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時代を先取りしたユニークなジム ~ サトウ・トレーニング・ルーム ~

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.10.17
 京王線府中駅から旧甲州街道に沿って歩いて5〜6分、詳しくは府中市八幡町2〜4〜1にこのユニークなトレーニング・ルームがある。

 取材のためこのルームを訪れたのが木曜日の午後4時ごろだったが、ドアーを開けて一歩中に入ったとたん、私はまずそのトレーニング風景に驚いてしまった。というのは、いま懸命にトレーニングに励んでいるのは、どこのジムでも見られるような筋肉隆々の若者ではなく、全部10才前後のチビッコなのである。

 ちょうど腹筋運動の最中で、パートナーが何回やったか大きな声で数えていたが、すでに100回を越えていた。中には疲れてマットの上で大の字になっているチビッコもいたが、ほとんど100回以上続けていた。そのあと柔軟体操を20分、最後にマットの上に正座して精神集中をして、きょうのコースを終わったのが5時。シャワーを浴びて着替え、みんな礼儀正しく挨拶してかえっていった。
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[ちょうどこの日は子供の練習日、シット・アップはほとんどの子供が100回以上やる]
 一段落したところで会長兼コーチの佐藤さんにいろいろ聞いてみた。

 佐藤さんは工学院大学の機械科出身で、まだ24才。学生時代からボディビルを始め、自宅の一隔に器具を買い込んでトレーニングしていたが、だんだん仲間が増え大学を卒業するころにはちょっとした同好会になってしまった。そこで、昭和46年、大学を卒業すると同時に本格的なジムをつくろうと考えた。

 さっそく大工さんに見積ってもらったところ、建物だけで500万円ぐらいかかるという。しかし佐藤さんの予算は200万円。「よし、それなら自分でやってみよう。大工さんも人間、やってやれないことはない」と、生まれつきの器用さと熱意で、6カ月かかってついに完成してしまった。佐藤さんの話を聞くまで、素人が1人でつくったとはとても想像できないほどよくできている。

 また、内部の設備や器具にも、佐藤さんの創意工夫がいたるところに生かされている。中でも感心したのがベンチ・プレス・マシンである。レッグ・レイズ・マシンを改良したものだが、これならパートナーがいなくてもケガをする心配はない。

 指導方法についても、よそのジムとは大分違っている。いわゆる筋肉肥大とかパワーをつけるボディビルではなく、運動不足の解消、美容、老化の防止、肥満児の追放、運動神経の向上集中力の養成といったような、幅の広い総合トレーニングを目指している。したがって、会員の内訳も、半分以上が女性と子供だという。

 ではここで1週間の各コースの時間割りを紹介しよう。
△ 月・水・金曜日 午前10時~12時
  女性のための美容体操教室
△ 火・木・土曜日 午後3時~5時
  幼児・児童の体操教室
△ 月~土曜日 午後1時~11時30分
  一般のトレーニング(男女)
△ 火・木・土曜日 午前中
  団地などの出張指導
△ 日曜日・祭日は休み

 というように、子供と女性には特別な時間をとって指導している。

 器具類も、ローイング・マシン(ボートこぎ)、ビューティ・サイクル(自転車)、バイブレーター、腹筋台、ベンチ・プレス・マシン、チニング、ラット・マシンとそろっている割に、バーベルとダンベルはごく軽いものが3組ずつあるだけである。

 床には柔軟体操用のマットが敷いてあり、デラックスな休憩室にはステレオがあって、いつも軽快な音楽が流れている。シャワーや更衣室はもちろん男性と女性は別である。
記事画像3
[レッグ・マシンを改良したベンチ・プレス・マシン。これなら女性や子供でも安心だ。]
 私が訪れたのは4月中旬で、その日は初夏を思わせるような暖かい日だったが、中は完全に冷房されており、全員トレーニングシャツとズボンをつけていた。佐藤さんは、「うちではランニングシャツや上半身裸でトレーニングすることは禁止しています。それは女性の会員もいますし、筋肉を誇示することを避けるという意味もあるからです」といっていた。

 この他、ジム外での体育指導として市立体育館での体操コーチや、スキー教室、会員のボーリング大会なども定期的に行なっている。

 いままでに数多くのジムを見てきたが、きょう始めて見たこのトレーニング・ルームの雰囲気は、まったく既存のものと異なった新しいユニークなジムとして強い印象を受けた。確にいままではジムといえばとかく筋肉隆々を連想しがちであるが、これからは広く一般の人を対象としたものが要求されてくるだろう。

 また、ジムとしてもその方が経営的にも有利であることは間違いない。ボディビルの先進国であるアメリカでは、すでにはっきりその傾向がでているという。そういった意味でもサトウ・トレーニング・ルームは時代を先取りしたジムということができよう。
[ 月刊ボディビルディング 1973年6月号 ]

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