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特別企画 USBB-JAPAN 座談会

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[ 月刊ボディビルディング 2014年7月号 ]
掲載日:2017.09.14
出席者:宇戸信一(USBB-JAPAN 理事長)、中村龍也(スポーツジムjets オーナー)、佐々木晋(13NPC チャレンジカップ優勝)、井若芳郎(13NPC チャレンジカップ2位)、北井大五(13NPC チャレンジカップ3位)、ステファニー・ケイ(13 ウィメンズビキニ優勝)、阿部和也(13 メンズフィジーク3位)、佐々木小百合(USBB-JAPAN 理事)、堺部元行(USBB-JAPAN 理事)
 これまで福岡県北九州市小倉にて開催されていたNPO法人USBB―JAPAN主催のジャパンボディビルディングコンテスト並びにNPCチャレンジカップ。2013年はこのUSBB―JAPANコンテストを更に大きく発展させるべく関東圏は千葉県市川市でこのUSBB―JAPANコンテストを開催し、海外からは山岸IFBBプロをアドバイザー兼ヘッドジャッジに迎え、加えて日本初のビキニコンテスト、メンズフィジークコンテストを開催、大成功に導いた。

 これまでに日本には無かったボディビルディングの本場アメリカNPCコンテストをお手本に、よりエンターテイメントに、よりリアルなボディビルディング、フィットネスをテーマに開催したこのコンテスト。多くの参加者、また観客者に新しい感動を呼び起こしたのは記憶に新しいところだろう。

 今回はこの2013年USBB―JAPANコンテストを主催した宇戸信一NPO法人USBB―JAPAN会長を中心に、NPCチャレンジカップ優勝者のビーフ佐々木選手や初代ビキニチャンピオンのステファニー・ケイ選手を中心にNPO法人USBB―JAPANの主要なメンバーに集まっていただき、今後のNPO法人USBB―JAPAN並びに日本におけるボディビルディング・フィットネスの方向性を大いに語っていただいた。
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―――まずはNPO法人USBB―JAPAN宇戸信一会長より昨年の総括や今後の展望についてお聞きした。

宇戸 まずは2013年、NPCチャレンジカップで優勝したビーフ佐々木選手おめでとう。NPO法人USBB―JAPANが発足しこのような盛大なコンテストが開催され、設立当初から全国に同じような志があるボディビル関係者、選手がおり、この方々をどうにか支援し同じく推進していこうというのが発足の哲学でありました。昨年はこれまでにない新しい試みを実施しているし、もちろんその過程で様々な問題点があるのは理解しているし、これを解決していくのは当然であるが、更に同じ志の同志を集め、盤石な組織として取組みジャンプアップしていかなければならない。

 では、そこで私の立場はというとやはり海外との展開や関係構築を推進していくことでしょう。それが選手や関係者のモチベーションを上げていくのは当然で、その動きを現在推進してはいるが相手があることでもあるし、慎重に事を進めており今ここでは公表はできないがこれがはっきり形にできるときにはしっかり発表していきます。その方向で動いていますのでぜひ、選手の皆さんには強い気持ちと希望を持っていただくと共に我々がそれを支えていきます。本日は選手の皆さんから忌憚のない意見や発言が聞けるよい機会だと思っています。それらを持ち帰り、更によいボディビル・フィットネス団体として邁進できるように頑張っていきます。

 この度このようなUSBB―JAPANの考え方に共鳴され、他の団体を退会し新しく関東での事務的な活躍を担っていただく千葉県JETS GYM中村会長から一言。

中村 他団体で10年以上活動してきましたが、最近選手も観客も減少傾向にあり理事会などで様々な意見や提案を述べても、なかなか受け付けられない傾向にありました。昨年、山岸プロを招いてジムにてセミナーを開催しましたが、やはりこのような活動をもっと多くの方々に見て聞いていただき、ボディビルが大好きで、ボディビルにあこがれていた時代を取り戻していきたいと思っています

