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なんでもお答えしますQ&A 1969年3月号

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月刊ボディビルディング1969年4月号
掲載日:2018.05.13
日本ボディビル協会技術委員会

中学生のボディビル

(問)14才の中学生です。“ボディビルディング”誌1月号を読み、私も夢のコンテストに登場した選手のようなたくましい肉体の所有者になりたいと願っています。

 そこで質問ですが、中学生がボディビルを行なっても大丈夫でしょうか、もし良いとすればそのトレーニング法を教えてください。
(三重県 一中学生)
(答)まず最初に行なっても大丈夫とお答えいたします。

 しかし発育盛りのあなたが一流ビルダーと同じようなトレーニングを行なってはいけません。そのような激しいトレーニングはあなたの自然の発育を阻害するばかりでなく、3日と体がもたないでしょう。

 勿論中学時代からボディビルを行なっている人もかなりありますが、そのような人の多くは比較的軽い重量を用いたか、腕立伏せ、けんすい、腹筋運動等の器具を使用しない運動を行なったようです。これは発育盛りの人にとって非常に適したトレーニング法といえましょう。

 このような点から考えると重量物を使用するトレーニングより、自分の体を利用したトレーニング方法をとるべきだと思います。そこであなたの場合は次のようなトレーニングを行なってみてください。

 ① ランニングまたは50m~100mのダッシュ ② うさぎとび ③ けんすい ④ 腕立伏せ ⑤ 腹筋運動というようにこれらを体力に応じ回数を決め、その回数を基準にして行なうのです。

 たとえばけんすいで最高10回できるなら8回位を基準にしてそれを3度ほどくり返す。1度8回行なったら1~2分休んでまた8回行なうというようにすればよいでしょう。

 このスケジュールを実行する当初は各種目ともに1セットずつ行ない徐々にセット数を増やしてください。ただし3~5セットの範囲に止める方がよいでしょう。

 トレーニングは週に2~3回で充分です。疲れを翌日に持ち越さないよう特に注意してください。バーベル、ダンベル等重量物を使用する場合は絶対に無理をしてはいけません。

身長を伸ばしたい

(問)私は16才の学生ですが、14才のときからボディビルを始め16才の今では体重、胸囲等たいへんふえましたが身長はたった1センチしか伸びていません。

 そこで背が伸びる運動種目、トレーニング法などを教えてください。またクラーク・ハッチのリアル・プロの効果について教えてください。
(千葉県館山市 柾谷富士治)
(答)あなたの場合恐らく年令のわりにトレーニングが激し過ぎたことと、背が伸びる先天的素質が弱いかあるいは弱まっているためと思われます。

 しかしまだ若いので伸びる可能性がありますので、運動量を減らし徹底した栄養作戦を試みてください。

 背の伸びる運動種目は特にありません。水泳が良いとかバスケット・ボールが良いとかいわれていますが決定的なものではありません。しかし適度に運動することは背を伸ばすのに非常にプラスになると統計にはっきり現われています。

 そこでトレーニングは重いものをさけて軽いもので行なうようにし、できるだけ他のスポーツを取り入れるようにしてください。もちろん適度にすることが大事です。

 栄養に関してはタンパク質、カルシウム、ミネラルなどを多く含んだ食品が効果的です。リアル・プロはこれらの栄養素を多く含んだ食品です。

スクワットスタンドがない

(問)昨年12月号の“脚のバルクをつけよう”というページの中で脚のバルクをつけるにはハイ・レピティションよりもロー・レピティションの方がよいと記されていましたが、私にはスクワット用のスタンドがないためいちいちクリーンして背中にのせてから行なっています。

 現在55kgで10回、3セット行なっていますが、これをロー・レピティションで行なうとすればより重い重量をクリーンしなければならず、70~80kgを使用する場合はとてもクリーンできません。

 何とか脚のバルクをつけたいのですがどのような方法をとればよいでしょうか教えてください。
(神奈川県平塚市 鍬田道雄)
(答)お手紙によると寮の空地を利用しておられるようですが、その空地に直径15cm位の丸太か角材2本を適当な間隔を開けて打ち込み、各々の丸太の上部にバーベルをのせる溝を掘ると立派なスタンドができあがります。もちろん寮の責任者の了解を得なければなりません。

 他にも工夫によってはスタンド代りに使えるものはあります。たとえばドラムカンを2つ並べてスタンド代りにするというようなこともできます。

 前述のようなことが不可能な場合にはトレーニングの方法を変えることです。たとえば完全に片足でスクワットを行うとか、できるだけ重心を片足にかけ重心をかけた方の足で立つようにして、片方の足はバランスをとるだけにする。それを片一方ずつ行なう。

