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2011 JAPAN OPEN Winner’s interview

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.05.02
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今年のジャパンオープンは戦前の予想通り、男子は山崎岳志(大阪)、女子は山野内里子(愛知)の両選手が初の栄冠に輝いた。その二人がビッグタイトルをつかむまでの道のりにおける思いを訊いた。

山崎 岳志

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――3度目の正直で念願のジャパンオープンのタイトル獲得おめでとうございます。優勝が決まった瞬間の感想をお聞かせください。

山崎 1年目は予選落ちに終わり、全国レベルのオーバーオールでは通用しないのかと思いました。しかし2年目は、4位という予想以上の結果で自信を回復し、今年は絶対に優勝するんだという気持ちで取り組んできました。それだけに目標どおりに優勝できて本当にうれしくて、思わず雄たけびを上げてしまいました。そしてサポートしていただいたみなさんのおかげだと感謝の念を抱きました。

――今年はゼッケン番号1番のとおりスコアシートもすべて1番で、まさに和製ジャイアントキラーの面目躍如でしたね。

山崎 とくに大きい人を倒すという意識は持っていませんが、背が低いためにオーバーオールでは通用しないとの声を聞くたびに「なにくそっ」という思いになって、背が低くても十分オーバーオールでも戦えることを証明したいとの気持ちは強くなっていきました。私と同じような小柄な選手に希望を持たせられたらうれしいです。

――昨年からジャパンオープンへ向けて心がけてきたことはありますか。

山崎 バルクアップです。大きく仕上げたいという意識で取り組んでいたのですが、今年のアジア大会で転機がありました。70kg級に70kgぎりぎりで出場したところ、昨年より悪い5位でした。そのとき周りから仕上がりが甘すぎると指摘を受けました。大きくすることだけを考えてトレーニングしていたことにより仕上がりをおろそかにしてしまった。合戸さんからは「トップレベルで戦いたいなら、あと5キロは落とす必要がある」と強い口調で言われ、それまでの考えが否定されたようですごいショックを受けました。しかし合戸さんは優勝という結果を残されたので、合戸さんのその言葉を信じて徹底的に絞ることにしました。アジア大会から3週間しかなかったため、4キロ絞るのがやっとでしたが、自分ではある程度納得のいく仕上がりで臨むことができ、最高の結果を残せました。合戸さんの言葉を信じてやって本当に良かったです。あのままバルクアップだけにこだわっていたら、見た目のサイズは大きくなっても仕上がりは甘くて勝てなかったと思います。

――合戸選手の言葉から学んだことは。

山崎 大きくすることはいまでも大事だと思いますが、絞れたサイズでないと意味のないことを思い知らされました。正直なところ最初は5キロも落とすことに対してためらいはありました。サイズが小さくなってしまうのではないかと。たしかに鏡で見ると見た目のサイズは小さくなっているのですが、キレが出て仕上がりは良くなっているのを実感しました。大会後、人に聞いても小さくなったという印象は受けなかったと言われました。いま思うのはバルクアップしたいという気持ちで取り組んだことでサイズをつけ、そのうえで絞ったことが良かったのではないでしょうか。私自身のめざす方向性はまちがっていなかったと思いますが、バルクをつけたうえできっちりと仕上げる重要さを教えていただきました。

――これまで以上に絞るために行なったことはありますか。

山崎 毎朝のトレーニングとジムが休みの日のホームトレーニングの頻度をあげて行なった後、必ず有酸素運動をガンガンやることを心がけたことでしょうか。

――山崎選手の才能を開花させたといってよいジャングルジムの小川淳会長との出会いについて教えてください。

山崎 私は30代前半の頃、脱メタボをめざして自宅でトレーニングを始め、いつかは大会に出たいと思いながら続け、1年ほど経ってからジャングルジムに入会したことがきっかけです。入会初日にヘビーデューティトレーニングを体験させていただきましたが、こんなにもきついトレーニングがあるのかと強い衝撃を受けました。そのトレーニングによって自分をより高いレベルへと持っていってくれるのではないかと思ったのです。それ以来、小川会長のご指導のおかげで成長できたと思います。小川会長がいらっしゃるからこそ、私が求める高重量高強度のトレーニングが実現可能になっており、自分の限界がまだまだ先にあることも教えてもらっています。

