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年々活発になるミスター東京大会

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月刊ボディビルディング1969年8月号
掲載日:2018.02.20
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 明けきらない梅雨空を心配しながら第4回ミスター東京コンテストの会場ハタ・プールセンターに到着した。

 今年は長い間懸案だった。東京ボディビル協会が正式に発足し、山田会長(衆議院議員)を迎えたはじめての大会でもあり、各役員もいつになくはりきりかいがいしく準備を進めていた。

 正午近くなると、プールで遊んでコンテストを見ようという観客たちが続々と会場に集まり、コンテストに出場する選手と一緒になって、プール・サイドは次第ににぎやかになってきた。

 午後1時、司会者がマイクの前に立ち第4回ミスター東京コンテストの開始をつげると、プール・サイドから千人を越す観衆が舞台の前にあつまり、会場のふんいきは次第に高まっていっ
た。

 行進曲がなりひびくと昨年度ミスター東京の吉田実君('68ミスター日本)が優勝旗をかかげて先頭に立ち、今日のコンテストに出場する50人の選手があとにつづき恒例の大行進がはじまった。

 今年の東京コンテストには新人の参加が多かった。舞台にならんだ50人の選手の第一印象は比較的小柄な人が多かったが、ほとんどの選手がよくまとまっており、さすが東京の選手層の厚さが感じられた。

 このころになって心配していた梅雨空がにわかにあやしくなり、霧のような雨と突風が吹きつけ、これでは今日の大会は昨年のミスター日本琵琶湖大会の二の舞いかと関係者の顔は雨雲よりまして暗くなっていた。

 今日の司会者山際理事も心配そうな顔で会長挨拶をうながした。。

「このたび東京ボディビル協会の会長をお引受けし、はじめての大会に出席しとてもうれしくおもっています」会長の挨拶がはじまった。「私はスポーツがとても好きで、これまでも、いろいろなスポーツに関係してきた。この大会で選手諸君の立派な体をみて、とてもすばらしいと感じた。しかし、この立派な体が、何ごとかをなすということに本当に意義があると思います」と述べた。

 さて今日の審査員は平松顧門、中大路和彥、後藤武雄、鈴木正宏、遠藤光男、吉田実の各氏と紅一点松竹の藤田憲子さん。始めは「わたし、どの人がよいのか全然わからないわ」と弱音をはいていたが、すこしなれてくると、あの人は迫力がないとか、力強さがないとか、結構まとを射た審査をしているようすだった。

 さて心配された雨雲も、大会に遠慮してか、いつのまにかうすくなり、予選審査がはじまった。

 5人ずつが舞台にあがり一人ずつ順にポーズを行なった。

 見物席の方もほとんどがビルダーで占められており、同じジムの仲間が出場すると八方から声援がとび、コンテストの雰囲気も次第に高まってきた。

 ポーズは前面、側面、背面のポーズで審査がおこなわれた。

 昨年までは体全体の動きをみせる全表現型のポーズをおこなう人が多かったが、今年は大胸筋、二頭筋、背筋等の一部分を強調する部分強調型のポーズが多くなった。

 とにかく力強いポージングの人、すごみをみせる人が、観衆をよろこばせ審査の結果にもよい成績を収めていた。

 予選審査が終ったころ、東京都議会の選挙戦でご多忙中の八田会長が顔を見せ祝辞を述べる。八田会長は「私はボディビル協会の会長であり、レスリング協会の会長もしている。レスリングの方は東京オリンピックに引きつづきメキシコにおいても多数の金メダルを獲得することができた。これは私がレスリングの選手にボディビルを実行させているためだと思っている。日本のビルダーも年々すばらしくなっているのでコンテストをめざしている人は世界の舞台で優勝するようがんばってもらいたい。また、すばらしい筋肉をつけたらほかのスポーツにとびこんで活躍してもらいたい」

 集計係がようやく採点の結果をまとめたらしく、司会者の山際理事にメモを手渡した。

 いよいよ決勝審査がはじまった。

 末光君の出場を迎えると拍手と声援が一段と高くなった。小柄だがデフィニションがすばらしい。飯富君などもベテランらしい落ちつきで場内をわかしていた。

 決勝審査の結果は場内の声援どおり末光君が初優勝をとげた。

――講評――

 第4回ミスター東京コンテストをふりかえってみると、今年の大会は50人の選手のうち5、6人の選手をのぞいて一応のレベルに達していたことが目立った。選手の体格については小型選手(65kg前後)中型選手(75kg前後)が活躍し、大型選手(80kg以上)が上位に入賞できなかったことはちょっとさびしい。

 来年は大型選手にがんばってもらいさらに内容をたかめてもらいたい。

 優勝した末光選手は昨年の同大会でも上位に入賞したが、今年はさらにデフィニションをましてポージングの迫力は抜群であった。

 末光君の筋肉は小笹君と栃木の小林君の中間位をいくすばらしいものをもっており、これからもますます精進して、われわれをはじめ、ボディビル・ファンの目を楽しませてもらいたいものだ。これからの問題としてしいて書きとどめるならば、自然体における末光選手はさほどすばらしいという感じがしない。筋肉の量があと2~3キロふえればミスター日本に出場しても上位入賞が可能だろう。

 2位になった飯富選手はコンテスト歴も古く、小さな大会ではいつも上位入賞をはたしているが、ここ2年ばかり進歩がみられない。均勢のとれた魅力のある体をしているが迫力がたりない。大胸筋、三角筋を中心にバルクアップするべきだ。ミスター日本に出場する東京勢の先輩格としてより一層の精進を期待したい。

 3位の内田選手は上半身はかなり発達しているが、大腿部はまだきたえこまれていないように感じた。今後は下半身をきたえ、上半身もデフィニションを増すようにすれば、目立ってすばらしくなることだろう。

 4位の小沢選手は脚部がのびのびと発達しており小気味がよい。上半身は大胸筋がよく発達しているが、前かがみの姿勢のせいか大きな胸が重くるしい感じがする。これからは、各部筋肉の調和を保ちながら普段から姿勢に気をつけてもらいたい。



 私たちは今日のコンテストにかぎらず日頃きたえた体をポージングにより表現し、そのたくましさを競いあっている。若いビルダーたちは一生懸命練習している。

 バーベルととりくみ、体をきたえることはひとりひとりの人生行動の可能性をひろげる意味においてはすばらしいことだと思う。ずらりとならんだ選手を前にして、この50人の選手全員だあたえられた人生を精一杯に生きてもらいたいと心から思った。

 それによって、ボディビルが本当の意味の社会体育として世間から認められる日も近いことだろう。
(中大路和彦)
(左から2位飯富、1位未光、3位内田の各選手)

(左から2位飯富、1位未光、3位内田の各選手)

月刊ボディビルディング1969年8月号

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