 旧態依然の活動や拘束されたルールや活動から解放され、日本のボディビルも世界に負けないコンテストや取組みをし、更に普及していきたいと思います。またUSBB―JAPANという名を生かしてボディビルのみならず、パワーやベンチプレス大会などフィットネスに特化した取り組みを実施して底辺のトレーニング人口を増やしていくような取組みをしていきたい。

宇戸 NPO法人USBB―JAPANを設立した経過から関係省庁からはボディビルに特化していくのではなく、少子高齢化時代を迎え、我々ボディビル愛好家にもっと根底の体作りに寄与できることがあるはずである。それに貢献してほしいといわれており、USBB―JAPAN全体で取り組むべきおおきな事業であることは間違いがない。もっと社会貢献に寄与していきたい。

―――昨年のNPCチャレンジカップの優勝者のビーフ佐々木選手より昨年の総括と今年にかける意気込みを。

佐々木 昨年はUSBB―JAPANコンテストで新しい取組みとしてビキニやフィジークが開催された事は非常に喜ばしいことだし、コンテストが華やかになり我々選手のモチベーションも格段に向上できた。ボディビルに関しては他の団体とは趣の違うコンテストを開催できた実感はあるし、私の応援に駆け付けてくれた方や一般の観客の方からもコンテストを非常に楽しめた、という声を多く聞けた。特にポーズダウンの際に観客席に降りてのパフォーマンスは我々選手と観客の皆さんが一体化し、他の団体にはないカラーを打ち出せたという点では評価できるし、わざわざ料金を支払い観戦に来てくれたみなさんが満足してくれたという事は次回につながるし、これらを更に選手も主体となってコンテストを作り上げるきっかけとなればうれしい。このようなコンテストを毎回開催していくことで多くの選手が賛同し、参加しレベルの高いコンテストになってほしいし、今年は4地区でのコンテストが開催されるのでどこにどんな逸材がいるのか非常に楽しみです!

―――USBB―JAPANが出す賞金、いわゆる渡米支度金ですがそれが出されることでモチベーションは上がるのでしょうか? それよりコンテスト自体に期待が高まるのか果たしてどちらでしょうか?

佐々木 実際に我々にとっては大切な米国NPC出場の渡航費となるので非常に助かりますが、それにも増してUSBB―JAPANの代表として100%の仕上がりで出場し、代表として恥ずかしくない成績を残したい。しかし、我々はNPCに個人のみで出場せざるを得ない実情があるので様々な不安は常に付きまとうし、アクシデントが発生した際にも一人で対処せざるを得ない。この点を団体として考えて次の世代のチャレンジャーが増える工夫も必要だと思います。

―――USBB―JAPANは今後多くの様々な施策、方策を実施し魅力あるコンテストを開催することで多くの健全な収益を得てそれらをすべて選手に還元し、ボディビルならずビキニやフィジークの選手も米国に派遣され、チームUSBB―JAPANとして機能していくべきと考えますが、会長のお考えは?

宇土 もともとボディビルという競技やコンテストはもっとメジャーになるべきだし、私が現役の時代から30年以上経過しているが、この実情は全く変化していない。この事がどうしても理解できない。

佐々木 私は純粋にボディビルを自由に楽しみたいという思いからJBBFに正式な退会届を提出して脱退し、自身の可能性を見出す意味で米国のコンテストにチャレンジしてきました。団体というしがらみや自由な選手活動を進めてきて楽しく充実したコンテストも昨年開催することができました。昨年は日本初のビキニ&フィジークコンテストの開催で、一からのスタートとなり選手集めにも苦労してきましたが無事に開催でき、選手からも一定の評価をもらったと自負しています。しかし、また新たに他の団体で同じようなカテゴリーのコンテストが開催されると聞き、ボディビルと同じような閉ざされ、管理された体制でのコンテストが開催され、ボディビルが経験してきたような道筋を歩むような懸念は持たざるを得ないですね。

―――ステファニーは日本で日本人が主催したコンテストに出場してみていかがでしたか?

ステファニー 本当に楽しく素晴らしい時間でした。実は私はトレーニングは大好きで長年続けてきましたが、コンテストに出場するのは初めての経験でした。不安で心配でしたが、いざ出場してみると楽しかったです。

―――普段は米軍横田基地内のフィットネスクラブでトレーニングしているようですが、周りの反応はいかがでしたか?

