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主婦のためのフィジカル・フィットネス・クラス

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月刊ボディビルディング1969年3月号
掲載日:2018.05.11

フィジカル・フィットネス< 新しいからだつくり >

林 輝 児 (東京YMCA体育館プログラムディレクター)
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 東京YMCA体育館におけるフィジカル・フィットネスの実際「その1ーー主婦のためのフィジカル・フィットネス・クラス」はA、B、Cに分かれAクラスは月木、Bクラスは火金、Cクラスは水土とそれぞれ週2回で、10時より12時までの2時間練習を行ないます。学期は年間を3期に分け、新学期は4月中旬より7月中旬まで、2学期は、9月の中旬より12月の中旬まで3学期は、1月中旬から3月中旬までとなっています。

 指導内容については、各クラスとも前半の1時間をランニングとフィットネス体操を行ない、特に心臓、肺機能を高めるよう心がけて指導しています。後半の1時間は、完備され清潔な室内プールにおいて、水泳指導が行なわれます。この水泳時は能力別に分けクロール、プレスト、バック等の完成形を目標に、またフリー・スタイルによるロング泳法、時には水上急救法やダイビング等によって、全身持久力「スタミナ」の向上に努めながら、さらにボディ・プロポーションの調整にも一役買うように指導体系を組んでいます。またAクラスは水泳終了後スチーム・バスの使用によって太りすぎの予防にも役立つようにしています。

 このような定期的なトレーニング以外に、特別なプログラムとして各クラスとも、春はハイキングまたは1泊キャンプを行ない、夏にはYMCA専用のキャンプ場(野尻湖等)でのキャンプ・ファイヤーを囲んでの憩いのひととき、12月は主の御降誕を祝してのクリスマス・パーティ、2月は白馬八方尾根でのスキー・キャンプを行ない、四季を通してこのような野外レクリエーションを行ないながら、ともすると忘れがちな大自然を愛する精神を育成し、よき家庭の主婦となられて、明るく、健康な社会づくりに役立つようにと、参加者もわれわれも心がけながら実施しています。

 現在の指導者は、
 Aクラスが久保川守、吉崎勇、菊池昭一郎
 Bクラスが木塚敏夫、加藤忠之、石井充
 Cクラスが林輝児、伊藤信吾、工藤宗男

 と体操、水泳、レクリエーション等の指導能力を兼ねそなえた専門家が、各クラス3名ずつで担当しています。

 各クラスとも定員は50名で、出席は平均35名ぐらいです。主婦の方が休まずに平均約35%の出席率を誇るということは、他の層と比較して大変なことであります。それは家庭における主婦の家事の負担、家族の理解と協力、また主婦自身の参加意欲にもよるでしょうが、日本における社会体育の夜明けが東京オリンピック以来であるがゆえに、まだまだ一部のスポーツマンをのぞいては、生活の中に体育が浸透していないからでもありましょう。

 このような現状の中で、フィットネスに参加しているこれらの主婦の方々は、日本におけるフィジカル・フィットネスのパイオニアであるともいえるのではないでしょうか。

(付)これらの主婦がフィットネス・クラスに参加してどれだけ体力が向上したか、について調査した結果を次に示しておきます。この体力テストは文部省基準によるテスト要項で実施したものです。

< 体力テスト >

<実施>1968年12月1日10ー12時 東京YMCA体育館
<対象>東京YMCA体育館フィットネス・クラス
<人員>49名
<平均年令>39.6才
<平均Y歴>1年2カ月
<得点平均>64.3点
<テスト基準による体力年令平均>20才代

種目別平均点と全国平均比

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フィジカル・フィットネスとは

(T.K.キュアトン、A.H.スタインハウス両博士の言葉より)
 健康は、人生最大の贈りものである。けれどもそれは、ただ手をこまねいていて自ら得られる、というものではない。なぜならば、中年の体力減退は、ある秩序にもとづき、時間表のごときものに従って起こりうるものではなく、それは年令に関係なく、招かれたときにやってくるのである。われわれはいつの日にか遠からず、その招きを受けることになろう。
 機械化文明の近代生活は、かつての荒れはてた世代をのりこえ、手軽に、便利になり、われわれの生活は肉体労働からますます遠のいていっている。これはある種の曲り道である。現代の大衆は機械、すなわち、車、テレビ、洗たく機、エスカレーター、エレベーター等に多大の関心を示すようになり、ひいては、それはわれわれ自身の体のコンディションを作りにくい要因となっている。しかしわれわれ人間の体は、今までに多くの人々が考案したり、またこれから考案すると思われる複雑な機械より以上に複雑で、美しく高貴なものである。

 このわれわれの身体は、639の筋肉と。その筋肉によって動かされている208の骨によって作り上げられている。たとえば、体重60kgの人の骨の重さは約8kg、また筋肉の重さは約24kgある。筋肉は太さが髪の毛ほどで、長さが平均して約3cmぐらいの円筒状の繊維が何百万とも数えきれないほど集まって作られている一つ一つの筋肉繊維に、1秒間75回に達する神経衝動を受けとめる小さい神経が通じている。この神経衝動が毎秒多ければ多いほど、筋肉の収縮が強いことを意味している。また5ないし7リットルの血液が心臓から送り出され、延べ数十万キロメートルの血管をかけ巡って、身体のすべての部分に酸素と食物を補給し、老廃物を運び出している。

 休息しているときに血液が心臓から押し出されて肺に行き、心臓に帰り、それから全身に行き、ふたたび心臓に帰ってくるのに約1分間かかる。はげしい運動をしているときには、血液はこの1周旅行を1分間に9回も行なう。このように血液を送り出すポンプが心臓の役割になっているのである。たとえ静かに休息しているときでも、心臓は1日に13トンの血液をとりあつかい、1平方cmについて約310グラムから約570グラムの圧力で血液を押し出している

 食物は人体という機械を動かす燃料であり、またその発育と修理を行なう材料ともなっている。使用しきれない食物は脂肪となって体内に貯蔵される。もし人体を動かすのにガソリンが使えるとしたら、1リットルで1月半の間、人間は走ることができる計算になる。何と効率の高い機械ではないか。何千キロメートルもの神経繊維が、人間の頭脳とあらゆる神経系統にふくまれており、何千もの神経のセンターが無数の接続をおこなって、人体のあらゆる運動をつかさどり、無限の思考、記憶、創造を生み出し、毎日毎日の刻々の判断を行なっている。

 要するに「フィットネス」とは、この複雑な人体という機械をつねにトップ・コンディションに保っておくことであり、定義づければ、「人間の精神と肉体が現代の生活にフィット(適応)する」という意味であって、何を食べ、いかに運動するか眠るか、感じるか、考えるか、それがすべて、この精密な「人体」という機械を良くも悪くもするということを忘れてはならない。
月刊ボディビルディング1969年3月号

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