フィジーク・オンライン

Ad by SUPLINX

Weekly Monthly Shopping

腕を太くしよう ~ 中・上級者のための集中的トレーニング法 ~

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 1968年8月号 ]
掲載日:2017.11.27

吉田 実< 1968年度ミスター東京.第一ボディビル・センター >

記事画像1
 半袖の夏はコンテストの夏でもあります。細く頼りない腕でとったポーズは、全体によくまとまっていても、迫カに欠けるものです。太く、カ感にあふれた腕ならば、大胆なポーズも冴えて見えるでしょう。

 どんなポーズをとるにしても、そのポーズを生かすか殺すかの大事なポイントは腕なのです。腕はポーズに体に、表情とカ強さをあたえます。

 いくら練習しても太くならない腕、せめてあと3cm腕が太かったら……この太くならない腕がうらめしい。もしこの腕が切り落とせるものなら……ど細い腕をながめて嘆息するビルダーはあなただけではありません。全国には、同病あいあわれむ仲間がゴマンとおります。

 たしかに、腕は太くなりにくいところでしょう。胸や広背筋のように、めだって発達する部位ではありません。だからといって、あきらめてしまうのは早計というもの。今月はその腕の集中的練習法を研究してみましょう。

フレンチ・プレス・ライイング

記事画像2
 上腕三頭筋の運動種目のなかで、もっとも効果の大きいものの一つ。ひじを固定して、前腕だけを動かすことがたいせつです。
(モデル.斎藤英雄)

バーベル・カール

 上腕二頭筋を発達させる種目として、世界中のビルダーに愛用され、もっとも信頼されています。腰の反動を使って行なう人が多いのは困りものですが。(モデル.竹内満)
(下の写真 左)

ワンハンド・フレンチ・プレス

 少し軽めのダンベルを使って正確に行なうと、上腕三頭筋の格好とデフィニションがひじょうによくなります。
(下の写真 右)
記事画像3

コンセントレーション・カール

 “コンセントレーション(集中)”の名まえのとおり、上腕二頭筋に着眼点と注意を集中して、腕をのばしきるようにして運動すると、長く高さのある上腕二頭筋をつくります。
(下の写真 左)

リスト・カール

 ベンチの上に前腕を固定して行なうと、前腕筋に対する効果はぜったいです。
(下の写真 右)
記事画像4
 努力しないために発達しないというのなら、話はわかりますが、細い腕をなげく中・上級者のなかには、努力しすぎて、かえって発達しないという人が案外に多いのです。

 先月号でもちょっとふれましたが、胸・広背・肩などの筋肉は、独自で運動することはできません。かならず腕という仲介物を使わなければならないのです。つまり、腕をきたえているわけではなくても、腕の筋肉は使われ、そして疲労します。これを考えずに、腕の運動種目やセット数をふやしていたのでは、疲労が大きくなり、思ったような腕の発達は望めません。

 腕は、筋肉や神経の構造がこまやかにできていて、日常生活でも多く使われるので、とくに意識を集中しやすいし、可動範囲も広く、練習方法に複雑な変化をつけるのが容易な部位です。腕でとくにたいせつなことは、精神集中をして密度の高い練習をすることです。いたずらにセット数を重ねて、体力と時間の浪費をまねくのは愚の骨頂というもの。鏡を見ながら練習すると集中しやすく、効果的です。

チーティング・スタイル

 外国雑誌に紹介されている海外一流ビルダーのトレーニング法を見ると、チーティング・カールやチーティング・フレンチ・プレスを愛用している人が多いようです。それのサルマネであるかどうかは知りませんが、筋肉を大きくのばして大きくまげ、主動筋以外の筋肉の力をなるべく使わない、という基本原則をまったく無視して、たんに重いバーベルを使って、腰の反動で運動し、それがチーティング・スタイルだと思っている人がおります。これはまちがいもはなはだしいといわなければなりません。

 どの種目でも、その上下運動中、最大限の刺激を筋肉にあたえている区間と、弱い刺激しかあたえられない区間があります。ストリクト・スタイル、つまり、体の反動を使わないで、主動筋だけで運動する基本的な練習スタイルで行なう運動方法では、強い刺激があたえられる区間があんがい短かいので、少し重めのものを使って、ストリクトな方法ではあまり刺激を感じていなかった区間にも強い刺激をあたえようというのが、チーティング・スタイルなのです。

 こうすると、ストリクトな練習方法で最大限あるいは強い刺激を受けていた区間は、筋肉の能力以上の重量をかけられているので、筋肉が収縮に耐えられないため、その区間を体の反動などを使って助けてやり、強く筋肉に作用する時間を長くして、より大きな刺激をあたえ、発達をうながそうというわけです。(刺激の大きさ=刺激の強度×作用時間)

 バルクを獲得するうえで、チーティング・スタイルは有効な方法の一つだと思いますが、正しいチーティングの使い方はたいへんにむずかしく、初級者ばかりでなく相当の経験をつんだ人でも、しばしばあやまって用いているようです。チーティング法を採用するまえに、まず正しい基本的な運動方法をマスターしましょう。

 以上は、チーティング法を説明したまでで、チーティング法がストリクト法にまさるなどと、誤解されては困ります。

 最後に、上腕を発達させようというばあい、上腕二頭筋(屈筋)だけ、あるいは上腕三頭筋(伸筋)だけをきたえていたのでは、その目的は達せられません。上腕二頭筋、上腕三頭筋をバランスよく発達させてこそ、筋量ゆたかな形のよい腕ができ上がるのです。また、全体のバルクを得ようとするならば、上腕の筋肉の器を占めるといわれる上腕三頭筋をきたえる練習に力をそそぐと効果的です。

 小さな筋肉を大きくするのは、容易なことではありません。しかし、大きな筋肉を発達させることは、これにくらべると簡単です。練習しても太くなりにくい部位に労力を多くついやすよりは、太くなる可能性の大きな筋肉により多くの努力を傾注するのが、合理的というものでしょう。
記事画像5
[ 月刊ボディビルディング 1968年8月号 ]

Recommend