ステファニー いくら米軍基地内といえど女性が筋トレをすることに対してあまり理解もないし、トレーニングする女性は少ない。でも私が優勝して周りからは素晴らしい、よくやったとほめてもらいましたがいざ、周りの女性に来年一緒に出場しようと誘うと自信がないなど非常に消極的です。筋トレをしっかりやると男みたいな体やボディビルダーのような筋肉がつくと思っているなど間違ったネガティブな考え方がいまだ多いです。これは悲しいことです。

―――USBB―JAPANはビキニやフィジークを日本で初めて開催し、日本の体育競技的なコンテストに逆行するようなエンターテイメント性あふれるコンテストを開催してきました。国籍やタトゥーや様々なしがらみもなく、もっと選手が良い意味でのメディアへの露出を増やすべきだと思う。ビキニやフィジークの選手に見るようなみんなが憧れるような人材を発掘し、世に出し続けることでステファニーのようなチャンピオンを目指して欲しいし、フィジークのようなかっこいい身体にあこがれる人たちが選手として出場し、佐々木選手のような究極の身体をしたボディビルの選手が出場する総合的コンテストとしてUSBB―JAPANはあるべきではないでしょうか?

宇土 やはり全体的にみんなが憧れるスターを作り輩出していくべきで、様々なメディアが取り上げたくなる様な人材を作る。そのための戦略はもっと練るべきだし、その一番近い所にいるのはステファニーじゃないか?

ステファニー 昨年は出場をぎりぎりまで迷い、米軍基地のPATさんから後押ししてもらいようやく8週間前に出場を決めた。でも本当の私はシャイで表に立つようなタイプではないが、出場して本当に良かった。今年は日程も早めにきまり計画も立てやすいので早めに準備して今年もタイトルを目指したい。

阿部 昨年は3位でした。私もパーソナルトレーナーをしているので普段から自己の身体の鍛錬にトレーニングを行っていますが、その中でいつかはコンテストに出場してみたいと考えてはいました。しかし、目指す身体はボディビルというカテゴリーではないし、出場するならフィジークのようなコンテストに出場したいと考えていました。昨年出場できる機会を与えていただき感謝しているし、これまでの見る立場から出る立場に変化した事は周りの目を含め大きな事でした。

 これまでベストボディというコンテストに出場したことがありましたが、審査員が発表された時から違和感は感じていました。私はこれまで行ってきたトレーニングの成果を発揮するべくコンテストに出場したのですが、審査してもらうにはやはり服飾系やトレーニング、身体作りに精通していない方より高度な見地で身体を判断してもらえるこのUSBB―JAPANに非常に魅力を感じました。ましてやIFBBトッププロの山岸選手がヘッドジャッジになり、他のジャッジの方々もいずれ劣らぬ経歴の持ち主の方で楽しくより真剣にコンテストに臨むことができました。結果は3位でしたが仕事上でも非常に反響は大きかった。そういう意味では我々のフィジークのような競技はボディビルとは違い敷居は低いので、一般の方々を誘いやすく競技者増には貢献できる思います。すそ野が広がり同じ競技を楽しむ方が増えるのは非常に良いことだと思います。

井若 昨年のNPCチャレンジでは課題も多く残りましたが、2位という成績に満足しています。今年は選手という立場に加え、仙台で開催する東日本大会の主催者として担っていく立場にもありますので改めてよろしくお願いします。ボディビルに関していうとメジャーになれないというお話がありましたが、以前は多くのプロが来日しポージングしたりセミナーを開催したりと盛り上がりを見せた時代もありました。私自身は当初からアメリカに憧れ、いつかはNPCにチャレンジしたいと思っていました。現在のアメリカのボディビル事情を見てみると、私が憧れているプロ選手は今やユニバースやあのアーノルドアマチュア、アジア大会などには目もくれず出場すらしていない。そんな中でアジアやましてやもっと小さな国際大会など魅力を感じない、しかし、日本の選手はそんなレベルの格段に落ちた大会に出場することが目標となり、憧れ私からみたら小さくまとまりすぎではないかと違和感を感じてしまう。ボディビル=アメリカの図式がある私には、毎年出場しているNPCではそんなプロ予備軍が大挙して出場しレベルアップにも一役買うし、コンテストを華やかにしてくれ、自分自身に夢を持たせる場所になっている。
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昨年日本で初めて開催されたビキニとフィジークコンテスト。これらのコンテストをキッカケにフィットネスブームが巻き起こるか

