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月刊ボディビルディング1968年8月号
掲載日:2017.12.13
日本ボディビル協会技術委員会

腹を細くしたいが

〔質問〕
 最近めだって腹が太くなり,階段をのぼるとき息切れがするようになりました。ボディビルをやれば細くなるそうですが,どんな運動をしたらよいのでしょうか? 筋肉を特別太くしたいのではなく腹さえ細くなればよいのです。体位は,身長163cm,体重72kg,腹囲90cmです。
〔答〕
 かなり腹が太いようですね。しかし,その気になって努力すれば,確実に細くなります。
 まず,なぜ腹が太くなったかを考えてみましょう。これは,一般的には摂取カロリーより消費カロリーが少ないため,脂肪が体内に蓄積してしまうからです。ですから,これを逆にさせれば体重が減少し,腹が細くなるりくつです。わかりやすく極端ないい方をすれば,何も食べずにはげしい運動をつづければ,たちまち体重が減少し,腹も細くなる,といえるわけです。
 しかし,そんなむりをして体を損なったのでは元も子もありません。そこで,食べながら運動をして目的をとげることをおすすめします。といってもなんでも腹いっぱいというわけにはいきません。では,どんなものを食べたらよいかというと,できるだけ主食類(米,めん類,パンなど)をへらし,固型食品もへらして,野菜,果物類を中心とした食事に切りかえることです。
野菜,果物類だけの食事でしたら,腹いっぱい食べても体重はふえません。
 次に,運動はどんなものがよいかというと,特別筋肉を太くしたいわけではないとのことですので,いわゆるバーベルを使用するボディビルを行なわなくても,充分に効果は得られます。
 おすすめしたいのは,マラソン,ナワとび,シット・アップ(腹筋運動)です。このような運動を徐々にふやして行なってみてください。はじめはこれすら満足にできない人もおりますが,そのような人はラジオ体操のような運動から始めるとよいでしょう。慣れてきたら,上記の運動に移り,徐々に運動量をふやしていくのです。
 要は,菜食に切りかえ,できるだけ体を運動させるように努めることがポイントです。

高年者のボディビル

〔質問〕
 私は58歳ですが,体がかなり弱ってきたことを痛感するきょうこのごろです。かなり高齢の人でもボディビルは行なえるそうですが,ほんとうでしょうか? また,私のような年輩の者は,どんな点に注意して行なったらよいのでしょうか?
〔答〕
 まず,医師の精密検査を受けてください。それで異常がなかったら行なっても大丈夫です。
 たとえ高齢でも,よほどの疾患あるいは欠陥がないかぎり,たいていの人がボディビルを行なうことはできます。
日本のジムでも,50~60歳台の年輩の人がトレーニングしている姿もチラホラ見受けられますし,欧米では,中・高年層の人がさかんにボディビルをやっています。50歳台でボディ・コンテストに出場する人,70歳で160~170kgの重量をべンチ・プレス(寝てバーベルを押し上げる)する人など,若い人顔負けの中・高年者もいます。
 しかし,中・高年者にできるといっても,むりはぜったいに禁物です。トレーニング初期は,体操,ランニングを中心にして,バーベル運動は少なめに,そして重量も軽めにして,けっして若い人たちと競争しようなどという考えはおこさないことです。そして疲労を感じたときやトレーニングの意欲がわかないときは,休んでください。
 トレーニングは,30~40分ていどで軽めの重量でしたら,毎日行なってもよいでしょう。少なくとも週に2~3日はトレーニングしてください。
 高年の人でも筋肉は発達しますし,〝筋肉は使わなければ退化する〟のです。しかし,むりは厳禁。欲ばらずコンスタントにつづけてください。