――先ほどトレーニングを見させていただきましたが、二人の息もピッタリ合っていると思いました。

山崎 はい、間合がわかってくれているのでやりやすいです。でも鬼に思えることもありますよ(笑)。自分ではもう限界でこれ以上できないと思うところで、「あと3レップス」と言われると、心の底から怒りがこみ上げてくる。その怒りを大声を出しながら力に変えていますけど。でも小川会長がその妥協を許さない厳しさで追い込んでくれるからこそ、成果が出ていると思って感謝しています。

――普段のトレーニングで意識していることはなんでしょうか。

山崎 一回一回のトレーニングで全力を出すことを心がけています。どこまで出しきれるかが自分自身との戦いでもあり、今日は昨日の限界を超えようという気持ちで行なっています。そうすることが精神面、肉体面を含めた体の進化へとつながっていくと信じるからです。
撮影協力/ジャングルジムスポーツ

撮影協力/ジャングルジムスポーツ

撮影協力/ジャングルジムスポーツ

撮影協力/ジャングルジムスポーツ

――父・義夫氏と一緒に9月18日に行なわれた日本マスターズに出場されて、見事史上初といえる親子優勝を飾りましたが、いまの感想をお聞かせください。

山崎 昨年はミスター日本に一緒に出場して共に予選落ちで、二人とも不完全燃焼に終わりましたし、父にとって今回のマスターズは現役最後の大会だっただけに二人とも期するものがありました。父の最後の花道を最高の形で終わらせることができて息子として自分の優勝以上にうれしかったです。私の優勝が決まった後、二人でとったマスキュラーポーズは忘れられません。少なからず親孝行ができたかなと思いますね。父は長年ボディビルをやっていますが、一度も私をボディビルに誘ったことはありません。ただ子ども心にものすごい集中力でトレーニングにする父の姿は目に焼きついており、おそらくそこまでやらなければならないから子どもには勧めなかったのだと思います。私がボディビルを始めてからは、父のトレーニングに打ち込む姿勢をお手本にしていますが、それも今回大いに役立っており父と獲ったジャパンオープンのタイトルだと思います。

――今後の目標についてお聞かせください。

山崎 二つ目標があります。まず一つはミスター日本のファイナリスト入り。もう一つが今年悔しい思いをさせられたアジア大会での優勝です。その二つの目標が達成できたら、次に見えてくるものがあるのではないかと考えています。そのためにも10月10日にあるミスター日本が、まず大きな山場ですね。ジャパンオープンというビッグタイトルを獲った勢いで一気に目標を達成したい。絶対にできると思ってトレーニングに励んでいます。私の弱点は胸と上腕二頭筋ですが、胸は徐々に改善されてきていると思いますが上腕二頭筋のほうはまだまだ。もっともっと大きくしたうえで絞らなければならないと思っています。これからが勝負のときであり、長所の背中と脚をさらに伸ばしながら、弱点を克服していきたいと考えています。

――最後に山崎選手にとってボディビルとはなんでしょうか。

山崎 自分の情熱のすべてをぶつけることのできる存在。いまはボディビルのことだけで頭がいっぱいであり、いわば人生そのものといえます。
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山野内 里子

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――ジャパンオープン優勝おめでとうございます。一昨年3位、昨年2位、そして今年ついに頂点に立ちましたが、そのときの率直な感想をお聞かせください。

