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マッスルで雑誌とテレビをつなぐ/敏腕TVプロデューサー坂井 美継

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掲載日:2015.06.05


筋肉和尚こと坂井美継氏は、テレビ制作会社社長で芸能界の筋トレPRマン。学生時代はあのマハラジャでイベントの企画を任され、多くの人を集めたという。その企画力は吉本興業入社後も独立後も「ビューティーコロシアム、IQサプリ、笑いの金メダル、ASAYAN」など数多くの人気番組で活かされた。今回はTVプロデューサー坂井氏にマッスルにまつわるエピソードや、テレビ業界と雑誌の連動企画などについて語っていただいた。

トレーニングは共通言語


スペシャル番組の撮影などで海外へ行くケースが多いのですが、必ずゴールドジムのパスポートを持参します。世界中のゴールドジムのハンコは、ほぼあります。トレーニングできないことが私にとって一番のストレス。いまプロデューサーという立場なので、多少のわがままをきいてもらえるためジム付きのホテルをお願いしています。私にとってジムは聖地ですから。

ある国へ首狩り族の取材へ行った際、コーディネーターから「若干の人との接触はあるが、最後の首狩り族とも言われ気性が荒いから充分に注意してください」と言われたんです。なんとか接触することに成功し、酋長という人と会ったらTシャツを着ていたのを見てちょっとあやしいと思った。よ〜く見ると体がいやにゴツイし、あきらかに胸の形や二頭筋が普通じゃない。酋長も「おまえもいい体をしているなあ」という表情をし、なにか通じ合うものを感じました。

そしておれたちはこれをやっていると見せてくれたのが、IVANKOのベンチプレス、それもフルセットだし、ダンベルもあった。心の中でぜんぜん未開の地じゃないと思いながらも、酋長の体をパンパンと触りながら立派だなあという仕草をしたら、こうやるんだと器具を手にして背中をやるポーズを見せてくれた。

びっくりというよりも、こんなジャングルの奥地にも筋トレの風が吹き込んでいることにある意味感動しましたし、トレーニングは共通言語になるんだなと、筋トレの奥深さをつくづく感じた取材でもありました。

筋トレが人一倍大好きな私ですが、昨年秋ごろから体調を崩して思うようにトレーニングができなくなった。私はいま「狩野英孝の死ぬかもしれない」など心霊番組も年に30本以上手がけています。夏ごろある番組の撮影を京都で行なった際、都合でいつもの霊媒師が来られずちがう人が来た。衣装がアキバ系で大丈夫かなと思ったんです。一度ロケバスの前に落武者が立っていると言い、どかしてくださいと言ったら、交信してもどく気がないと言う。いつもの霊媒師ならそんなことはないのですが、大丈夫だと言うのでそのまま通り過ぎました。

撮影は何事もなく終わったものの、しばらくして微熱が続き体調がすぐれなくなった。体重120キロあったのがみるみる落ちていき、周囲から「大丈夫」と心配されるし、ついに88キロまでに。トレーニングする気力がまったく起こらないし、肘も痛くなり、原因が思い当たらず年末に病院で検査しても異常なし。このままでいけないと悩んだ末、いつもの霊媒師のところでみてもらったら、なんと、「お祓いミス」。え、えーっまさかという気持ちで、そしてきちんとお祓いを済ませていただき、現在は体重も96キロに戻りましたし、体調も回復してトレーニングもできるようになりました。

筋肉和尚、バイブル月ボに登場


楽屋で芸人さんたちにもその伝説を紹介しているという吉田真人氏と


高校、大学とラグビーをやっており、高校時代には静岡県代表で全国大会(花園)にも出場しました。もちろんウエイトトレーニングはやっていました。

大学生時代、名古屋のマハラジャでアルバイトしていました。学生の分際にも関わらず黒服以上のポジションでイベントの企画を任されていました。人を集めて楽しませる能力はあったようです。ですから芸能人、テレビ業界人たちと接しさせていただく機会も多かったです。そうした出会いがテレビ業界へ進むきっかけとなり、吉本興業に入社しました。