ディープの記録を上げたい

〔質問〕
 健康は脚腰から,というスローガンに従ってトレーニングを行ない,とくにディープ・ニー・ベントの記録を向上させることを楽しみにしています。最近どうしたことか,記録がいっこうに上がりません。どのような方法で行なえば記録が向上するのか,ぜひ教えてください。
 いままでのトレーニング法は,①ディープ・ニー・べント100~145kgで3回ずつ6~8セット,②レッグ・プレス150~230kgで5~8回ずつ5セット,③ベンチ・プレス80~100kgで4~8回ずつ5セット,を中心に他の部分を適当に行なっています。トレーニング日は週に4~5日です。
 体位は,身長168kg,体重71kg,胸囲112cm,腕囲39cm,大腿囲61cmディープ・ニー・ベント最高記録は150kg×3回です。
〔答〕
 脚の運動種目に問題はありませんし,いままでのトレーニング法もよかったといえましょう。数字的に見ると,ディープ・ニー・べントの100~145kgのトレーニング重量にくらべ
レッグ・プレスの150~230kgはかなり強力です。その力をフルに発揮できれば,170kgていどは容易にできるでしょう。おそらく,あなたは脚力強化のトレーニングにはげんではきたが,背筋の強化が充分でなかったのではないかと思われます。
 ディープ・ニー・ベントでは,背筋はベーベルを背負った上体をささえるというひじょうに重要な役割をはたすのですが,これを知っていない人が意外と多いようです。ディープ・ニー・ベントを行なっていれば,この背筋は強化されますが,より専門的なデッド・リフトをとり入れると,さらに背筋は強化され,より以上に記録は向上します。ほかに,脚のパワーをますために,30~40mダッシュや垂直とびなどを行なうとさらに効果的でしよう。
 ディープ・ニー・ベントだけにいえることは,
 ①ときおり回数を変える。10回ていどまたはできるだけ多く回数をくりかえす。
 ②足幅を変える。
 ③つま先を外,平行,内側などに変化させる。
 ④すわった位置で力をぬき,2~3秒数えて立つ。
 ⑤精神集中力を向上させる,などの点に注意して行なうということです。
 最後に,疲労が蓄積しているように思われますので,1週間以上の休養をとってから,トレーニングを再開するようおすすめします。

重量の選び方は?

〔質問〕
 個人でボディビルを始めたまったくの初心者です。重量の選び方がよくわからず,また,その日によって極端に重く感じたり軽く感じたりします。どのようにして重量を選んだらよいのですか?
〔答〕
 まず,いつも平均した重量でトレーニングしているかどうかを考えてみてください。一昨日は20kg,昨日は25kg,今日は15kgというように,同一運動種目の重量を極端に変えてはいませんか。
 次に,全種目の重量を画一的に行なってはいないでしょうか? ボディビルのトレーニングでは,運動種目により,かなり重量を変化させなければなりません。腕と脚では筋肉量がちがい脚部のほうがはるかに重いのです。腕の運動に使用する重量では,脚の運動には軽すぎるし,脚の運動に適量の重量では,腕の運動はむりです。
 重量を平均に,そして運動種目により適宜重量を変えても,重く感じたり軽く感じたりすることがありますが,これは準備運動不足,疲労,筋力低下などいろいろの原因によるもので,そのときの気分によっても重くも軽くも感じることがあります。それほど気にしないで,重いと感じたらトレーニング量をへらすとよいでしょう。
 いずれにせよ,初心者のばあいは,いままで重量物を使用したことがないという人がほとんどですから,トレーニング開始当初は軽すぎると思うていどの重量で,正しい運動姿勢をおぼえそれをマスターしたら,徐々に重量を増加していき,1セットにつき10回正確に運動できる重量を選ぶようにしてください。もちろん,10回以上らくにできるようになったら,重量をふやします。また,使用重量をまちがえたりしないよう気をつけてください。

水は飲んでよいか?

〔質問〕
 水を飲みすぎると〝水ぶくれ〟して太るといいますが,ほんとうでしょうか? また,トレーニング中に水を飲んではいけないといわれていますが,どうしてでしょうか?
〔答〕
 人体の70%前後は水分で構成されています。そして不必要な多量の水分は,尿または汗として体外に排出されます。逆に,水分が不足すると,身体の不調を起こします。
 このように,体内の水分は,ある一定のパーセンテージを占めているのです。水そのものには栄養は影響ありません。とくに夏は発汗のはげしいときですので,どんどん水を飲み,どんどん汗を出したほうが健康にはよいのです。できれば水のかわりに牛乳でも飲めば,さらによいでしょう。トレーニング中やその前後はひかえめに,それ以外は〝おぼれない〟ていどに飲みましよう。
月刊ボディビルディング1968年8月号

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