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キック・ボクシングとボディビル ~ 沢村 忠 選手 ~

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[ 月刊ボディビルディング 1968年7月号 ]
掲載日:2017.11.20
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 プロ・スポーツのなかで、最近テレビの視聴率がもっとも高いといわれるのがこのキック・ボクシング。なぐる、ける、投げるーープロ・レス顔負けのすさまじさである。手にはグローブをはめるが、ヒザもヒジも使えるので、むき出しのかたいパンチが相手の急所を容赦なくおそう。およそ人間が考え出した格闘競技で、これくらい原始的な野獣性をむき出しにした競技はないのではなかろうか。

 沢村忠ーーこの人こそ、新興キック・ボクシングの期待を一身にになって立つ東洋ミドル級チャンピオンだ。リング上に発散する沢村選手のあのすさまじい迫力は何から生まれるのだろうか。
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 キック・ボクシングの育ての親、日本キック・ボクシング協会の野口修氏はいう。

 「ひとロにいって、キック・ボクシングの魅力は、ダイナミックな迫力がリング上に躍動することですね。それにはスピード、柔軟性、打撃に対する耐久力、スタミナ、パワーなどのすべてが身につかなければなりません。また、ひきしまった精悼な肉体のたくましさも、観客にとっては大きな魅力の一つですから、パンチ力や打撃に対する耐久力をつけるためのトレーニングとともに、たくましい筋肉をつくるためにも、適度なウェイトのバーベルを使ってポディビルをやらせています」
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 まず、準備運動で体をほぐしてから、リング内でシャドウ・キック・ボクシングをやったあと、サンドバッグを相手に蹴りとパンチの反復練習ーーあらゆる型の蹴りがリズミカルにくり出され、コブシとヒジがめまぐるしく舞う。蹴りの打撃力の強烈さとそのフォームの美しさには目をうばわれる。大きなサンドバッグが彼の一蹴りで天井につかんばかりにゆれ動く。
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(左から)ひざげり、まわしげり、コブシのパンチ
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(左から)スタンディング・プレス、ダンベル・カール、ワンハンド・スナッチ
 沢村クラスの蹴りの1発は、藤猛のパンチに数倍する打撃力を秘めているそうだ。だから、よほど筋肉をきたえておかないと、その1発でかんたんにダウンしてしまう。ためしに、沢村選手の腹を思いきりなぐってみたが、まるでタイヤをたたいているよう。ボディビルダー顔負けのみごとな腹筋である。

 サンドバッグが終わるとナワとび、それからウェイトトレーニング。30kgのバーベルを使い、スピードをつけてスタンディング・プレスをやり、ダンべル・カールをやり、次にべント・ロー、そしてワンハンド・スナッチを交互に行なう。7〜8回を1セットとして1セットずつである。
次は、首を強くするためのブリッジと腹筋強化のシット・アップである。そして、リングに張られたロープを正面から数回軽くとび越えてバネを養い、柔軟体操で最後の調整を行なってザ・エンド。

 一瞬の妥協も許さぬ気力と緊張の連続ーーたゆまぬトレーニングとそれをやり通す根性と研究心の三つがそろわなければ、一流にはなりえないということを痛感させられた1時間であった。(玉利 斉)

沢村 忠

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(本名、白羽 秀樹) 野口ボクシング・ジム所属。25才、身長173cm、体重61kg。最初空手をやっていたが、昭和40年キック・ボクシングに転向。22戦21勝1敗(6月4日現在)。東洋ミドル級チャンピオン。トレーニングは朝と夜、各1時間半ずつ行なっている。
[ 月刊ボディビルディング 1968年7月号 ]

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