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職場訪問 富士通川崎工場

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月刊ボディビルディング1971年5月号
掲載日:2018.05.22
 川崎駅から南武線に乗り換えて、20分たらずで武蔵中原駅につく。駅前の交番で聞くまでもなく、目指す富士通川崎工場は目の前にその偉容を誇っていた。

 従業員6,000人と聞いていたので、太い煙突からは黒煙がモクモクと吐き出され、フォークリフトや大型トレーラーが激しく動き回っているものとばかり想像していたが、現実の富士通は鉄筋のビルのような建物こそ立ちならんではいるが、煙突などは一本もなくまったく私の想像とは違った光景を呈していた。
富士通川崎工場の全景と、ボディビル部の役員たち。左から小柳津顧問、上村部長、田辺キャプテン

富士通川崎工場の全景と、ボディビル部の役員たち。左から小柳津顧問、上村部長、田辺キャプテン

 そして私は担当者から話を聞いて納得できた。富士通という名前はよく耳にするが、経済にウトい私は、ここで何がつくられているか知らなかった。この川崎工場では、コンピューターとか各種通信機といった、いわゆる時代の最先端をいく情報産業の綜合メーカーなのである。しかも、その技術水準はわが国はおろか、世界の最高水準をいっているそうだ。

富士通川崎工場の全景と、ボディビル部の役員たち。左から小柳津顧問、上村部長、田辺キャプテン

 工場のごく一部の機構製造部あたりでは、少しは工作機械の音も聞えてくるが、そのほかは、まるで大きな公園の中に、丸の内のビル街を移したような感じである。

 広い庭には、今を盛りと桜の花が咲き乱れ、きれいな芝に囲まれた池は、まるで名園を見ているようだ。時計台のある建物のはるか向うには、立派な病院や、体育館も見え、こんな恵まれた環境の中で働く従業員は、公害問題などがやかましく騒がれている今日、全くうらやましい限りだ。

完備された練習場でトレーニングにはげむ部員たち

 そして、富士通の企業が時代の先端をいくばかりでなく、従業員の健康管理という面においても、まさに時代の最先端を行っているのである。あらゆるスポーツの設備が完備しており、会社の方針として積極的に奨励している

 この工場にボディビル部ができたのは昭和35年である。すでに10年の歴史を誇っている。もちろん、目的は従業員の健康管理と体力養成であるが、そのほかに、業務に対する気迫の養成ということが強調されている。優秀な製品は、健全なる肉体と精神が伴なってはじめて完成されるという経営方針がスポーツという形で実践されているのだという。
完備された練習場でトレーニングにはげむ部員たち

完備された練習場でトレーニングにはげむ部員たち

 ボディビル部には、従業員ならば誰でも入部できる。現在、正式部員は83名であるが、正式部員でなくとも、練習したいものは、いつでも練習できるようになっていて、積極的に利用されている。

 ボディビル部の正式活動としても、パワーリフティングやボディ・コンテストには積極的に参加し、優秀な成績をおさめている。

 世界の情報産業をリードする富士通とこれを支える作業員が、今日もまた雄々しく前進する姿を見て、久しぶりに充実した日を過した。(勝村)
月刊ボディビルディング1971年5月号

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