フィジーク・オンライン

Ad by SUPLINX

Weekly Monthly Shopping

骨格を正して、トレーニング効果をアップ!天童流!!マッスル・コンディショニング

この記事をシェアする

4
月刊ボディビルディング
掲載日:2017.04.21
ボディビルダーの皆さんは筋肉を大きくするため、筋力をつけるため、日々激しいトレーニングに精を出している事と思います。しかし、その激しいトレーニングも健康な身体があってこそ効果が期待できるのだと思います。肩が痛かったり、腰が痛かったり、身体のどこかに痛みやケガを抱えた状態では、まともにトレーニングができないのではないでしようか? そんなときは我慢してトレーニングを続けるのではなく、まず痛みの原因をつきとめて、痛みを改善させるトレーニングで効果を上げていきましょう。

高重量トレーニングの危険性

高重量をチーティングやフォースドレップスを使って挙げる事は骨格に捻れを生む可能性が強く、その状態が続くと大怪我を招く可能性が高い

高重量をチーティングやフォースドレップスを使って挙げる事は骨格に捻れを生む可能性が強く、その状態が続くと大怪我を招く可能性が高い

長年ウェイトトレーニングを続けていると、思ったような効果が得られなくなったり、筋肉がつかなくなったり、筋力が伸びなかったりする事は多くの方が感じていると思います。その理由は、トレーニングのマンネリやプラトー、栄養や回復不足などいろいろと考えられますが、私は骨格の歪みがその原因の多くを占めていると感じています。

私は現在、整体院で多くのクライアントを治療している他、パーソナルトレーナーとしてトレーニングの指導をしています。そして、“トレーニングが効かない”、“筋肉が大きくならなくなった″など現場での不満の声を聞きますが、そういうトレーニーのほとんどが腰や肩、ひざなどに痛みを抱えている事を知りました。特にボディビルダーは筋肉をとことん追い込むために、高重量でハードにトレーニングします。ハードなトレーニングとなれば多少のチーティングや身体をゆがめて高重量を上げる事は、多かれ少なかれ皆さん経験している事でしょう。しかし、チーティングを使ったり、体をゆがめながら挙上する事は自分の骨格をもゆがめる結果につながります。その骨格をゆがめながらの激しいトレーニングが、ひざや肩、腰の痛みの原因になるのです。そして、その痛みを感じながら、または我慢しながらトレーニングを続けていく事は、将来大きなケガにつながる事は間違いありません。

かく言う私も、今から8、9年前、中野ヘルスクラブという多くのボディビルダーが汗を流していたジムでトレーニングしており、そこで腕から首の神経を数十センチ切るという大きなケガを負いました。原因は、フォームを崩して身体を捻りながらチーティングやフォースドレップスを多用した高重量トレーニングだったと思います。それ以後2年間は60kgのベンチプレスを上げるができず、それなりのトレーニングができるようになるまでに5年の歳月を要しました。

このケガを治すために私は整形外科、接骨院、整体など多くの専門的医院に行きました。しかし首から腕の神経が切れているのでは、というところまでしか分からず根本的な治療方法は見つかりませんでした。そこで、“これは自分自身で治すしかないな”と思い、それから西洋医学の整形外科的な知識と東洋医学の整体の知識の勉強を始めたわけです。そして、ジムでケガをしている人、痛みを抱えている人への指導を通して、問題を解決するためにはまずケガをする仕組みを把握する事だと分かりました。さらに、ケガをする仕組みが分かる事は、同時に筋肉を増すための改善プログラムを考案するのにも役に立ちました。

車はタイヤが車軸に正しくはまっていなくてもある程度走る事はできますが、決してその車本来の性能を100%発揮する事はできません。人間の身体も同じ事が言え、決して骨が正しい位置になくて、身体を動かす事はできます。しかし、効率よく身体を動かしたり、100%に近い力を発揮する事はできません。なぜなら、骨の位置が正しくないと関節の可動域も正常ではなくなり、正しいフォームでのトレーニングが難しくなるからです。正しいフォームでトレーニングを行わないと、本来鍛えている筋肉ではない他の筋肉が固く緊張して、さらに動かしづらい身体を作り上げてしまいます。