山野内 まずこれでもうジャパンオープンに出なくていいというホッとした気持ちになりました(笑)。あとでビデオを見ると、日本クラス別とはちがって最初から舞台でニコニコ笑っているんですね。ドキドキすることもなく自然体でいられ、無意識のうちに笑顔になっていたのだと思います。ポーズダウンの際には隣の人と、次はどんなポーズをしようかと話す余裕もありました。「優勝、山野内里子選手」という名前が呼ばれた時は本当にうれしいと思いました。

――今年のシーズンは、その日本クラス別からでしたが。

山野内 クラス別は完璧とはいかないまでもなんとかギリギリ仕上げることができ、幸いにも49kg級で優勝できましたが、精神的な面で落ち込んでいたためか終始気分的に乗らず、あとでステージ上の表情を写真やビデオを見ると笑っていなくて、楽しんでいないと思いました。これではいけないと思い、ジャパンオープンでは思いきり楽しんで笑顔で終わりたいと考えました。

――クラス別からジャパンオープンまどのようなことを心がけましたか。

山野内 再度、一からトレーニングを見直し、肌を焼き込み、ポーズジングの規定とフリーもどうしたら一番アピールできるかを繰り返し行ないました。自分で考えられることをすべてやろうという気持ちで取り組みました。それと三重県の大会でゲストポーザーを務めてさせていただいたことも精神面では大きかったです。ジャパンオープンの一週間前だったので最初は受けるかどうか迷いましたが、こんな光栄なことはないと思って受けることにしました。私を見に来てくれるお客さんのためにもきっちりと身体を仕上げて、私自身も一緒に楽しもうという気持ちで舞台に立ちました。そうしたらすごく楽しめたのです。この気持ちでジャパンオープンも臨めばいいのだと思いました。とても良い経験をしました。

――大会当日の心境はどうでしたか。

山野内 どちらかというとリラックスした気分で会場入りできました。たぶんやるだけのことはやったという満足感があったのだと思います。もちろん、優勝したいという気持ちもありましたが、それよりもまずは今の自分が持っているものを皆様の前で表現したいという気持ちの方が一番で、もし優勝できなかったとしても、優勝者はきっと私よりももっともっとハードで充実したトレーニングを実践してきた結果の差が表われたのだと思えばいいと。

――ところでヘアースタイルを昨年とちがってショートに変えられましたね。

山野内 それまではずーっと髪を伸ばしていました。ショートにしたのは生まれて初めて。今年の1月だったかと思います。髪を切って家へ戻ると子どもの目がテンになっていました(笑)。そして日韓親善試合へ行く前にさらに短く切りました。なんというか心のスイッチを切り替えたいという思いがありましたし、美容師さんからも絶対にショートのほうがいいと言われたことも背中を押しました。意外と周りからも好評で顔と体のバランスが良くなって落ち着いたねと。そして気持ちが前へ向くようになりました。

――髪を切って気持ちが前向きになったということですが、またトレーニング環境の変化などはありましたか

山野内 私が本格的にボディビルを始めたのは6年前。みんなに追いつこうと、とにかく練習量だけは人に負けたくないと励みました。自己流ながらそれなりの結果は残すことができましたが、昨年のジャパンオープンあたりから自分一人での力の限界を感じつつありました。地元開催のジャパンオープンで2位に終わり、とても悔しくて一番と二番の大きな差を味わいました。来年はリベンジンを果たしたいという気持ちが膨らんでいくのを感じました。しかし、この壁をどう乗り越えたらよいのかと悩んでいたとき、本野さんのことを知ったのです。昨年の11月にまずお電話した後、本野さんが実際に名古屋へ来られている際に、直接、今後のパーソナル指導についてお願いしてみました。

――本野さんの指導はいつからですか。

山野内 今年の1月です。基本的に名古屋でのマンツーマン指導は月一ですが、それ以外でもお互いのスケジュールが合えば上京して指導を受けたりもします。セッション時以外の自主トレは本野さんに作っていただいたメニューに沿って行なっています。メニューが難しくなったうえにやることが倍、いや三倍でしょうか(笑)。トレーニングする部位がいままで以上に細かく行なうようになったからです。さらに大会ごとにメニューも変わるので必然的にそうなります。周りからも「身体が変わった」と言われ、おのずと結果もついてきている。本野さんによってトレーニングや食事への意識改革が起こりました。

