フィジーク・オンライン

ビルダー教養講座 やさしいボディビル英語⑰

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 1973年6月号 ]
掲載日:2017.10.23
記事画像1
高山 勝一郎

ことわざ

 先月号にRome was not built in a day.という諺が登場した。
 そのついでだから,少し趣向を変えて,ボディビルに関係のある諺を眺めてみることにしよう。
 「ローマは一日にして成らず」というが,これほどボディビルの真理をいいあてて妙なるはあるまい。
 あえていいなおせば〝Good physique is not built in a day〟(グッド フィジーク イズ ノット ビュルト インナ ディ)であろうか。「よい体は一日では出来ない」ということだがことわざ調にいえば「ビルダーは一日にして成らず」。
 結局,少しずつの積み重ねが大切なのだが,そういう意味の諺では〝Many a little makes a mickle〟(メニー アリトル メイクス ア ミックル)というのがある。
 「少量でも,たまれば大量のものになる」という意味だが,日本流にいい直すと「チリもつもれば山となる」だろうか。
 Mが頭にくる言葉が三つでてくる。many,makes,mickle だが,こういうのを〝頭韻(トウイン)をふむ〟という。諺のゴロをよくするために使う常用の方法である。
 オットむずかしくなってしまった。
 次へいこう。

意志のカ

 似たような表現に,〝Constant dropping wears away a stone〟(コンスタント ドロッピング ウエアーズアウエイ ア ストーン)というのがある。
 droppingというのは水のしたたりである。これがConstantに続けば石でも穴をうがつ,ということだ。
 Dropping water wears away a stone.(ドロッピング ウォーター ウエアーズ アウエイ ア ストーン)ともいう。
 ことわざ調にいうと「点滴,石をもうがつ」である。
 何ごとでも,根気よく続けていけば出来ないものはない……これもボディビルの真理の一つである。
 要は意志力の問題だ。
 〝Where there's a will,there's a way〟(ホエア ゼアーズ アウィル ゼアーズ ア ウエイ)も言い得て妙である。
 「意志あるところに道あり」……「やろう」という意志さえ固ければ,道も方向も必ずひらけるのである。

積み重ね

 〝Practice makes perfect〟(プラクティス メイクス パーフェクト)などと,トレーニング・ルームに大書した紙がはってあったジムがあった。
 practiceとは,練習の積み重ねである。それがperfect(完全さ)を作り出す……という意味だ。
 「習うより慣れよ」などとよく訳してあるが,もっと深い意味があるのだ
 ボディビル用にいいなおすと,〝Constant training makes you perfect〟(コンスタント  トレーニング メイクス ユー パーフェクト),すなわち,「トレーニングの積み重ねがあなたを完全なものにする」とすべきなのだが,Practice makes perfectは例によって頭韻をPを使ってふんでいるわけだ。
 〝Habit is second nature〟(ハビット イズ セカンド ネイチュア)も有名な諺だ。「習慣は第二の天性」なのである。

ゆっくり着実に

 このように,筋肉美の形成は,「急ぎ」の心からは生まれない。永い年月をかけて,小さな毎日を積み重ねるのだ。
 〝Slow but steady〟(スロー バット ステディ)とよくいわれる。「ゆっくり,しかし,着実に」ということだ。
 同じ「ゆっくり着実に」ということを〝Slow but sure〟(スロー バット シュアー)とも表現する。
  イソップの「うさぎとかめ」から来た言葉である。
 〝Slow but sure wins the race〟(スロー バット シュアー ウインズ ザ レイス)とある。「のろくとも着実に進めば競争に勝つ」……まさに君にズバリの諺だ。
 〝Make haste slowly〟(メイク へイスト スロウリィ)というのもある〝Make haste〟は「急げ」だが,ユックリ急げ……とは面白いパラドックスだ。人間,急ぐ時ほど,ゆっくり着実にやることである。



(筆者は政府公認通訳,科学技術翻訳士,株式会社国際交流サービス社長)
[ 月刊ボディビルディング 1973年6月号 ]

Recommend