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JBBF玉利会長が語る”フィジークの未来”(2/2)

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掲載日:2015.06.05

女子ボディビルはフィジークへ




Q.競技の名称はどのようになりますか?
男子はメンズフィジーク。女子のビキニはフィットネス・ビキニ。それから今年はやりませんけど、はっきり言って女子ボディビルが限界に来ています。ただし、やっている人は一生懸命ですよ。今まであそこまで身体を作り上げてきたという努力はたいへんなものですね。

それから、日本の女子ビルダーは外国の選手と比べてポーズをよく研究しています。そういった努力をそのまま埋もれさせてはいけない。女子ボディビルはアジアでは今年はやるけれど、今年だけですよ。そうなってくると今まで努力してきた人達の努力を埋もれさせてはいけない。それを繋げるために、私はウーマンズ・フィジークにつなげればいいと思っています。

この流れはその方向にならざるを得ないだろう。女子ボディビルの頂点を目指してきた人達のその努力と夢を消したくない、それにはこの動きに持って行くのが当然であろう。それから、そうなることによって、ずいぶん世間から見る、社会から見るボディビルに対するイメージは違いますよ。

Q.JBBFレポートの中には2014年実施競技の中にフィジークとフィットネス・ビキニ競技も含まれていますが、具体的に決定事項はありますか?
どういう形でやるかは、わたしはこう考えています。仮に選手たちが多く集まったとしてもフィジークとフィットネス・ビキニに関してはこれまでなかった分、審査員の能力があるかないかが問われることになります。だからその能力も考慮に入れて大会を開催していかなければならないと思います。

Q.玉利会長がJBBFの組織をつくられて半世紀以上が経過していますが、いよいよ理想とする形が作られることになったのですね?
自分の思いが現実になる前にあの世に行ってしまう人が多いですが、レスリングの八田さんが私に言ってましたよ。私がボディビルを始めて20年くらいのときに、「玉利くん、いろいろ大変だろうけど、是非貫けよ。俺が東京オリンピックで金メダル獲ったのはレスリングを作って40数年かかったよ」と。

レスリングを作った時には、早稲田大学の柔道部の中にまずレスリング研究会という名称で作ったのですよ。柔道部がアメリカに普及させるために遠征して、柔道はまだ普及してないからレスラー達とやる訳です。柔道着を着させるとオモチャみたいにぶん投げた、じゃあ向こうは今度裸でやろうっていうと、逆にごてごてにやられたと。それから裸も研究しなければならないと思ってやったのです。

それで作った時に柔道の創始者と言われる嘉納治五郎さんが「八田君大いに研究しろよ、だけどレスリングを日本でものにするのは50年かかるぞ。俺が柔術を柔道としてスポーツ性、競技性、体育性というものにもってきて学校体育に入れるまで50年かかったよ」と。

ボディビル連盟は今年60年目です。ここにきてやっと私の自分の方向性が形になっていきました。肉体というのは高く捉えれば、いくらでも高く深いものをもっているのです。人間精神、人間の生活、人間の本質、全部肉体を離れていないですよ。良い意味の肉体文化という物は現実を肯定する力強い文化です。

それがギリシア思潮です。「ギリシアは明るい太陽を愛し、青空を愛し、地中海の青さを愛し、均衡を愛し」ですよ。それが西洋文明の原点といわれています。それからキリスト教が出てきて、この世よりもあの世が素晴らしいのだという思潮。それを基に現世を良くしようと言うのが宗教の役割です。

それもいいけれど、あの世に頼る前にこの世に生きてきたのだから、この世をまず健康で逞しく、明るい力強い生活が出来るようにするのが先じゃないかと思います。あの世はあるかもしれないけれど、行って帰ってきた人はいないのです。一度行ったら、みんな行きっぱなしなのです。否定はしないけれど、極楽も天国も一度つぶさに客観的に説明してくれよって言いたいですよ。

Q.玉利会長の人生観はそのようなことが根本をなしていたのですね?
ですから、ボディビル50年史の本を出した時、古代ギリシア、ピンダロスの詩を載せてもらいました。「ああ 私の魂よ 不死の生に憧れてはならぬ。可能なものの領域を汲みつくせ」と。ボディビルの精神はまさにここにあると思います。