――先ほどトレーニングを拝見しましたが、確かに背中を鍛えるにも一見すると同じように見えますが、実は少しずつ鍛える部位がちがっていますね。

山野内 本野さんは理論的にメニューを作成されるため、私は最初理解ができなくて悩みましたが、とにかく教えられたとおりにメニューをこなすことを心がけ、あとから解かればいいと考えました。そうこうしているうちに徐々に理解できるようになり、たとえば背中の部位を細分化して鍛えることで、最終的にはそれらを結集させることにより「背中」という大きな部位を小さな結晶の集合体として表現されることになるのだと思います。
撮影協力/ゴールドジムノース東京

撮影協力/ゴールドジムノース東京


――本野さんの存在は?

山野内 一言で言いますと精神的な支柱でしょうか。私はどちらかというと妥協しやすいタイプなので、コンディションの持って行き方とか、客観的に見てくれる人ができたというのは精神的な大きな支えになります。毎回、身体の仕上がりをチェックしながら、トレーニングの足りない面や食事の改善点などを指摘してくれるのがありがたいです。

――普段一人でのトレーニングで心がけていることはありますか。

山野内 まずは集中して高いモチベーションを維持することです。次にジムのトレーナーさんに遠目でいいからきちんと行なえているか見てもらい、終わったら印象を聞くようにしている。そこから足りないものが見えてくるからです。また、トレーナーさんが「今日もがんばっていますね」という一言がとても励みになりますし、あまり面識のないメンバー様にまで「優勝おめでとう」などと言っていただけると、よしがんばろうという活力が湧いてきます。

――今後の改善点は?
山野内 舞台では一瞬で勝負の明暗が分かれることが解かりました。ポージングの重要性です。一年間のトレーニングの成果を発揮するためにも、それをどうアピールするかが勝負の分かれ目になる。いくら仕上がりがよくてもそれを審査員に解ってもらえなければ元も子もありません。そしてそれは私の課題でもあります。一瞬一瞬のポージングの位置どりや魅せ方を大切にするとともに、審査員との目に見えない呼吸も大事にしていきたい。これは、一番見てほしい場面で審査員の目を惹けるようにポージングを取る間合でしょうか。そのためにもトレーニングや食事方法などは「基本」をしっかり行なっていきたい。何事に於いても「基本」は地味で面白くありませんが、それをきちんとやらないと身体は進化しないことを実感させられました。「基本」とは単純なようで奥深いものです。

――最後に今後の抱負は?

山野内 ジャパンオープンが楽しくできたので、そのイメージを持って全日本にも臨みたいです。全日本でトップをめざすということを目標にこの一年間やってきましたが、残りの期間も自分に負けずにトレーニング励み、納得できる結果を残して今年のシーズンを終わらせたいと思います。そして今後も皆様から頂ける応援を力に一段と進化したい。それが皆様の期待に応えることだと思うからです。更には、その次のステージとなるアジア及び、世界大会でも活躍できる選手になるために、これからは山野内オーラと呼ばれるものを全身から出していけるよう、精一杯頑張って行きたいと思います。応援、ありがとうございました。
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  • 山崎岳志(やまざき・たかし)
    1971年1月4日生まれ
    愛知県出身
    身長160cm
    体重67kg(オン)・81kg(オフ
    ゲーム会社勤務
    ジャングルジムスポーツ所属

  • 山野内里子(やまのうち・さとこ)
    1960年11月7日生まれ
    宮崎県出身
    身長158cm
    体重48キロ(オン)・57キロ(オフ)
    血液型A型
    主婦
    ゴールドジム名古屋金山所属

text:
本誌編集部・伊藤
[ 月刊ボディビルディング 2011年12月号 ]

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