昨年日本で初めて開催されたビキニとフィジークコンテスト。これらのコンテストをキッカケにフィットネスブームが巻き起こるか

 今後はUSBB―JAPANとNPCが強固な連携を作り皆が憧れるステージを作ってあげたいし、今は若い連中がそんなNPCのステージにがむしゃらにチャレンジしていることもない。もしそんな勇気が持てない自信が持てないというなら、我々が率先してコンテストに同行したり、見学したりトレーニングキャンプを実践したりしてボディビルで夢を持てる団体として率先してあげたい。

 今年仙台で開催するコンテストを危ぶむ声もあると聞きますが、私自身が通う地元山形のフィットネスクラブでも一生懸命体づくりにいそしむ多くのコンテスト予備軍は多いです。山形や東北地方では実際にJBBFが機能せずコンテスト自体も長年開催していない所が多い中でボディビルとともにハードルを下げたフィジークのコンテストを開催し、そんなトレーニーが自身の身体を披露する場所を作ってあげたい。また、年齢の高い層や若年でも頑張る選手も多いのでマスターズやジュニアなど臨機応変にカテゴリーを創設していきたいと思います。

―――フィジークの阿部さんとしてはNPCに対する意識は?

阿部 自分自身ではNPCに対してピンときていないが、雑誌や写真などでみていくと華やかだし非常に魅力的に感じます。しかし、それに出場するまでのプロセスやシステムを理解していないので当然ハードルは高いと躊躇してしまう。まさに夢物語のイメージです。

―――ステファニーはNPCに対しては?

ステファニー フェイスブックやツイッターなどでNPCの選手をフォローしたり調べたりしています。昨年のUSBB―JAPAN出場は良い意味でリハーサル的なこともできたと感じているし、多少自信もできたので今年はNPCに出場したいという希望を持っています。

―――アメリカのNPC出場経験も長い北井君の見解を聞かしてほしい。

北井 今まで個人的にNPCに出場してきましたがUSBB―JAPANをきっかけに多くの選手と交流ができ、情報交換や意見交換ができることは非常に大きいと感じています。NPCに出場したいと思っても阿部さんではないですが、一人で行動するにはやはり限界もありますので、そんな方々にとって私の活動が選手の発奮の材料になってくれれば幸いです。私自身もアメリカに憧れ、NPCに挑戦し続けてきましたが、USBB―JAPANコンテストもそんな雰囲気を感じています。いずれNPCの選手がUSBB―JAPANに出場するなどの相互関係ができる規模になればうれしいです。

―――今後USBB―JAPANが抱える問題としてはボディビルより新規に採用したビキニやフィジークにあると思われます。その最たるものがNPCのルールに基づく審査方法の確立、審査員の育成、技術向上ではないでしょうか。ビキニの出場を阻む様々な誤解や無理解も解決していかなければならないことと思います。今後の展開をお聞かせください。

小百合 他の団体とどのように競合していくかもポイントとなると思います。第一回では誰でも出場してくださいではなく、レベルを保った選手の出場を目指してアプローチしてきました。ステファニーのような選手に直接オファーをかけて出場を依頼したほどです。

 観客の声としては我々が感じた、懸念したセクシャリティだけが突出するようなイメージもなくフィットネスを知らない、一般の方でもステージ全体の進行や選手のパフォーマンスも非常に良かったと言ってくれていた点は評価したい。また、コンテスト自体も照明や音楽、工夫した演出でエンターテイメント性にあふれるステージにできたことで、選手はより華やかに見え素晴らしいと感じてくれたので、今年はそれを見てきた人、そんな情報を聞いた中から出場者が出ることを期待したい。