AD(アシスタントディレクター)になったばかりの頃、「今田耕司のシブヤ系うらりんご」(フジテレビ)という番組に携わった。いまのAKBみたいなもの。その番組の中で、毎週金曜日に司会者の今田さんが「マッスル」と言った瞬間、ファンの男たちがギャルたちに襲いかかるコーナーがあった。その男たちからギャルたちを守る役、いわば正義の味方としてマッスル系の人たちを置くことになった。その役としてDTTというプロレス団体のアレクサンダー大塚と高木三四郎が決まったけれど、あと一人ほしいということになり、ガタイがよくキャラ的におもしろいということで私が選ばれた。ADは上司の命令には絶対服従ですから。生きのいい若者が襲いかかってくるので、きつかった。これはもっと体を鍛えなければならないと思いましたね。

AD時代は無心で何も考えず寝ずにひたすら働きましたね。本当にテレビ業界は体力勝負で、トレーニングをやってきたおかげでなんとかここまでやってこられたと思っています。まさに私にとって筋トレ様様です。

筋トレの魅力を知ってもらいたいと、私の愛読書である月刊ボディビルディングをポパイやターザンなどと共にこっそり楽屋に忍び込ませておくのが常です。「おい、なんでこんなものが入っているんだ」と言われながらも、毎月最新号が出れば入れ替えています。もちろんこんなことをするのは、みんな誰かわかっていますけどね。品川庄司くんは最初隠れて読んでいたから、おいおい隠れて読むなと言ったりしますし、若手のチャラチャラした芸人にはベンチプレス100キロくらい挙げるくらい鍛えろ、とハッパをかけたりも。また、あれだけ筋肉を見たことがなかったのでしょう、くりぃむしちゅーらはビルダーの写真を見て大いに盛り上がったりしているのを見て、ほくそ笑んでいます。余談ですが、私の会社名「マッスル笑店」の名付け親は、くりぃむしちゅーの上田さんです。

そういう光景を見て、男子はやはり体づくりに興味があるなと思いました。月ボだとなんだか手にしにくい人も、この「フィジーク・マガジン」ならわりと手にしやすいと思いますし、中身も身近に感じられるものが多いですね。

マッスル芸人にとって月ボはバイブルみたいなもの。私もそうであり、いつかは出たいなあと思っていた。その夢が実現したのが2009年8月号(STRONG安田の筋トレ最高!!)。それを彼らに見せたら、尊敬の眼差しで「ついにそちらへ行ってしまわれましたか」と神様のように崇められましたね(笑)。

ボディビル界のアニキこと吉田真人さんには、かれこれ15年以上親しくお付き合いさせていただいています。吉田さんのトレーニング語録を芸人たちに話して刺激を与えることも。たとえば「スクワットではベルトをするな」。10年以上も前でしょうか、横浜国際プールのトレーニング場でのこと。元プロレスラーの小橋建太さんが先にやっていて、後から吉田さんが来た。吉田さんはアップからいきなり100キロ。「なんだ、この人は」と小橋さんは意識し出した。吉田さんはサイクルが早いから一気に250キロ。吉田さんは別に小橋さんのことを意識しているわけではなくマイペース。しかし小橋さんはだんだんとベルトをきつくしめて高重量に挑む。周囲はどうなるだろうと注目していたら、小橋さんが静かにバーを降ろして去っていった。そんな話をするとみんな喜びますね。

いま求められるフィジークボディ




私は10年ぐらい前トレーニング依存症になったことがありました。一週間に一度でも休むと禁断症状が出てイライラしてしまうので、ついやりすぎてしまい体を壊したことがありますし、ストレスで円形脱毛症になったことも。吉田さんに「生きていくのがつらい」と相談したら、「坂井くん何事もやりすぎはよくない、楽にやったほうがよい」というアドバイスをいただき気持ちがスーッと楽になりました。とはいってもいまでも週5〜6回行なっているのは、やはりジムへ行くと気持ちが休まるから。トレーニングをやめたら死んでしまいますよ(笑)。

