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道場訪問 正気塾

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月刊ボディビルディング1971年6月号
掲載日:2018.01.22
写真左から岡野氏、南さん、ルスカ選手、筆者

写真左から岡野氏、南さん、ルスカ選手、筆者

とびこんできた情報

 -1967年度世界柔道選手権重量級チャンピオンのルスカ選手が日本にきて、「正気塾」というところで柔道の修業をしている。ボディビルをやっていて、すごくいい身体だ。ぜひ取材してみたらどうですか。-こんな電話が市川の南さんからかかってきた。
 南さんは、かつてミスター日本コンテストなどにも出場し、均整のとれた体で賞讃をあつめた先輩ビルダーである。今は国電市川駅前でレジャー・センターからレストランまで幅広く経営する会社の青年重役であるが、その中のサウナに、柔道の岡野さんと一緒にルスカ選手がよくみえるのだそうだ。

岡野さんの道場「正気塾」

 さっそく南さんに案内してもらった。 
 駅から少しはずれた小高い丘に「正気塾」はあった。正式には「やよい研修寮・正気塾」。岡野選手といえば全日本選手権・東京オリンピック世界柔道選手権・・・・・・あらゆる大会を制覇した名選手。その岡野選手が情熱をかけて運営されているのが「正気塾」だった。ここに一歩足をふみ入れた瞬間現代の狂気にあふれた時代に対する反骨精神、心意気、姿勢といったものがヒシヒシと伝わってくる。
 ルスカ選手はこの正気塾に寄宿して岡野選手と起居をともにして、柔道の修業に打ち込んでいるのである。
 しばらくしてあらわれたその人。ウイルヘルム・ルスカ。31歳。おそろしい大男を予想していたが、さすがにボディビルで鍛えた鍛しい身体をしているが、センスにあふれた好青年だった。レモン色のスポーツ・シャツの着こなしが心にくいばかり。
 さっそくインタビュー。
 -ルスカ、あなたの経歴は?
 「1967年度世界柔道選手権重量級優勝、1968年度無差別級2位、そのほかヨーロッパの大会で活躍中です」
 ”第二のヘーシンク”を目指して2月に来日。修業をつんで5月に帰国するという。

レジ・パークのコーチを受ける

 -あなたの身長、体重は?
 「身長は190cm、体重は105~110kgです。風邪で少しやせました」
 -ボディビルをとり入れているそうですが、いかがですか?
 「どんなスポーツにもバーベル・トレーニングは必要です。それは、科学的で役に立つからです。基礎的な体力は筋肉を鍛えることにより得られます。ヨーロッパのスポーツ・マンはみんなよく研究していますよ」
 -ボディビルとの出合いは?
 「基礎体力をつけるためにボディビルを始めましたが、本格的に始めたのはレジ・パークにコーチを受けてからです。現在、彼は南アフリカ連邦のヨハネスブルグでジムを経営していますが、そのジムで私はトレーニングをしました。
 -スポーツ・マンはトレーニングをやめると急に太り出しますね?
 「その通りです。ヘーシンクは現在140kgもあります。自分の専門のスポーツができなくなっても、健康管理という意味でボディビルはやるべきです。そうしないとすぐブクブクしてくる」
-具体的にどんな練習方法をとっていますか?
 「私は毎日1~1.5時間をバーベル・トレーニングにさいています。そして月曜・胸、火曜・腕、水曜・肩、木曜・脚、金曜・背のように部分ごとにわけています。この方法は、どんなスポーツ選手にもいいと思います」
 -たとえばどんな種目をやりますか?
 「種類は多すぎて説明しきれないほどですが、基本的なバーベル運動が中心です。たとえば、ベンチ・プレス、スクワット、デッド・リフト、カール等です。また、握力の運動もよくやります」
 ルスカは日本の選手から伝統技術とわざを学ぶかわりに、ウェイトトレーニングのやり方を若い選手に指導してくれる。この号の出るころ、ルスカはもうオランダだ。今年のヨーロッパ選手権と来年のミュンヘン・オリンピックが目標という。そして先生の岡野氏たちとも同じ舞台で戦うことになる。勝負の世界はきびしい。よき精進と活躍を祈りつつ「正気塾」をあとにした。
-野沢-
月刊ボディビルディング1971年6月号

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