腔内圧(腹圧)を安定させる働きがあります。とくに排尿などの機能には、筋肉と神経の互いの協力が必要で、高度な働きを求められるのです。

骨盤底筋群の緩みは、さまざまな機能を低下させます。望みもしない症状が表れることにもなり、日常生活に支障をきたします。そのひとつに、腹圧性尿失禁という、笑ったり、咳やくしゃみをしたり、運動中にお腹に力を入れた瞬間、膀胱を圧迫し、尿がもれる症状があります。年齢を重ねるごとに、表われやすいとも言われていますが、こちらの筋肉は、20代から衰えはじめるらしいので、油断はできません。

さらに、内臓器が下垂して、お腹がポッコリ出てしまうなんて・・・ほんとうに望んでいないことですよね。意外なところの筋肉が張ってしまったり、まさか!?のパーツに脂肪がついてしまったりと、ボディラインの崩れも、無関係でないことを知っておきましょう。また、腹腔内圧の低下を招き、姿勢を悪化させるため、悩みの種をつくります。



悩みの種とは?
腹圧が、正しく機能していると、脊椎や骨盤の位置が安定し、湾曲を描いた姿勢をしっかりキープすることができます。ですが、腹圧の低下は、それに関わる筋肉(骨盤底筋群・内腹斜筋・外腹斜筋・腹直筋・腹横筋)を弱化させるため、姿勢を乱し、想定外の筋肉の緊張を高めてしまい、腰痛をひき起こす原因をつくるのです。

また、姿勢の悪化による骨盤の歪みからくる、生理不順やPMS(月経前症候群)などは、女性特有の悩みでもあります。骨盤底筋群を強化することでサポートされ、骨盤内の、血流やリンパの流れを促進し、子宮や卵巣の環境を整えます。女性ホルモンの、ベストバランスを築くことが期待できますので、改善にもつながりやすいでしょう。

その他にも、女性に関わるトラブルとしては、子宮が正常な位置より下がっている状態の子宮下垂。それより進行し、子宮の一部、もしくは全部が体外に出てしまった状態の子宮脱があげられます。

私たちに、骨盤底筋群という、その小さな筋肉が、どれほど大きな役割を果たしているのか、少しご理解いただけたと思います。年齢とともに、衰えやすくなる筋肉ですが、最近では、若年者の20代・30代から、これら症状が表れることも少なくありません。カラダの軸となるポイントのひとつ、骨盤底筋群を鍛えて、ご自身のカラダを、さらにアップグレードしてみてください。

「Flowing Exercise協会理事のコメント」
体幹(コア)のエクササイズというと、アスリートが行っているようなキツいトレーニングをイメージされるかと思います。また、キツくないと効果がないように思われている方も多いのではないでしょうか。『Flowing Exercise』は、筋力トレーニングとしては異例の、自然で楽な呼吸が保てるように考えられたヒーリングの音楽を使用しています。「なんとも言えない気持ちよさ」を体感しつつ、エクササイズ終了後には、姿勢が良くなっている自分に気づかされ、体幹のインナーが十分に刺激されたことも、ご自身で確認していただけます。
  • 和田智子
    C² company事務局長/Flowing Exercise協会理事
    ㈶東京都高齢者・福祉振興財団認定 介護予防運動指導員
    シナプソロジー普及会シナプソロジーインストラクター
    JCCAベーシックインストラクター

  • 後藤 可都実(ごとう かつみ)
    C² company代表 
    Flowing Exercise協会理事長
    JCCAコアコンディショニングパーソナルトレーナー
    日本健美協会リンパドレナージュアドバイザー
    (財)東京都高齢者・福祉振興財団認定 介護予防運動指導員
    シナプソロジー普及会シナプソロジーインストラクター

MODEL :
SeiRyu
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 003 ]

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