筋トレのおかげで肉体的にも精神的にも強くなったと思います。そしてこの体つきからインパクトがあり、覚えてもらいやすく仕事にも大いに役立っています。

とくにいまの世の中はマッチョな精神が求められていると感じます。トレーニングで自分を追い込んで鍛えられたカッコイイ体になることできっと自信が芽生える、と言いたい。そうした克己心によってつくりあげられたマッチョな肉体がマッチョな精神をつくり、生きる力が養われるのだと実感していますから。まず自分の肉体を使って汗をかく気持ちの良さを知ること、そこから始まります。さあ、トレーニングをはじめてください、吉田語録第一章第一項の「あなたのために」。

カッコイイ体になれば、よりファッションが楽しめるようになると思います。要するに、フィジーク的なボディですよね。スタイリストが最近は細身のタイプの服を好む人が多いと言っていますし、ある服の量販店の開発部長も同じ意見で売れ筋は細身だと。大きいサイズの服の専門店でもゆったりタイプよりも、やはり大きくてもスリムっぽいものが人気なようです。体型はそれぞれであっても、共通していることは引き締まった体になってファッションを楽しみたいということではないでしょうか。娘の運動会に行って感じるのは、父親のみなさんが引き締まった体にフィットとした服装が目立ちことですね。そういう意味でもこのフィジーク・マガジンは、そうした人たちの願望に合うものだと思います。

テレビと雑誌のコラボ実現へ




テレビ業界でもやはりフィジーク的な体のタレントが求められていますね。筋肉を付けて芸に活かそうというタレントが多くなってきている。そういう流れをつくったのは韓流タレントたちと言ってよいでしょう。私の番組でも使ったことのあるビー・シャッフルという男性アイドルグループは、毎日楽屋裏で腹筋500回するなど体を鍛えることを心がけています。韓流タレントはこれがカッコイイというものを全面に体に打ち出し、わざと肉体美を強調するようなポーズをとったりして訴えます。それに日本のタレントたちも刺激を受けて現在のような流れになったと思います。なまちょろい日本のタレント文化が一気に払しょくされた。いまでは、いかに体を鍛錬するかがタレントたちにとってはキーワードになっており、生命線でもあります。

テレビは数字(視聴率)がすべてで、とくに年末の特番でも筋肉系の番組はやるのが難しいし、ゴールデンとなるとなおさら。しかし予防医学、体づくりなど健康面に関することに世の中の関心は高いですから、このフィジーク・マガジンとテレビがコラボした番組を企画したいと考えています。たとえば新人のタレントたちを起用し、「アイドルの隠れたトレーニングの公開」とか、「イケメン・レストラン」と題して太りにくい食事メニューを紹介するとか。そうすれば雑誌とタレントがともに知名度アップという相乗効果が得られるのではないかと思っています。

私のからむ番組なら、それが実現できるように努めていきたいと思います。芸能界でも売れていない時代にいかに一緒にいてあげられるかが大事で、その恩をタレントは一生忘れませんから。この雑誌も創刊間もないですし、ちょうど良いタイミングではないかと思います。

雑誌とテレビ業界がコラボしてフィジークタレントというものを育ていくことで、世間にもフィジークという名前が定着していくようになっていくはずです。

僭越ながらそれと関連して私からひとつの提案なのですが、JBBFでも他の競技団体が行なっているエリートを養成するシステムを作って、とくに若い人たちが憧れるスターを生み出すことも考えたらどうでしょうか。スターはその競技発展の起爆剤になるからです。そうすればメディアとの関係も強化されて裾野が広がっていくと思います。お互いの発展のためにも協力し合いましょう。


  • 坂井 美継(さかい・みつぐ)
    誕生日1970年6月9日
    出身地 静岡市清水区
    肩書 テレビ制作会社 マッスル笑店代表取締役、(株)共同テレビジョンキャスティングプロデューサー、朝日大学ラグビー部出身
    サイズ 身長172㎝、体重96㎏
    血液型 A型
    趣味 ゴールドジムでトレーニング&娘のフェンシング観戦
    特技 プレゼン(企画)
    家族 妻・長女

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 002 ]

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