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ピーナッツ(落花生)

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[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]
掲載日:2017.11.10
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<鼻血ブーッ!>

 谷岡ヤスジのマンガが一時流行し,「ギャオー!」とか「ブフォー!」などとおもしろい言葉が使われた。小さいころ「ピーナッツを食べすぎると鼻血が出るよ」と言われたことがある。鼻血は鼻の中が乾燥したときに粘膜が刺激され傷つくためにおこる。昔のように栄養状態がまだまだ悪かった時代には,良質のタンパク質やビタミン類が不足するため,じょうぶな粘膜がつくれない。そのため,ちょっとぶつかったり,鼻くそをほじくったり,のぼせて血が顔面に急に来たときに,鼻腔の仕切壁から出血して,どうにも止らない,ということになる。
 ピーナッツには後で述べるように栄養に富んだ成分が多く,むしろ鼻血の予防に役立つはずである。けれども,よくかまないと消化されにくく,場合によっては下痢をおこすので,鼻血ブーッ!を持ち出し,ちょっとダケよ,といましめたにちがいない。実際には少しくらい食べすぎても,それだけで鼻血が出るというデータはない。

<スタミナの秘密>

 ピーナッツのほか,ナッツ類にはアーモンド・カシュー・くるみ・へーゼル・かぼちゃの種・ひまわりの種・ごま・くり・ぎんなん・ピスタチオなど種類が多い。
 これらの種子は栄養素がコンパクトに結めこまれている金庫である。なぜなら,植物は次の世代をつくるために必要なエネルギーを種子に集め,いつ地面に落下しても,まわりの環境に負けないで芽を出し,たくましく成長を始めるように準備をととのえているのだ。だから,タンパク質は肉や魚と同じくらいに多いし,脂肪やビタミン,ミネラルも豊富である。野生の猿や鳥たちが生命をつなぐのも,これらの木の実によるところが大きい。
 タンパク質構成は,スレオニン,メチオニンなど,いおう系のアミノ酸にやや欠けるが,大豆に近い良い組成を持っている。含まれる植物油はリノール酸・リノレン酸などの不飽和脂肪酸に富み,血液中のコレステロールの生成を防止することが証明されている。
 ミネラルとしては,筋肉運動に関係の深いりんのほか,カルシウムと鉄が多いので,はげしく体力を消耗するスポーツマンに良い効果を与える。
 さらに,セックスのビタミンといわれるビタミンEが植物油の中に含まれ,疲労回復や体力の増強によい。

<ピーナッツの栽培>

 原産地は南アメリカのブラジル,ペルーの近辺とされ,わが国へは中国から渡ってきた。南京豆・唐豆・唐人豆といわれるのはこのためである。
 また,落花生と呼ばれてるように,黄色い花が咲いたあと,子房が地下にもぐって実を結ぶ。ひょうたん型をした殻を土から堀りおこして食べた人もいるだろう。
 栽培は気温が高くて,砂地の土壌が適している。興味あることに産地によって成分が相当ちがっている。神奈川県平塚市のものは脂肪が49%~56%,タンパク質が30~38%なのに対し,三重県鈴鹿市のものは脂肪が52~59%と高いが,タンパク質は17~27%と低くなっている。また,最近スーパーに出まわっている小粒のピーナッツはスペイン産で,三重県産よりもさらに脂肪含有量が高い。スペイン産の多くは油をしぼりとって不乾性の植物油をつくるのに用いられる。サラダ油・天ぷら油などの成分になるほか,マーガリンや石けんの原料にも変身する。
 一方,残ったピーナッツ粕は,タンパク質47%,脂肪7%,糖質24%を含むのでよいタンパク質供給源になる。粉砕して菓子やパンに混ぜたり,みそやしょうゆの原料にしたり,あるいはコーヒーやココアに混合されることもある。味つけを工夫し,保存性を高めれば,よいへルス・フードになる。

<上手な食べ方>

 ピーナッツには茶色の渋皮がついたものと,きれいにむいて,油でフライしたバター・ピーナッツがある。栄養的にいうと,渋皮ごと食べた方がずっといい。ビタミンB1がひじょうに多く100g中5~6mgにもなるからだ。ピーナッツに含まれるビタミンB1は,実はほとんどが乾燥中に渋皮から移行したものである。
 バター・ピーナッツはフライしてあるので水分が少なく,カロリーが5%ぐらい高い。100g当り約571カロリーで,塩をまぶしてあるので,汗をかいたあとにはいいだろう。
 最初に書いたとおり,よくかんで食べると,本来持っている栄養素が90%以上,体内で利用されるのに対し,あまりかまないで食べると,50%以下しか利用されない。同じ金を出して食べるならよくかむことだ。
 ピーナッツは保存性がないので,封を開けたらなるべく早く食べよう。吸湿してまずくなったり,油が酸敗して下痢をおこしたりする。とくに粉未にしたときは酸敗が早いので注意したい
(野沢 秀雄)
[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]

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