長年ウェイトトレーニングをしていれば、誰しもどこかしらに痛みや不快感を持っていると思います。私も左首にこりを感じていましたが、いつかは治るだろう程度にしか感じていませんでした。しかし、身体のどこかに不快感やこりを感じられたとしたら、それは大怪我へと繋がる黄色信号がともっているのです。そうならないためには、骨の位置を正しい位置にし、関節機能を改善した正しいフォームで力を発揮できるようなプログラムを行う事が重要です。

骨格の歪みは足首から

記事画像2
記事画像3
記事画像4
記事画像5
先ほど痛みの原因はフォームを崩してまで高重量を扱ったり、身体を捻って重いバーベルを上げたりした事だと述べましたが、そもそもその身体の歪み骨格の崩れを生み出したのは普段の生活に置ける姿勢や運動履歴が原因なのです。

人間の体は本来左右対称ですが、人が生活していく上で、どうしても左右のカの強さの差というものは生じてしまいます。例えば野球の経験者であれば、打つ時にスイッチヒッターでない限り一方向へ捻る動作を繰り返します。右バッターの場合、下半身はほぼ固定して、腰から上を右から左へ捻る動きをします。この一方向への動きを練習や試合を通して月に何百回、時には何千回と行います。ピッチャーであっても同じです。人は必ず利き腕というものがありますので、力が入りやすい方をメインに使います。また、パソコンでマウスを使うと思いますが、必ず利き腕の方でマウスを動かすと思います。時間を計って左右交互にマウスを使っている人など皆無でしょう。このように日常生活や運動履歴により、身体のアンバランスは生まれ、それが骨格の歪みへと繋がっていきます。
誰しも利き腕というものがあり、その腕の方を使って仕事や生活、専門スポーツを行いますので、左右のアンバランスというものは生まれます

誰しも利き腕というものがあり、その腕の方を使って仕事や生活、専門スポーツを行いますので、左右のアンバランスというものは生まれます

この日常生活やこれまでスポーツ経験などで生まれた体の歪みを抱えたまま、何も考えずにチーティングを使ったり高重量を扱っていけば、どちらか一方に比重がかかり、正しいフォームを保つ事は難しくなります。

本来ボディビルはシンメトリー(均整)を考えて鍛えていかねばならないので、高重量を上げたいがために体を捻ったり、ムリなチーティングでウエイトを上げているだけではいけないはずです。むしろ普段の生活習慣で生じた左右のアンバランス、骨格の歪みを、トレーニングによって左右均等に力が入るよう矯正していくのがウェイトトレーニング本来の姿なのではないでしようか。

私もボディビルを始める前に野球を何年も行っていましたので、股関節に左右差がかなりあったと思います。またケガを負う前にねんざをして、そのねんざが治らないうちにウェイトトレーニングをやっていたのも、骨格の歪みを助長させる原因になっていたと思います。

ボディビルダーによく聞かれる痛みやケガは、肘、肩、腰、ひざが多いと思います。これらは肩甲骨の左右の歪み、股関節の左右の歪みから来る事が多いのですが、その肩甲骨、股関節の歪みはほとんどの場合足首の歪みから来ています。

例えば、右足首をねんざした場合底屈・内反すると、腓骨・脛骨の骨頭が外側にねじれ、大腿骨のひざのジョイント部分が腓骨・脛骨とは反対の内側にねじれ、大腿骨付け根は骨盤より外側に飛び出て、結果骨盤に左右のねじれが生じます。こうなると下股―骨盤のアライメントは崩れ、全体の姿勢にも大きく影響してきます。もしこのような状態でスクワットを行ったとすると、当然足首・ひざ・腰に大きな負担がかかり、痛みが生じてくるでしょう。

足首の器質構造的なアライメントは、身体全体の機能を左右すると言えます。現代の女性は踵の高い靴を履く機会が多いと思いますが、この踵の高い靴を履く事により足の骨が変形し、正しい足首の動きができない人を多く見ています。外販母子はその典型です。足首の機能が正常に働かなければ、ひざ・股関節・仙腸関節・脊柱・肩甲骨・肩関節そして手首関節に至るまで機能異常を起こす事があります。この機能異常を起こしてしまうと、骨の運動軸が変わリパワーが出にくくなります。

