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ゴルフとボディビル ~ ゲーリー・プレーヤーのこと ~

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月刊ボディビルディング1969年6月号
掲載日:2018.03.07
毛利設計事務所專務
YMCA体育委員
安 室 健 郎
筆者と話し合うゲーリー・プレーヤー

筆者と話し合うゲーリー・プレーヤー

スイングのタイミングと瞬発力をつける(約10kgのダンベル)

スイングのタイミングと瞬発力をつける(約10kgのダンベル)

大腿筋、大臀筋、固有背筋の3つの力をつけ、脚腰を強くする(約100kgのバーベル)

大腿筋、大臀筋、固有背筋の3つの力をつけ、脚腰を強くする(約100kgのバーベル)

 東京オリンピックの翌年、世界的名プロゴルファー、ゲーリー・プレーヤーが来日の折、東京YMCA体育館で約10日間、ウェイト・トレーニングをした時のことである。小生も立会い、一緒にトレーニングをしたのであるが世界のトップ・ゴルファー数ある中で、身長1m71、体重68キロ、と日本人と変らない体格でありながら、ビッグ・スリーの1人として、その地位を確保し続けているその真髄に触れた気がし、プロ根性に徹した真摯な姿をまのあたり見て深い感銘を受けた事は今でも記憶に新しい。

 昼間はゴルフ場でラウンドして、その後、誰もつれず、たった1人で決った時刻に通って来た。

 トレーニングの内容については特に取り立てたものはないが体の柔軟性、ゴルフに必要な部分の筋力、スイングのタイミング等を主体としたもので、彼独得のヨガの逆立ちも加え、小生の意見を素直に取り入れたりして、終ると休息しなければならない程のハードトレーニングを終始決められたスケジュール通り実行した。

 「私のゴルフはすべて努力と鍛練によってささえられている」「私は技術については誰にも負けないものを身につけている。あとは体力だけだ。ドライバーはあと30ヤードのばしたい。そうすればマスターズに優勝する自信はある。その為には、ゴルフ場でのラウンド練習だけでは駄目だ。体力をつけることが先決だ。私は必ずやりとげる」

 彼の言葉をきいて、八田一郎先生の言われる“根生”そのものであると思った。

 ゴルフに限らず、又プロ、アマを通じて競技者である限り、勝つことが目的であることは言をまたない。誰でもやっている程度の努力では勝つことは出来ないし、又前人の記録は破れないであろう。

 健康管理のための社会体育ならば生活の一部として皆で楽しみながらトレーニングすることが出来るが、競技者として一流である為には、孤独であり、人知れず他人がやらないトレーニングを試みる努力と工夫、又それを最後までやり遂げる不屈の精神力ーー「根性」がなくては駄目だと思う。

 それと10日間まざまざと見せつけられたことは私にとって大変貴重な経験となった。

 最後に小生確信を持って言える事は、各種スポーツの補助運動としてウェイト・トレーニングにまさるものはない。特に技術的にある限界に達した競技者にとっては文句なく、その効果があらわれることを断言する。但しその方法を誤ると逆効果もあり得るので、適切なリーダーによる指導が必要である。

 なお、ゲーリー・プレーヤーは翌1966年のマスターズ・トーナメントでは念願の優勝を果した。
月刊ボディビルディング1969年6月号

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