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小魚と干し魚

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月刊ボディビルディング1971年12月号
掲載日:2018.05.26
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〈イライラはカルシウム不足から〉

 車やバスに乗っているときに出くわすあの交通渋滞。ずっと先に信号があって、その先もまた信号。ノロノロノロノロ。オートバイや自転車、はては通行人までスイスイ追い抜いていく。

 とくに約束の時間があるときはもどかしい。カッカ、ハラハラして、そのために高血圧や心臓病、胃病や神経症になる人が増えるのではないかと、チョットばかり気になる。

 ところがどうだろう。ローマやパリでは、同じような車のラッシュでも乗客は平気なもの。すぐ横の見知らぬ人と話をはじめて、にぎやかなオシャベリの場となる。日本ではお互いにムツッと苦虫をカミ殺したような顔をしているのとは対照的だ。

 それは、外国の人たちが、チーズや牛乳のヨーグルトをたっぷり食べて、カルシウムを充分とっていることが1つの理由になりそうだ。

〈カルシウムの働き〉

 「骨まで愛して」じゃないけれど、小魚は頭から尾まで丸ごと食べられるのだから、骨の成分であるカルシウムをたっぷり供給できることになる。

 そのほかに、乳製品・干し魚・でんぶ・つくだに・ごま・のり・わかめ・玄米などにカルシウムが多い。

 カルシウムの作用はいくつもあるがその1つに神経の安定をはかり、興奮しそうな神経をおさえる作用がある。また、近ごろの子供や青年は、すぐにポッキリ骨折するというが、骨の発育に必要なカルシウムの不足が大きな原因と考えられる。

 カルシウムはそのほかに、体液をアルカリ性に保つこと、血液の凝固を助ける、などの重要な役割を果している。

〈小魚と干し魚の上手な食べ方〉

 煮ぼし・丸干しいわし・あじのひもの・しらすぼし(ちりめんじゃこ)−−いずれも乾燥して、水分が20〜30%と少なくなっている。そのぶんだけタンパク質もミネラルも多く含まれていることになる。生の魚の水分が70%以上あるのに比べると、カルシウムはその4倍くらい多くなっているのが普通である。

 妊娠した女性は、胎内の赤ん坊がその骨格や歯をつくるのにどんどんカルシウムを必要とする。そのために、小魚などが不足であると、自分の歯がボロボロになったり、髪の毛が抜けたり貧血になったりするので、くれぐれも栄養に注意したい。

 穀物や大豆・ほうれん草を同時に食べると、その中の蓚酸やフィチン酸がカルシウムと結合して塩となり、吸収されずに体外へ出てしまうという説があるが、これはあまり気にしなくていい。

 いわしやあじはフライにすると、かなり大きな魚でも骨やひれまで食べられる。また、缶詰の中の骨も軟かくていいものだ。栄養表から算出して1日に1グラムのカルシウムをとるといいが、日本人のふつうの食事では、その半分くらいしかとれていないようだ。

〈小魚を使ったスタミナ・メニュー例〉

 骨格の発育に必要なカルシウムを充分含み、カロリーやタンパク質のベランスを考えたメニュー(夕食)の一例をあげてみよう。
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(野沢秀雄)
月刊ボディビルディング1971年12月号

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