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乳製品とマーガリン

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月刊ボディビルディング1972年4月号
掲載日:2018.03.15
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<学校給食のおもいで>

大きなバケツに、大きなヒシャクをエッチラ、エッチラ当番がはこんでくる。うすい色をした、甘くもなんともないミルクを、みんなイヤイヤ飲んだものだった。
牛乳のきらいな女の子がいて、その子がなんとなく可愛いくてクラスの人気者だったので、彼女が「こんなまずいもの飲めないわ」といいだすと、みんなが自分も、自分もと同調し、いつもタップリ残して、担任の先生を困らせたものだった。
だが、考えてみると、青年の体格がよくなり、平均身長がグングン伸びていったかげに、学校給食のミルクが果した役割は大きい。
走りまわって体力を使い、そのたびに体が成長していくこの時期に、ミルクの中のタンパク質は骨格や筋肉にどんどん吸収されていったことだろう。

<粉乳は牛乳を乾燥したもの>

しぼりたての牛乳は、うまいけれど保存ができないため、たいてい乳業会社の工場に集められ、スプレードライヤーという機械で乾燥される。こうしてつくられたのが全脂粉乳で、タンパク質26%、脂肪26%、炭水化物39%の組成をもっている。
脂肪が26%もあると、保存中に変質しやすいので、あらかじめ脂肪をとりのぞいてから、乾燥したものが脱脂粉乳(スキムミルク)である。タンパク質35%、炭水化物53%、脂肪は1%以下である。
スキムミルクは腐る心配がなく、遠く海をわたってオーストラリアやアメリカから日本へ入ってくる。給食で飲んだミルクも、ほとんどが外国から輸入されたものである。そして実は、毎日配達される牛乳も、多くはスキムミルクを工場で再びとかして、品質を再調整したものである。
「スキムミルクは牛乳の残りカスだからきらいだ」という人がいるが、決してそのようなことはない。むしろ、好きなときに、好きな濃さにして、好きな量だけ飲めるので、こんなに便利なタンパク食品はない。

<バターは牛乳の油>

牛乳中の脂肪を集めて殺菌すれば、バターができあがる。脂肪82%、水分16%である。タンパク質こそないけれど、バターは消化・吸収されやすく、100gで721カロリーのエネルギーを持っている。
野球のポジションのうち、もっともはげしい作業量を要求されるキャッチャーが、1試合(約2時間)に使うカロリーが700カロリーという。普通のバター(1/2ポンド=225g)の約半分くらいをとればいいことになる。
また、バターにはビタミンAが多く成長を促進し、皮ふや粘膜の機能を正常に保つのに効果がある。
ビタミンAが不足すると、外界に対する抵抗力が減り、カゼをひきやすくなったり、病気にかかりやすくなったりする。

<チーズは牛乳のタンパク質>

牛乳にレンネットという酵素と乳酸をまぜると、牛乳中のタンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルが凝固する。これを集めてプレスしたあと、特定の温度で熟成させると、あの独特の風味をもったチーズができあがる。
牛乳から直接つくったチーズをナチュラル・チーズといい、外国などのチーズをまぜて合成してつくったチーズをプロセス・チーズと呼んでいる。
チーズはタンパク質30%、脂肪30%、水分35%の組成で、ほかにカルシウムやビタミンA、B2など、良いバランスをもった栄養食品で、すでに内外のビルダーにおなじみである。
熟成させるときに、いろいろの酵素やカビを作用させることにより、チューダー、ゴーダ、エダム、ブルー、カテージなど特徴あるチーズをつくることができる。外国では、ブルー・チーズこそ夜のスタミナをつけるといって紳士がご愛用になる。あのにおいや味もなれてくるとおいしいものだ。

<上手な食べ方>

まずスキムミルク。スプーンに6杯とり、少量の湯でといていく。砂糖をスプーンに2杯半加える。甘いものは筋肉のエネルギーを回復するのに、もっとも具合がいいからだ。
スキムミルクを牛乳にとかすと、濃いデラックス牛乳ができあがる。料理の材料に使うこともできる。たとえばカレーライス、シチュー、スープにドバドバ加えて、スタミナ料理をつくることができる。
バターは、パンやビスケット、クラッカーにつけてそのまま食べるほか、料理の味つけに使うと、グワンとおいしくなる。
チーズはビールや酒のよき伴りょ。また、タ食のおかずが、ちーと物足りないときにリリーフさせることができる。チーズ1箱(225g)のうち半分食べれば、406カロリー、タンパク質32gもとれることになる。ブルー・チーズはワインやウイスキーを飲みながら食べると、においが気にならない。あまり食べすぎると、鼻血ブーになるかもしれないからご注意。

<マーガリンは植物性>

マーガリンを最初につくったのは、フランスの化学者メージュ。いまから100年も前の1875年だ。
大豆・なたね・ピーナッツ・やしの実・綿の実などの植物油と、牛や豚、クジラの油をまぜて合成したマーガリンは、栄養が高く、しかも安いので、たちまち世界に広まった。
最初はにおいがひどく、腐りやすかったが、動物の油に水素を添加する技術が発明されて、いまでは味もにおいもバターとまったくかわらないものができる。そのうえ、植物油は血管のコレステロールをとる作用があり、いつまでも若々しい体を維持することができる。また、ビタミンAとDを加えた製品(強化マーガリン)もあり、その効果も大いに期待できる。
〝ネオチャッチャ、ネオチャッチャ〟〝やっばりラーマ〟〝マリーナじゃないでしょね〟とテレビのCMもさいきんははげしいようだ。(野沢秀雄)

今月のカバー・ビルダー

’71ミスター日本7位 佐藤大機
’70ミスター日本コンテストに初出場で9位入賞を遂げた佐藤選手は、"世界を狙える大型新人"と、関係者から絶賛を浴びた。
しかし、その後もう一つ伸びが見られず、’71ミスター日本コンテストでは、かろうじて決勝12名の中に残ったが、上位入賞を期待していたファンや関係者をがっかりさせた。
素質が抜きんでているだけに、いっそうの努力と研究により、大きく飛躍するのを望む声が強い。(撮影・平岡丈、カバー・デザイン・田中延之)
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