Q.すでに大阪連盟が5月にオープン大会として、JBBFで初めてフィジークとフィットネス・ビキニの大会を開催されるようですが、今年、日本連盟主催でフィジーク&ビキニ大会は開かれるのでしょうか?
地方大会に於いては、地方連盟の準備が整えば、どんどん開催するように要請をしています。これはうまくやっていったら地域のジムの活性化になります。 今までと違った層がどんどん受け入れられるようになりますよ。日本連盟としては、現在のところ正式決定はしていませんが、私としては今のところ、日本選手権、いわゆるミスター日本で、フィジークやビキニのもある程度のレベルにいる選手のお披露目をするということを希望しています。

2013年、ボディビル・フィットネス連盟になって初めてのボディビル日本選手権では、ボディフィットネスの選手がお披露目された。


Q.ボディビル・フィットネス連盟になり今後JBBFの方向性をお聞かせください。
ご存じの通り、我々ボディビル・フィットネス連盟はJOCに加盟しています。JOCというのは究極的にオリンピックを目指す日本の組織です。競技である以上、勝ち負けがあるもので無ければならない。

私どもがこのたびボディビル・フィットネスとした理由は、広く健康づくりという意味ですけど、もう一つは競技の中に健康づくりの要素をどうはめ込んでいくかということになります。そうなると、今までのボディビルの人達、田代君だ、鈴木君だって言うけど、あのレベルを目指す層というのは早々広いものじゃないです。

そこでやはり新しいフィットネス種目をつくり、それが即、底辺の拡大健康作りにつながるような形にしていくのは競技団体としては分かり易いのではないかと思います。

それから健康作りとなると、いろいろな事をやりますが、やはり競技団体としていく以上は競技種目としていく必要があります。

笹川スポーツ団体の調査では、どんな人が、どんな種目を、どんな頻度で行っているかという調査をおこなっているのだけれども、一番多いのはウォーキングです。でもウォーキングは競技ではない、人間だったら誰でも歩く訳で自然にやっているからウォーキングが一位になって当然ですよ。

その次にはスイミング人口が多かったですね。その次に何が来たかというと、ボディビルなのです。ところがボディビルって言ったって、田代くん、鈴木くんを目指す連中じゃない。だからさっき言ったようにレジスタンス・トレーニングに何らかの形で携わっている人達が含まれているのです。

2000軒のジムに行っている人達でバーベルやマシンに触れない人はいないでしょう。学校・大学でも立派な施設があるし、そういうもの全部を総称して筋力トレーニングです。550万人に対して現在のJBBF登録選手は2000人弱で、これ自体がおかしいのですよ。どんなスポーツでも競技人口は1万人くらいいるでしょう。

ボディビルの競技人口が少ないのがなぜかと言うと、とても田代選手や鈴木選手と張り合えっこないと思ってしまうから競技には触れてこないんです。ところが、フィジークだったり、フィットネスビキニだったらもっと気軽に参加することができるでしょう。

私はビキニ競技はただビキニの名称ではダメだと思っています。フィットネスをつけることによって、そこに競技性が生まれてくるのです。そうしないと巷にいるトレーニングをしていないグラマーな女性が参加してくるというレベルの低い大会にしてはいけないのです。だからそこにスポーツ性、競技性をしっかり盛り込み、これには国際ルールに基づいて、多少日本的にアレンジして、理念をはじめに謳う。フィットネス・ビキニの目的はこうだ、メンズフィジークの目的はこうだっていう但し書きを付けていこうと思います。それでそれを拡げていこうと思っています。

実は昨年モロッコで行われたボディビルの世界大会に行った時に、長くIFBBの役員になっているオーストラリアの会長夫婦が「どうだい?日本ではもうビキニやフィジークをやっているかい」と聞いてきました。それに対して私は「やるつもりで、今十分研究している」と答えました。

私が懸念するのは、うっかりするとスポーツ性とかけ離れたところで発展してしまうと、本意でなくなる。健康作りならなんでもいい誰が、どんな形やってもいいという形になるとケジメが付かなくなってしまうので、そのへんを今研究してどういった形でやるのか検討しているところだと言ったら、「是非やれよ」と言われました。今、オーストラリアではフィジークとビキニをやると、もの凄い人が集まって、断るくらいだということです。こういう動きは登録選手が一気に増えるのです。

それから単なる遊び、肉体の自己顕示じゃないのです。スポーツと言うのは肉体性と精神性の両方がやっぱりコントロールされ調和し、かつそれを高めていくものでなければ意味がないので、「それをしたいと思っている」と言ったら、ぜひやれよとエールを送ってくれました。とにかく圧倒的にオーストラリアのボディビル界もこれで息を吹き返したというような事を言う訳なので、ある意味見習ってやっていこうと思います。
 
  • 玉利 齊(たまり・ひとし)
    社団法人 日本ボディビル連盟 会長

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 001 ]

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