 JBBFでも我々とかぶるコンテストを今年開催するようですが、昨年以上に努力して選手に声をかけてより魅力のあるコンテストにしていきたい。ポイントは米軍基地にあるフィットネスクラブや外国人が多く集まるスポーツクラブなどに誘致を依頼して、選手が憧れる工夫をこらした演出、ステージにしていきこれらを繰り返していく以外に方策はないような気がします。控えめな日本人には小さなビキニを着用しステージで披露するという大きなハードルはありますが、海外のビキニ情報をHPに乗せたり、セミナーなどを随時開催しビキニの魅力を訴えていきたいです。

―――今年はすでに多くの著名なプロレスラーが昨年に引き続き参戦を希望していると聞いています。仙台の東日本大会では震災復興で様々な活躍をされるみちのくプロレスのザ・グレート・サスケ選手や仙台女子プロレスの選手もビキニに出場してくれる予定で、地元密着の素晴らしいコンテストになりそうな予感です。ビキニもフィジークもよりメディアに取り上げられやすいカテゴリーであり、それらを利用してモデル事務所やアパレル関係に声掛けをし、更には運営サイドでは今後につながるスポンサーを誘致してくることも必要でしょう。しかし、これらのカテゴリーは出場までのハードルが低い分、より慎重に身体づくりの啓蒙やステージングなどのセミナーを積極的に開催していく必要があります。これらを怠るとフィットネスのコンテストではなくなりただ単なる美女・美男コンテストになる恐れも出てくるでしょう。またボディビルに関しては次の世代の若手を育成していく必要もあると思いますがいかがですか?

佐々木 もちろん若手をどんどん育てて行きたいという気持ちはあります。我々の若いころはボディビル雑誌の中に登場する海外のトッププロを見てモチベーションをあげてやる気になったりしていましたが、現在はそんな雰囲気を感じる若手に出会えていない。様々なボディビルに見る誤解や歪曲がこんな土壌を生んでいると思うが、日焼けをしなくてよいカラーの有効性を全面に押し出したり、もっと参加しやすい環境つくりも提案していきたい。この事はボディビル全体が抱える大きな課題と言えるでしょう。

―――フィジークについてはどう思いますか?

阿部 実際に非常に興味を持っている人は多いし今後ますます選手は増えていく時代になると思います。選手自体がコンテストを選択、団体を選択していく時代になっていくような気がしますね、ボディビルと違って。

佐々木 だからこそ本場のNPCでフィジークの選手は出場し、もまれてほしいね。ボディビルと見間違うほどのバルクとコンテストに対するポジティブさは必見だしやはり日本という狭い中で小さく争うより、レベルの高いフィジークのコンテストを経験して更にUSBB―JAPANのフィジークのレベルアップを図ってもらいたい。
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井若 ミスターロサンゼルスに出場して感じたのは、我々ボディビルダー以上の身体を持つ選手が実はフィジークに出場するなどやはりレベルの高さはすさまじいですね。

会長 ビキニもフィジークの選手も日本一で満足せずにアメリカならずワールドワイドに世界のスタンダードを見てもらい、発奮してもらいたいですね。

北井 NPCチャレンジカップでは我々のような大型と言われる選手に臆して出場を躊躇しているならばぜひ、USBB―JAPANのクラス別にどんどん出場をしてもらい横田基地大会と同じような規模にコンテストにしていきながら底辺の拡大に努めていくことも必要ですね。

井若 ボディビルに若手の後継者が育ちにくい現状があるとは思いますが、やはりトレーニングで得られる筋肉なんて長年我慢しつつ作り上げていくしかないわけでフィジークの選手も同様なことが言えると思います。ボディビルもフィジークもトレーニングに大きな違いはあるわけではないので、成長段階である時はフィジーク、ある時からはボディビルと段階的な出場も十分あり得ますね。実際アメリカの選手は同じ日にボディビルとフィジーク双方に出場している選手も多くいます。成長する過程の中でタイプを見極めて出場するカテゴリーを決めていくのも良い方法だと思います。自身の成長の成果を披露するという意味でコンテストを活用することはいいことだし、とにかく楽しみながら勇気を出してコンテスト出場というスタートラインに立つことですね。そういう意味ではフィジークの位置づけも非常にバランスが取れていると思いますよ。

