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トピックス 1969年3月号

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月刊ボディビルディング1969年3月号
掲載日:2018.01.09

次の世界柔道選手権を狙うアメリカ新進柔道家アレン・コージ

 ニューヨーク市クィーン生まれ、本年23才、体重255ポンドの若いパン屋が世界重量級柔道チャンピオンになりたいという大望を抱いている。しかも現在の進歩の度合からすると、これはあながち夢ではない。

 彼は4年前に柔道を習い始め、熱心に練習を積んだが、身長が6フィート7インチあるのに、体重180ポンドの軽量だったので、上達はあまりはかばかしくなかった。
 そこでその解決手段として、柔道の練習に加えて、ボディビルを取り入れ、以来今日まで1週3日、2時間のトレーニングを怠らずにきた。その結果、2年半後に柔道と合気道の両方に2段の段位を得て、黒帯を締めるようになった。その進歩の速さには、指導教師のゼローム・マッキー氏も舌をまいている。

 コージは身体が大きくなるに従って体力も増し、力強くなった。1967年にわずか3年の修練で、ニューヨーク州東部3州および全米重量級選手権を次次に獲得した。
第2のへーシンクをめざすアレン・コージ

第2のへーシンクをめざすアレン・コージ

 中でも7月31日、それまで1人のアメリカ人も成し得なかったパン・アメリカン・へビーウェイト・チャンピオンシップを手中に収めたことは驚嘆に価する。

 コージは現在身長6フィート2インチ、体重255ポンドであるが、太り過ぎを防ぎ、また柔道に必須の持久力とスピードを身につけるために、毎日3マイルを走っている。

 それに体力を得ようとしてボディビルのトレーニングを行なっているので抜群の腕力を誇っている。

 彼の練習法はすこぶる簡単で、基本的なエクササイズを固守している。それらの中で彼が好んで行なうのは、フル・スクワット、ベンチ・プレス、カール等である。

 1968年に再度彼は、全米チャンピオンになったばかりでなく、7月8日には前年にひきつづきパン・アメリカン柔道重量級の王者になった。

 今彼は1969年の世界選手権を狙っている。そのために日本に行き、いちだんと技を磨きたいといっている。(マッスル・トレーニング)

雪かき作業と心臓病

 去る2月12日づけの読売新聞の報道によると、8日にアメリカの東部をおそった猛吹雪で合計57名の死亡者を出し、その中の約半数が除雪作業中に心臓マヒで死んだという。

 このニュースで思い出すのは、アメリカの著名な運動生理学者であるカルポビッチ博士の書いた雪かき作業にかんする1文である(“Physiology of Muscular Activity”ーー邦訳文は猪飼、石河両氏による「運動の生理学」)。これは、「吹雪があるといつも新聞やラジオで、雪かき作業中または直後に死んだ人のことが報ぜられる……」という書き出しから始まっている。

 これを読んだときには、少し表現がオーバーなのではないか、と感じたものだが、はからずも今回の新聞記事を目にして、あらためてカルポビッチ博士のいうのが真実であることを知っ
た。

 同博士の計算によると、160ポンド(約73kg)の体重の人が、重さ5ポンド(約2.2kg)のシャベルを使って1分間に10杯の雪を除けば、次のような運動をするのに等しいだけのエネルギーが消費される。

 かわいた雪のときには、1杯分の雪がシャベルの目方ともども8 3/4ポンド(約4kg)~13 3/4ポンド(約6.2kg)なので、これはちょうど1分間に1階から4~5階まで昇るに等しいエネルギーを使ったことになる。また、もし雪がしめっていたら、さらに目方はふえて22.5ポンド(約10.2kg)となり、これは1分間に8階まで昇るのに要するエネルギーに等しいのである。

 これらの点から、この雪かき作業がたいへんな労働であることがわかる。

 自分のペースで、着実に雪かき作業をつづけていくときには、ひと冬でたしかに体力づくりの効果をあげられようが、つい熱中しすぎてオーバー・ペースになると、過労を招いてとりかえしのつかないことにもなりかねない。

 わが国では、幸いにして、この種の死者の例をあまりきかない。事実そうだとすると、わが国には心臓病患者が少ないということになるのだろうか。

 アメリカにおける1963年の心臓病による死亡率は各死因の中で第1位を占め、全死亡数の39%に相当するといわれている。これにくらべて、わが国のそれは、1966年に10.5%と数えられており、死亡順位は第3位である。つまり、アメリカには自覚しないでも心臓疾患をもっているという人がそれだけ多いことになるわけで、そんな人がハッスルして雪かき作業に従事すれば、あの世行きになること必定であろう。

 薬も、その使い方いかんによっては毒になることがある。体力づくりによい雪かきも、事と次第によっては、生命をちじめることになる。このような意味からも、中年以上の人は年に2回の健康診断くらいは受けておきたいものである。(MK生)

ジョッギングのすすめ

 昨年の10月、メキシコ・オリンピック大会視察の帰途、アメリカのワシントンに立ち寄ったときのことである。

 同行した2人の友人といっしょにかねてから訪問を予定していた大統領体力スポーツ諮問会(President’s Council on Physical Fitness & Sports)をたずね、約2時間にわたって、担当官のウィルバーン氏と話し合った。

 アメリカ人の体力を高めていくために、この諮問会がどんな仕事をしているかいろいろときいて、大いに知識を得たわたくしは、この会がボディビルディングをどのような形でとりあげているかたずねたところ、本格的なボディビルディング普及運動にはとりくんでいないが、ちょっとしたウェイト・トレーニングの原則を生かした簡単なトレーニング、たとえば、腕立伏臥肘屈伸やシット・アップのような抵抗運動は推奨している、とのことだった。

 ウィルバーン氏の意見では、ボディビルディングで筋肉だけを強化発達させることよりも、心臓や肺臓を鍛えることのほうが、現在のアメリカ人にとって先決問題なのだそうだ。これは1963年度の資料だが、全米死亡率のトップを占めるのが、冠状動脈性心臓病患者で、全死亡者数の約39%にあたり、第2位のガンによる死亡率は約15.7%というから、これもむりからぬ話。そして、その心肺機能強化のためのジョッギングをすすめているという。

 そういえば、街角にあるニュース・スタンドで、ジョッギングにかんする本をしばしば見かけたし、わたくしが買いこんだトレーニング関係の本の中にも、これにかんするものが2冊はいっていたから、じっさいにはこれ以外にも何種類かが出版されているのかもしれない。

 それはともかくとして、このジョッギングとは、歩いたりゆっくりと走ったりすることを組み合わせた形の運動のことである。まず、800mくらいの距離を、50m走っては50m歩くといったことから始めて、徐々にその距離を2500mくらいにまでのばしていけばよい。もちろん、走、歩の運動を50mといわず、300mくらいまでのばして結構。あくまでも自分の体力に応じて
それを決めるようにして、スタミナがつくにつれて、歩くより走るほうの距離を延長していくのである。

 これを週3回くらい、それも隔日に行ない、その他の日を簡単な柔軟体操や散歩などにあてるようにしていけば、老若男女を問わず、だれにでも実行できて、心臓や肺臓の機能は向上し、しかも、理想体重への調節が可能になってくるのだから、こたえられない。

 走るペースを決めるには、グループでおたがいに話をしながら走り、口をきくのが苦しくなったら、歩行運動に切りかえる。

 いかがです、ビルダーの皆さん。ボディビルディングの訓練のあと、ジョッギングを実践してみては。

 アメリカでは、各地にジョッギング・クラブなるものが誕生して、盛況をきわめているそうですよ。(M・K生)
月刊ボディビルディング1969年3月号

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