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ボディビルダーは はたして性的に弱いか?

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月刊ボディビルディング1969年5月号
掲載日:2018.02.17
アメリカのテレビ映画“剣闘士ダビッド”に出演するデーブ・ドレイパー

アメリカのテレビ映画“剣闘士ダビッド”に出演するデーブ・ドレイパー

 ボディビルダーは性的に弱いーー隆隆とした筋肉の所有者は旺盛な性欲を欠いているーー力持ちには生気がないなどと、いわれるのを耳にする。しかしはたして本当だろうか?

 ボディビルダーに限らず他のスポーツ選手も、必要上から、他の一般人とちがった独自の生活ルールを採っている。競技者の目前のゴールは、自己の身体を最高のコンディションに導き、その最高調を保持することである。

 それを達成するには、競技者は、特殊のルールを厳守しなければならないのを承知している。食事に十二分に注意を払い、ゴールに到達する上に必要な健全なマッスル・ビルディング食をとるようにする。時間的に規則正しい生活、厳格なスケジュールのもとにトレーニングを実行し、たとえ他の人がどうあろうと、夜ふかしのパーティ、喫煙、飲酒から絶対に遠ざかる。

 パーティがようやく盛り上がり、あかりを暗くして、いよいよ行動に移ろうとする矢先でも、競技者は自制心によって、仲間を尻目にさっさと辞去する。その姿を見送った他の連中は、彼の行動を、自制心の結果ととらず、性的に劣弱のせいだと決めつける。このまちがった印象のために、多くの筋骨たくましい競技者が性力に欠けていると誤解されるのだ。これは全く根も葉もない虚評である。

セックスとからだ

 性腺は、直接作用するほかに、すべての内分泌腺ともお互いに作用し合いながら、全身活動として特殊な機能を発揮している。セックスを他の身体の働きと切り離すことはできない。全身が健全であればあるほど、性機能の働きも健全で活動的である。完璧に全身を発達させようと努力を傾注している器系の発達をも必要としているものである。

 性腺は強力な物質を分泌し、これをたえず血液中に放流させている。この腺が働きすぎて、分泌の過剰をきたすと、平常時に保たれている微妙なバランスが狂ってくるので、これを排泄しようとする緊張が起こってくる。これと同時に生殖器官はその生産物である精子を作りだしては貯蔵し、さらにこれを排泄しようとして緊張を起こしてくる。こうした働きがいっしょになっていわゆる性的欲求を生じ、性行為の遂行によって緊張は解消され、化学的バランスが回復される。

 しかしながら、性的緊張を解きほぐす方法はこれだけではない。というのは、セックスは数多い身体諸機能の一つにしかすぎず、全身機能はいっしょになって働いているので、他の性行為によらない緊張を解緊する安全弁がある。そのうち最も必要なのは、はげしい筋肉運動であり、ボディビルディングがその一番よい例である。

 たとえば結婚している運動選手の中には、きびしい試合の直前には、性的行為をつつしむたてまえをとっている人が多い。彼らは自分の経験から、うっ積した精力を競技に注ぐことが好成績をあげるうえに有効であることを知っているのだ。

 これは、自制力によるセックスの善用であって、性的虚弱を示すものではない。性力は意識的にコントロールしたからといって決して弱められるものではなく、むしろ強化される。

ボディビルダーとセックスおよびその心理学

 レスラー、ウェイトリフター、ボディビルダーたちは、同年輩の他の若者とちがった個性の持ち主であるわけではない。しかもパーソナリティのうちには男性特徴の程度も含まれている。この説は最近発行された心身リハビリテイション協会誌上に発表されている2人の研究者の最近の心理テストの結論である。ボディビルダーは普通人と異っているという俗説は、まったくナンセンスであることがこれでわかる。

 ここで一言つけ加えておきたいのは、他人の成功を羨望、嫉視するのは人間の通弊である、ということである。だれでも自分のことを、その分野においては優れていることを誇示したがるものであり、弱者は優れているものの足を引いて、自分の比較的位置を好都合にしようとするものである。

 この傾向は、ボディビル界でも例外ではない。立派に優れた肉体は、だれもが望むところであるが、多くの者はそのゴールに達しようとする努力と勇気を欠いている。そして卓越した肉体の所有に成功した人を、いたずらに羨み、ケチをつけたがる。その一つの簡単な誹謗方法は、彼は性的能力に欠けていると吹聴することである。このように他人の性的の劣弱をけなすご本人こそ、実は弱さを嘆いている場合が多い。

セックス・エクササイズおよび食事

 だれでも、自分の性的能力についてわずかでも疑念を持ったら、第一に「そんなことは心配するな」と自らいいきかせるべきであり、他の技術と同様に留意すべきは、セックスも試行錯誤を通じて初めて修得できるものだということである。野蛮人でない限り、自分の性的能力に関して一度も疑いをもたなかった者は、1人もいない。心配は緊張を招く。緊張は性力に対する最大の敵である。

 女性との肉体関係において、リラックスすることを一度知ったならば、ワイフを相手とするときでも、焦燥、緊張を消失することができ、性的劣等感は、もはや問題でなくなる。情交のさいにくつろごうとけんめいになればなるほど、いっそう緊張してくる。それを解消する解答は、リラックスすること、のんびりすることである。

 第二の忠言は“ぜったいに強精剤や人工刺激を用いないこと”である。グラマー女性の写真を載せて大々的に広告、宣伝しているが、これらの薬品はよくて効果なく、悪い場合には有害である。強精剤の摂取は、どんな場合でも医師の指示や処方に従わなければならない。

 旺盛な性欲を得るには、よく配慮された健康食を摂り、体力作りのエクササイズを経続して行なう。牛、雞、魚の肉類、雞卵、果物、野菜、無漂白の穀物からなるバランスのとれた自然な食事をする。過度に加工したサラミ、人工飲料水、ケーキ、パイ、キャンデー、漂白したパン、パストリー、その他活力を欠いた食物は避けるようにする。

 元気がなく、エネルギーを欠く場合には、自然の炭水化物(果物、野菜、無漂白の穀類製品)と各種のビタミン類を必ずとるように努める。

ビタミンEとセックス

 ビタミンのうちでセックスに最も深い関係のあるものはビタミンEであり、これは時には“セックス・ビタミン”とも称されている。今日科学者たちはビタミンは健全な性機能の保持上重要であること、一部の食物中にこの種のビタミンが極度に欠如している事実を認識している。

 ビタミンEは、また心臓機能を保持するので、運動選手たちの持久力を助長すると信じられている。それで驚くほど多量のビタミンEを含んでいる小麦の肝芽油が、有効な食物の補充剤として、選手間にあまねく愛用されている。

 健全なバランスのとれた食事をとり、規則正しいエクササイズを行なえば、その結果として、心臓循環機能、中枢組織を強め、性的機能を含むすべての反応を促進する。健康な肉体の保持者が、完全な性生活を楽しむ特権を有することは、多くの科学者が保証するところである。

(校閲ーーお茶の水女子大教授・渡辺俊男)
月刊ボディビルディング1969年5月号

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