会長 ボディビルの出場者が減少していくことは非常に由々しきも問題だし、そんなコンテスト、団体であっては困るんです。その懸念を払しょくするのは私の最大の仕事でもありますがNPCチャレンジカップに出場する、参加するだけでもトップアマチュアであるというようなステータスをこのチャレンジカップには与えていきたいと思っています。NPO法人USBB―JAPANとして今回様々な提言、意見を皆さんから上げてもらいましたが、突き詰めていくと様々な問題の解決は団体トップの責任でもあるわけです。それは私は日ごろから非常に自分への戒めとして肝に銘じているし、その覚悟をもってこの団体を立ち上げました。その覚悟がなければUSBB―JAPANの旗は上げられなかったのです。団体創設の際には最高顧問である内閣副総理の麻生太郎先生のところに相談に行きましたが、その覚悟を問われ先生にはきちんとお伝えしてきたのです。私は団体トップの采配で多くの選手が路頭に迷うような事は絶対にさせたくありませんし、させません。

―――こうして皆さんのご意見や建設的な発言を聞いていると、USBB―JAPANは今後はコンテストだけの開催をメインとするのではなく様々なトレーニング、フィットネスの啓蒙活動を積極的に展開し、選手を活用したセミナーやトレーニングDVDの作成、各種イベントを活性化しこの業界に新しい風を吹き込んでいく必要がありますね。最後に皆さんから一言ずつお話を頂戴したいです。

中村 昨年の大会前から皆さんとお付き合いをさせていただき、コンテストも間近で拝見し本当のアメリカのボディビル大会を見た気がしました。私も若い頃はアメリカにボディビル修行に出かけたり、ボディビルが大好きでしたが、今回皆さんとのこのような座談会の中で話を聞き、本当に皆さんはボディビルが好きなんだなぁと実感しました。これからのUSBB―JAPANは今回の様に皆で集まり、知恵を出し合い意見を出し合い楽しく実りのあるコンテストにしていきたいと思います。また、これからは様々なイベントを企画し、ボディビルを知らない層にもトレーニングが大好きな愛好家が共に楽しめるイベントを考案、作り上げて底辺拡大に努めていきたいと思います。本日はありがとうございました。

北井 2年連続でこのUSBB―JAPANに出場させてもらい非常に楽しく魅力的なコンテストであることがわかりました。今年も選手スタッフ全員で工夫しながら意見を相互に出し合い魅力的なコンテストにしていきたいと思います。

佐々木 今年はすべてのカテゴリーにおいて昨年以上の盛り上がりを出せるように努力していきたい。観戦に来てくれた観客の皆さんの中から一人でも次年に参加したいと思えるようなモチベーションを上げられるような万全のコンディションでコンテストには臨みたいと思います。そんな行動をする中で一人でも一緒にコンテストをしたい、トレーニングしたいと思える仲間を作っていきたい。

阿部 個人としての成績を残すのはもちろんですが、このような座談会に参加させていただき皆さんの意見を聞く中で私自身も責任を持ってUSBB―JAPANの活動をドンドン推進しお役に立ちたいと思いました。今年は多くの意味で飛躍の年にしたいと思います。本日はありがとうございました。

井若 今までは選手の立場でしか考えていませんでしたが、今年は仙台の東日本大会の責任者としてぜひがんばって参ります。先日、仙台大会の挨拶を兼ねてハレオのディビッド社長にお会いする機会に恵まれ、多くの提案、ご意見をいただきました。特にビキニやフィジークに出場する選手も個人で出場するのは良いことであるが、チームや団体で参加しそれをチーム単位で評価するような大会を提案されました。コンテストを楽しむような雰囲気を作り、より柔軟性の豊かな発想で良いコンテストにしていきたい。現在アメリカではクロスフィットが一つの大きなブームになっており、その競技としてのコンテストも高額な賞金が課せられ開催されているそうです。そんなフィットネスの複合的な要素を持つコンテストも開催できればよいと感じています。もう少し我々のような選手目線ではなく一般の方々も参加しやすいような目線で、楽しめるコンテストつくりをしていきたい。

