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なんでもQ&Aお答えします 1972年2月号

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月刊ボディビルディング1972年2月号
掲載日:2018.05.08

前腕伸筋を発達させたい

Q
18才の学生です。前腕届筋の発達はよいのですが、前腕伸筋の発達が思わしくありません。どんな種目をやったらよいでしようか?
 
現在、身長172cm、休重68kg、上腕囲38cm、前腕30cmです。(長野県上田市中央2 牧野有一)
A
 
 前腕伸筋を発達させるためには、リスト・カール(オーバー・グリップ)とバック・ハンド・カール(リバース・カールとも呼ばれている)が、一般に愛好されている効果的な種目です。

 ここでいうリスト・カールは、ベンチなどに腰をかけ、両大腿部をほぼ平行にし、バーベルかダンベルをオーバー・グリップ(手の平を下に向けてバーを握る)で握り、前腕部を大腿部にびったりのせて、大腿部の先端に手首を出し、上下運動をさせるものです。

 つぎに、バック・ハンド・カールは通常のスタンディング・スロー・カールを、手の平を下に向けて握って行なう種目で、両ひじを体側に固定して行なうよう注意すればよいでしょう。

 この2つの種目を2〜3セットずつか、あるいは、1つだけを4〜5セット行えばよいでしょう。もし、1種目を選ぶとすれば、どちらかというとリスト・カールをお勧めします。それはリスト・カール(オーバー・グリップで握る)が、もっとも前腕伸筋の専門種目といえるからです。

レスリングとボディビル

Q
15才の高校生です。いまレスリング部にはいっております次の質問にお答えください。

① ボディビルをやると筋肉が硬くなり、スピードがなくなるから絶対禁物だといわれました。それは本当でしょうか。

② レスリングのためにボディビルをやるとしたら、どんな練習をしたらよいでしょうか。詳しくお教えください。(埼玉県入間郡 小林健二)
A

 かってアメリカの2人の水泳選手が、水泳のための体力づくりとしてボディビルをやりました。すると、コーチや仲間たちは「そんなことをしたら、からだが硬くなり、筋肉が短くなって、関節の可動範囲が狭くなる」といって、否定的な目で見ていました。

 ところが、この2人が世界新記録を出し、周囲もこのトレーニング法に注目し、これを研究した結果、ボディビルは水泳にも良いと考えられるようになったのです。そして、水泳ばかりでなく、他のあらゆるスポーツに良いこともわかってきました。いまどきボディビルをやると、からだが硬くなるなどというのは時代遅れといってよいでしょう。

 レスリングでも、プロレスラーのほとんどの人がボディビルを愛好しています。またアマレスでは、東京オリンピックのとき優勝したアニマルこと渡辺長武選手も愛好者の1人です。

 柔道では猪熊、岡野選手など、パワー・リフター顔負けのベンチ・プレッサーで、ボディビルとこれらのチャンピオンとは切り離すことはできないといってもよいでしょう。したがって、ボディビルをやって筋肉が硬くなったとしたら、おそらくチャンピオンたりえなかったことと思います。

 さて、これらの事実からボディビルがレスリングにも有益であることがわかったことと思いますが、どんなトレーニングがよいかといえば、全身の筋肉をくまなく使うレスリングにとっては、これだけでよいといえるトレーニング法はありません。しかし、この程度の種目を行なえばよいといえる、おおまかなところでは、つぎにあげるようなもので十分でしよう。
記事画像1
 以上を週2〜3回、シーズン・オフには多めに、シーズン中はレスリングの練習の後に少なめに行なえばよいでしょう。

ワイダー・システムとは

Q
ミスター・アメリカ、マッスル・ビルダー誌に、ワイダー・システムのことが書いてありますが、どういうトレーニング法か簡単に説明してください。(19才自宅練習者)
A

 ワイダー・システムのトレーニング法を説明して欲しいといわれても、一言で答えることはできません。

 ただ、基本的にいえることは、ワイダー・システムといえども手品や魔術ではなく、トレーニング種目・重量・回数・セット・休息・トレーニング頻度などを、いろいろ組み合わせて作られたものにすぎないということです。

 ワイダー・システムは、今日の日本のボディビルダーの多くがその影響を受けており、具体的には、チーティング法、スプリット・ルーティン法、トライ・セット法など、多数のトレーニング法をあげることができます。

 また、このようないろいろのトレーニング法を、ここであらためて紹介するまでもなく、すでにワイダー・システムは広く実行されています。というより、ワイダー・システムが研究されてからボディビルが盛んになってきたのではなく、ワイダー・システムができる以前から、これと同じトレーニング法はあったのです。

 少々わかりづらい表現になりましたが、つまり、昔から現在にいたるまでいろいろのトレーニング法が工夫されてきて、その上に名前をつけたという面が多分にあるということです。

 もちろん、ワイダー・システムのなかには、独自に工夫したものも少なからずあり、その功績は大であるといわなければなりません。
月刊ボディビルディング1972年2月号

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