 このような方法を試みるのも良いでしょう。また友人に持ちあげてもらうのもいいでしょう。

体重の増加法

(問)経験1年8カ月、25才のビルダーです。「心身共に人一倍強く」をモットーに体重増加を願って練習していますが、最近の不信感にお答えください。

 ① 本誌10月号に、胃弱の者は腹筋のトレーニングを集中的に行なえば良いとあり、また別の本にシット・アップは1セットで良いとありますがどうなのでしょうか
(私はシット・アップは毎日5セット行なっています)

 ② スロー・カール、チーティング・カールなどをやると翌日必らず首筋から頭部にかけて激しく痛み、どうしてもできませんのでコンセントレーション・カールにしています。医師に相談しても判明しませんがなぜでしょうか?

 ③ 最近胸部の発達にスクワットの必要性を知ったのですが、トレーニング時間以外にシングル・レッグ・スクワットで補ってきましたがいかがでしょうか。以上3つの質問にお答えください
(大阪市束淀川区 竹下勝彦)
(答)①の質問ですが、胃弱の人はまず胃腸を強化すべきであるという観点からと、胃弱といわれる人の多くは神経質からきている場合が多いので、他のことを忘れ集中的にトレーニングすることにより、ストレスを解消し、胃腸の働きを円滑にすることを目的とするという2つの見方があるのです。

 太りたい人のためのシット・アップは1セットでよいというのは、この場合胃腸障害者、胃弱者に対するものではなく普通人に対する方法として書かれているのです。

 つまり胃弱の者は集中的にシット・アップを行なうべきであり、胃腸の働きが正常になったら普通人同様シット・アップを特にたくさん行なう必要はありません。

 過度に行なうことはエネルギーの浪費になり、体重減少につながるからです。この辺は確かに矛盾を感じやすいところです。自身でもよく研究してください。

 ②のカール(特に立位)を行なう際、肩腕部を支持している僧帽筋も運動に関与しますので、恐らくそのために筋肉痛を起こすのではないかと思われます。極端に異常な痛みなら運動を中止すべきですが、単なる筋肉痛は気にする必要はありません。

 カールを行なう際、軽目の重量で二頭筋を運動させるよう意識を集中した方がよいでしょう。

 ③の質問ですが、単なる健康作りには非常によいことです。しかしシングル・レッグ・スクワットだけを行なうことにより、胸部の発達にプラスになるかというと少々考え違いです。

 スクワットが胸部の発達によいと思われるのは、スクワットを行なうと循環機能の働きが活発になり呼吸が速くなるので、その時にプル・オーバーやラタラル・レイズなどを行なうと、胸部がより拡大しやすいと思われているからです。

 もしスクワット種目のみで胸部が拡大されるのであれば、マラソン選手はとてつもなく大きい胸郭をもっていてもおかしくない筈です。

 だからトレーニング時間外のシングル・レッグ・スクワットは脚の筋肉の強化とわずかながら循環機能に好影響を与えるが、胸部拡大にはほとんど関係ありません。

トレーニング中の休憩

(問)トレーニング中の休憩についての質問ですが、セット間の場合はどの位、そして種目間の場合はどの位にしたらよいでしょうか、教えてください。

 また1セットの時間はどの位にしたらよいでしょうか、具体的に説明してください。
(京都市下京区 岡田伸一)
(答)セット間および種目間の休憩1セットの所要時間などは総て目的に応じて変えなければなりません。いわゆるスタミナを増加させたい場合および脂肪を減らし筋肉質にしたい場合などはセット間、種目間の休憩を少なくし(極端な場合は休まずに行なう)1セットの所要時間も短くなります。

 しかし筋肉肥大、体重増加を願う人の場合は休憩は長くとるようにし、1セットの所要時間もやや多目にとるようにします。

 要するに全体的にスロー・テンポなトレーニングが筋肉肥大、体重増加に向き、その逆の速いテンポのトレーニングがスタミナ増加、ディフィニション増加に向いているのです。

 一般に筋肉肥大を目的とする場合はセット間の休憩は2~3分、種目間は4~5分です。そして1セットの所要時間は10~15秒(運動種目や回数により異なる)程度です。

 しかし普通休憩時間やセット所要時間をみながら行なうのは面倒なので、セット間の休憩は呼吸が整うまで、次のセットをやる気になるまで休憩するというように自分の体と相談しながら行なうことが多いのです。

 種目間の休憩は鍛練する筋肉部位が同一の場合は、セット間の休憩とあまり変らないことが多く、異なる場合は休憩時間を多目にとるようにします。

 これは前に行なった筋肉部位の興奮を静め、次に行なう筋肉部位の準備として必要になるので休憩時間が長くなるのです。
月刊ボディビルディング1969年4月号

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