ステファニー できれば周りのみんなにも声をかけて私でも出来たから皆も同じように頑張ろうと誘い合って選手を増やしていきたい。私自身もぜひこれまで以上に気合を入れてがんばりたい。ビキニは自身の身体の鍛錬だけでなく、パーソナリティが入って初めて成り立つ事を実感している。心身ともにトレーニングできるこのビキニと言う競技をセミナーや普段のトレーニングでも参加者を増やして行きたい。

小百合 昨年は果たして私に何ができるか自問自答しながら探りながらのスタートでした。コミニュケーションとして英語を活用し選手をサポートしたり、選手や審査員を集めたりと苦労はしましたが、やりがいとしては素晴らしい時間を共有できました。これまでは夫である佐々木のサポートをメインとしてきましたが、今日、皆さんの話を聞いて選手もスタッフも一体となってコンテストを進めていかなければ決して良いコンテストにはならないという思いです。今後も私なりにできうる限りの努力をして昨年以上の大会にできるように頑張りたいです。

会長 今日はありがとうございました。今日、皆さんの本音が聞けた事は私の団体、コンテスト運営にとっても非常に貴重なことであるし、勉強になりました。今年は更に飛躍の年とするべく皆さん体調には特に気を付けて全員が目標であるコンテストに向けて頑張ってください。
2年連続ゲストを務めた山岸プロ。今年は彼に加えて超ビッグなゲストを予定しているとか

2年連続ゲストを務めた山岸プロ。今年は彼に加えて超ビッグなゲストを予定しているとか

 この座談会では様々な意見、提案が選手目線だけではなく広義としてのボディビル、フィットネスの繁栄をどうしていくかを議論できた貴重な良い機会でありました。選手が主体であり、観客の皆さんが貴重な観戦料を支払い観戦に訪れてくれることを当たり前と思わず、謙虚にボディビル、トレーニングに邁進する以外発展はないような気がします。選手の楽しめる、観客の皆さんも楽しめるコンテストをめざし、リアルなアメリカのNPCコンテストを日本で間近に楽しめるようにUSBB―JAPANは今年も頑張ってまいります。
中村龍也/ 1965年12月生まれ/スポーツジムJETSオーナー

中村龍也/ 1965年12月生まれ/スポーツジムJETSオーナー

佐々木晋/ 1968年4月生まれ/ 13年NPC カップ優勝/身長163㎝、体重87㎏(オン)

佐々木晋/ 1968年4月生まれ/ 13年NPC カップ優勝/身長163㎝、体重87㎏(オン)

Stephanie Kei / 1990年2月生まれ/ 13年ウィメンズビキニ優勝/身長175㎝、体重67㎏

Stephanie Kei / 1990年2月生まれ/ 13年ウィメンズビキニ優勝/身長175㎝、体重67㎏

阿部和也/ 1981年1月生まれ/ 13年メンズフィジーク3位/身長173㎝、体重68㎏(オン)

阿部和也/ 1981年1月生まれ/ 13年メンズフィジーク3位/身長173㎝、体重68㎏(オン)

井若芳郎/ 1975年5月生まれ/ 13年NPC カップ2位/身長174㎝、体重93㎏(オン)

井若芳郎/ 1975年5月生まれ/ 13年NPC カップ2位/身長174㎝、体重93㎏(オン)

北井大五/ 1972年1月生まれ/ 13年NPC カップ3位/身長172㎝、体重92㎏(オン)

北井大五/ 1972年1月生まれ/ 13年NPC カップ3位/身長172㎝、体重92㎏(オン)

後列左より阿部、北井、小百合、井若、堺部。前列左より佐々木、中村、宇戸会長、ステファニー

後列左より阿部、北井、小百合、井若、堺部。前列左より佐々木、中村、宇戸会長、ステファニー

[ 月刊ボディビルディング 2014年7月号 ]

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