また最近多く見られる骨格の歪みは“骨盤の後傾”です。これはパソコンの普及とともに一日座って仕事をしている人が増えたからと言えます。このディスクワークを長時間行う事で身体の柔軟性が失われ、姿勢がだんだんと崩れ、猫背(骨盤後傾)になってきます。猫背になると、脊柱の正常な生理曲線(S字カーブ)が崩れ、骨盤の中心上から頭蓋骨がずれてきます。そして、肩甲骨が前に出てきて翼状肩甲になってしまい、この状態では押す種目も引く種目も正しいフォームでは行えず、ウェイトトレーニングの効果も出ずらくなってきます。この場合、骨盤の後傾が原因で肩甲骨を歪めてしまっているので、肩甲骨のみを一生懸命に正しても治りません。骨盤の後傾を正しい位置に治していかないと肩甲骨も治りません。

人間は二足歩行の動物ですから、まず足下を固めないとその上に乗っている部分はうまく機能しません。格闘技や相撲において上半身ばかり逞しくて下半身が細かったりすれば、その選手は決して強くならないと思います。また、野球においても下半身がしっかりして充実して始めて強くボールを打つ事ができ、早いボールを投げる事ができるのです。そのしっかりとした下半身を作るには、やはり足首をしっかりと機能を強化する必要があります。

機能改善プログラム

記事画像7
まず初めに、身体の問題点を改善するストレッチプログラムから始めます。左右対称に力が入りづらい筋肉を見つけ強化する事と、関節の動きが左右対称でないところを左右同じ可動域にする事が目的です。また、このストレッチで過緊張している筋肉をトレーニング前にできるだけ緩めます。

次に各トレーニング部位の種目の選択と中心軸(下肢―骨盤―体幹―胸部―頭部の重カライン)を崩さぬように行う工夫、骨盤の左右差をなくすための工夫、肩甲骨の左右差をなくし可動域の差をなくすメニューヘと移行します。この機能改善プログラムを行う上での注意点は、フォームを崩さないように動作を行う事です。そのためには今まで扱っていたような重量は捨て、フォームを安定させ、重量をコントロールできる重さを扱う事です。骨盤の左右さ、骨格のねじれを改善させなくてはなりませんので、リハビリだと思い、根気づよく取り組んでください。

私の機能改善プログラムでは、内股の部分にボールを挿んでエクササイズやストレッチを行うものがあります。これは、ボールを内股に挿む事で左右の内転筋の力を均等に発揮させ、そして左右の腸腰筋均等に力が入るように連動させるためです。さらに左右の大臀筋が同じに収縮し、体幹の中心に軸を作り、左右の肩甲骨が同じ位置で安定しやすくするためです。
記事画像8
詳しい機能改善プログラムのやり方は次号から紹介しますが、何度も言いますが日常生活はこれまでのスポーツ履歴により骨格が崩れたままウェイトトレーニングを続けていく事は効果が期待できないばかりではなく、将来深刻なケガを招く危険性が大きいのです。ですから、崩れた骨格を正常に戻すプログラムを、通常のウェイトトレーニングの前に行う必要があります。ただこのプログラムを行うには20~30分間かかりますので、時間を惜しむあまり形だけ行ってもあまり効果はありません。むしろ、時間のない場合は通常のトレーニングを優先するのではなく、この機能改善プログラムのみを行うべきでしょう。効果の上がらないへビートレーニングを続けるよりも自分自身の問題点を見つけ出し改善していく事が、効果の上がるトレーニングヘと導いてくれます。そうなるまでには多少の時間を要しますが、痛みのストレスから解放される事を思えば、根気よく続けられる事でしょう。そして、そのおかげで効かなかった種目が効くようになり、筋量や筋力がアップできてくればもう言う事はありません。

そもそも身体を動かす、身体を鍛える事は、健康な身体を得るために行う事であり、決して身体を痛めたり不健康になるために行うものではないはずです。ケガや痛みをなくし、ウェイトトレーニングの効果を最大限に引き出す事ができる、この機能改善プログラムをぜひマスターしてみてください。(つづく)
  • 天童曹耀(てんどう・そうよう)
    1965年生まれ/茨城県出身
    ゴールドジムサウス東京にて整体院を平成19年に開業。整体・カイロプラクティック・手技療法より自分独自の手技療整体を確立。ゴールドジムでの指導より養った目が、身体の問題点を各種目のフォームより改善することで歪みを根本的に改善する方法を確立して怪我のしないトレーニング法を考案。また各関節の機能改善動作と筋肉―神経連動トレーニングより初心者から上級者まで、パーソナルトレーニング指導実施中。

[ 月刊ボディビルディング 2009年6月号 ]

Recommend