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●パワーリフティング誌上コーチ(1)●
ベンチ・プレスのポイント

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月刊ボディビルディング1971年4月号
掲載日:2018.05.22
国分寺ボディビル・クラブ代表 関二三男

パワーリフティングの魅力

最近、ボディビルディング誌にも世界各国のパワーの記録が掲載されているが、これらの記録と比較して、日本のパワーリフティングの水準も、ようやく、世界の水準に達したようである
とくに、軽量級においては、世界のベスト・テンに堂々と名を連らねることのできる人が数人はいると思う。
パワーリフティングの魅力は、ボディ・コンテストの逞しい肉体観賞と違ったいわゆるスポーツとしての面白さだと思う。それは、競技の結果が、記録としてはっきり数字に表わされるからです。

小さな試合では友達同志、そしてジム内での記録会、さらに公認競技会としては、各地方協会の選手権、全日本実業団、全日本選手権大会と、その成果をきそう大会も数多く催されるようになりました。
私も毎年出場し、今では完全にパワーの虜となってしまいました。

そこで、今月から3回にわたり、種目別のポイントを、私の経験を主体にして説明したいと思います。本番における試技、練習時の参考になれば幸いです。

ベンチ・プレスの基本

この種目は、バーベルを握る者なら誰でも行なう最もポピュラーな種目です。それは、ベンチ・プレスを行なうことによって、大胸筋が発達し、いかにもビルダーらしい身体になる種目だからです。
まず、バーベルの押し上げ方については大きく分けて2つになると思います。

一つは肩で押し上げる方法で、これは三角筋、大胸筋を主体にして、腕はあまり曲げずに行なう方法です。
この方法をとっている代表的な選手には伊集院選手,出川選手,岩岡選手等がおります。

もう一つは、腕で押し上げる方法で、文字通り腕を深く曲げて、上腕三頭筋を主体として行なうものです。このタイプの代表的選手は宮本選手、花井選手等です。
この2通りの方法のうち、どちらが良いかは、議論が分かれていて、はっきり結論がでていませんが、自分の型がどのタイプに属するかを考えて、日常のトレーニングのときに必要な筋肉を鍛えるようにしましょう。

スピードの養成が必要

さて、トレーニングですが、ベンチ・プレスに限らずすべての運動はまず、筋肉中の筋紡錘が重量を感じこれを脳に伝達し脳から運動神経を伝わって、筋肉に運動をおこさせるのです。
この行程をできるだけ速く行なった方が重い重量を押し上げるには有利なのです。したがって、筋肉の養成と、スピードの養成は平行して行なわなければなりません。

スピードの養成とは、ベンチ・プレスの運動の時間を短縮することですから、まず、15回前後可能な重量で、できるだけ早く15回押し上げ、セット間5分くらいおいて、もう1度15回押し上げる。
そして、この2セットに要した時間を計っておき、所要時間を短縮するようにトレーニングします。こうして1日おきか、3日おきくらいに計っていくとよいでしょう。

次に練習中のセット間休息は、人によって違いますが、私は3分~5分くらいが適当だと思います。それは、筋肉を疲労させないで、しかも筋量を増やさないためです。
とくに、パワーリフティングではへビー級以外は体重に制限がありますからぜひ心掛けるようにしたいものです。

試技にのぞんでの注意

①ラックの高さに気をつけよう…
私は、第3回全日本大会のときに、低いラックから、ふだんのつもりでバーベルをはずそうとして、左肘を痛め、半年間も練習を休んだ苦い経験があります。
ふだん自分の行なっている最もやりやすい高さに調節してから試技に入るべきです。

②シャフトはしっかり握ること…
シャフトを握るとき、一流の選手の中にも1本か2本の指をはなしている人がいますが、必ずしっかり握るようにしましょう。これは、しっかり握ることによって、前腕が緊張しより以上安定するからです。またケガの予防としても必要なことです。

③シャフトの重心を前腕の真芯に…
よく手首を曲げた状態で押し上げている人がおりますが、これは手首に負担がかかるだけで、非常に力のロスになります。前腕の真芯にシャフトの重心がくるようにすれば、もっと記録がのびるはずです。

④ハの字の逆に押し上げる…
スタートの位置からバーベルを胸におろすときは、大胸筋の最も厚いところにおろします。そして鎖骨にさわるぐらいにアゴを引き、肘をぐっとしめて、図のように八の字を逆にした方向に力を入れるのが理想的です。
(矢印の方向に力をいれるような気持で)

(矢印の方向に力をいれるような気持で)

(この写真は理想的なフォーム、ベンチと腰の位置に注意してください)

(この写真は理想的なフォーム、ベンチと腰の位置に注意してください)

⑤試技のときに声を出さないこと…
試技のときに、エィとかウォとか声を出す人がありますが、これは如何にも気合が入っているようにみえるだけで決してよいことではありません。練習のときから声を出さないように気をつけましょう。

⑥規定に忠実に…
とくにべンチ・プレスの場合は臀部がベンチから離れやすいので、トレーニングのときから充分に注意しなければなりません。一種のクセになると本番の試技のときに急には直すことができません。

⑦ウォーミング・アップは長すぎないように…
これは、べンチ・プレスに限ったことではありませんが、どのくらいのウォーミング・アップが必要かは、個人差があって具体的にはいえませんが、一般的な傾向としては、軽量級の選手は少なく、重量級になるほど多くするようです。
とくに、減量をしている選手は、スタミナを温存するという意味で、あまり多いウォーミング・アップは不利といえましょう。

私の場合は、ベンチ・プレスの場合100キロ×10回×1セットやり、次に140キロを1回やって試技に入るようにしています。
最後にベンチ・プレスの場合、どの程度の重量が一流選手としての目標かといいますと、少なくとも、自分の該当するクラスの最高体重の2倍ぐらいを目標としなければなりません。

次回はスクワットのポイントについて説明します。

海の向こうの話

――怪物プラウズ――

イギリスのかつての重量あげへビー級チャンピオン、ディブ・プラウズはこのほどクランク・インした怪奇映画〝フランケンシュタイン〟で主役の大怪物?を演じている。
これを聞いて、内外のファンが一日も早く彼の姿をスクリーンで見たいものと首を長くしている。しかし耳までさけたあの口を見ては、チャンピオンのイメージも台なしになるのでは…と気をもむむきも多い。


――ビルダーは子供好き――
ジョン・グリメックのあとを受けてミスター・アメリカになった、フランク・ライトは子供好きで有名である。
彼は現在、コネチカット州のリッチフィールドに家のない子供たちをたくさん集めて、学校と寮を提供し、心あたたかい世話を続けている。
当時、世界を驚嘆させた胸の筋肉は今も健在だと友人は語っている。

数年前ミスター・アメリカになったジム・パークは、その後ボーイ・スカウトの仕事に従事し、少年たちに囲まれた楽しい毎日をすごしている。
かのチャック・サイプスも子供の教育に手を染め、未来を背負う立派な人間の形成に役立ちたいと、教育事業に努力している。(S.T)
月刊ボディビルディング1971年4月号

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