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チョコレートとココア

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[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]
掲載日:2017.11.28
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<チョコレートの季節>

 ある季節には爆発的に売れるのに,シーズンをはずれるとバッタリ売れゆきが止まる商品がある。夏のビールや缶入り飲料,アイスクリームは代表的なものであるが,私の長年関係しているチョコレートについても明らかな年間変動があり,夏になると工場はピタリと静かになってしまう。
 暑いときはチョコレートのようなべタベタした菓子は本能的に欲しくないが,不思議なことに秋から冬にかけて外気の温度が低くなるにつれ,脂肪質の食品が欲しくなる。体に栄養を蓄積して来るべき寒さに耐えようとするためである。トレーニングにより体が充実するシーズンと一致している点が興味深い。

<人それぞれによって>

 アメリカやイギリスのへルスフードにはチョコレートやココアを配合したものが多い。ワイダー社でもボブホフマンのヨーク社でもチョコレートバーや,ココアをまぜたプロティンパウダーを発売している。有名なスポーツ食のオバルチンもココア食品である。これらの例からわかるように,チョコレートやココアは高エネルギー食品のイメージが高い。あとで述べるようにカロリーが高く,タンパク質・ミネラル・アルカロイド類を含んでいるからである。
 これとは裏腹に,子供たちや若い女性の間にチョコレートを避けようとする傾向も見られる。現代社会は豊富な食べ物に恵まれて肥満や成人病が問題になっているためであろう。しかしながら,本来どの食品がよくて,どの食品が悪いといった基準はなく,むしろ人それぞれ状態に合わせて,何をどのように食べるかというテクニックや方法が問題なのである。太りたい人,体力をつけたい人,スポーツのあとなど,食べる必要があるときには,チョコレートはひじょうに良い食品だといえる。登山中に遭難したが,チョコレート1枚でかろうじて命をながらえたというケースがよくある。
 チョコレートを食べないほうがよいのはアレルギーをおこしやすい人や,肥満でカロリーを減らそうとしている人,動脈硬化で高血圧気味の人などである。虫歯はあとで歯をみがきさえすれば心配はいらない。

<神様のくれた食物>

 チョコレートの歴史はひじょうに古い。1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見したときに,すでに現地の人たちはツボに入れたチョコレートペーストをおいしい,おいしいと飲みほしていた。カカオ樹という木になった実をすりつぶして飲んでいたわけで,彼らは「神様のくれた食物」として尊重していた。いかに貴重であったかを物語るエピソードとして,カカオ実1つとどれい1人,または金貨5枚と交換していたことがあげられる。
 チョコレートとタバコと梅毒は,コロンブスが全世界へ持ちかえった三大おみやげ品といわれている。ヨーロツパの人たちはドリンクチョコレートやココアとして,長年の間カカオの実を食べ,スタミナづくりや肺病などの回復に利用してきた。現在のような板チョコになったのは18世紀になって,ミルクとまぜる方法がスイスで発明されてからである。
 日本へは明治10年に紹介されたが,当初は動物の肉が入っているなどと噂されて排斥されたこともあった。チョコレートを日本ではじめて製造販売したのは銀座風月堂。その名も「貯古齢糖」といういかめしいものであった。
 戦後,アメリカの兵士たちがうまそうに食べていたのを「じっとガマンの子」で指をくわえていた想い出を持つ人も読者の中にはおられよう。

<スタミナの秘密>

 「チョコレート1枚(90g)は460カロリーあり,これは卵5個分,牛乳4本分に相当する」などとよく説明される。カロリーはカカオバターを含有しているため,ひじょうに高くなっており,したがって登山や運動にいい。タンパク質は1枚につき約6gで,卵1個ないしは牛乳2本分くらいである。菓子類としてはボリュームの割に多くのタンパク質を含んでいるといえる。重要なことはカルシウム・りん・鉄・ビタミンAをたっぷり含んでいることである。これら微量栄養素の働きで,骨格が発達したり,血をつくったり,体内の化学変化を促進したりする。またアルカロイドの一種テオブロミンは神経を興奮させる作用を持つ。中国では「元気可食」という名前でチョコレートが売られていることからも,そのスタミナ力を想像することができよう。

<上手なチョコレートの食べ方>

 そのまま食べるならブラックよりもミルクやハイミルクチョコレートを買うとよい。タンパク質が多いので有利なためである。ブランデーやウイスキーには苦味ばしったブラックがよく合う。パンやクラッカーにつけるには次の方法がよい。チョコレートをグラスに入れ,まわりを熱湯で暖める。チョコレートがとけてくるのでこれにバターを加えるとすばらしいチョコペーストができあがる。
 料理に使うならカレーライスやハヤシライスに,板チョコ半分くらいを加える。コクのあるおいしいカレーライスになる。そのほかスパゲティやチャーハンに加えてもよい。
 ココアはカカオ豆を粉砕したビターから油を絞りとり,これをパウダーにしたものである。牛乳に入れるとココア牛乳になる。スキムミルクにココアを混ぜ,砂糖を少量加えるとおいしいへルスドリンクができる。このようにココアを少量効かすだけで,食べにくい飲料や食事がうまくなる。大豆パウダーに入れられているのも不快な臭いを消すためなのである。
[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]

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