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なんでもQ&A お答えします 1972年12月号

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月刊ボディビルディング1972年12月号
掲載日:2018.05.17

へルス・フードの有効性は?

Q 本誌に連載されている有名ビルダーたちの「私の食事1週間」のなかで、ハイ・プロティンなどのへルス・フードを用いている人が多いのを知りました。
 欧米のビルダーの間では、日本人ビルダーとは比較にならないほど多く愛用していると聞きますが、本当でしょうか?へルス・フードにはどんな種類があり、それぞれどんな効果があるのか詳しく教えてください。
(長野県上田市・浜口泰雄)
A ひと口にへルス・フードといっても種類が多く、簡単には説明できません。

<1>へルス・フードとは
 へルス・フードとは日本語に訳せば健康食品ということで、広義には健康に寄与する食品すべてが含まれるわけです。たとえば、肥満防止、高血圧予防などの食品も入りますが、ボディビル界では各種のビタミン錠、ハイ・プロティン錠、または粉末、肝油、ホルモン剤など特定のものを指しているようです。

 日本のボディビル界の一部の人は「アメリカにはへルス・フードの会社が多いが、日本には数社しかない。これはアメリカ人がへルス・フードを多く用いている証拠だ」といっていますが、筆者はこの意見には賛成しかねます。

 確かにアメリカには400社以上のへルス・フード製造会社があります。しかしその主力製品がビタミン錠であることを見逃してはいけません。総合ビタミン錠・B1錠・B2錠・B12錠・C錠・E錠・F錠、それにAとDを中心にした肝油など、数えあげたらビタミン剤はキリがありません。

 日本ではどうかというと、これらは製薬会社の専売特許になっており、大中会社の数社が資本力と販売ルートを最大限に活用して、宣伝力の助けを借りて売りまくっています。


<2>ハイ・プロティンについて
 ビルダーにとって最も興味あるもので、しかも最も必要とされているのがハイ・プロティンです。

 ハイ・プロティンとは、高蛋白という意味で、錠剤あるいは粉末のものが多く、品質保全の問題から液体のものは少ないようです。

 蛋白質が多いといわれている豆類、魚類、肉類、タマゴなどの蛋白質含有率は、物によって差がありますが、大体7%~40%程度です。この蛋白質を抽出して濃縮したものがハイ・プロティンです。現在日本に入っているビルダー向けのものは、80%から90%の蛋白質含有率の製品が多いようです。

 値段と量の点から考えてみれば、それと同じ量の蛋白質を摂取するためには、肉、魚などを食べても相当多量に食べなければならず、値段もかなり高くつくでしょう。

 肉体を築きあげようとしているビルダー、とくにコンテスト・ビルダーにとっては、筋肉増加の主成分である蛋白質の摂取については、練習と同じように重視しなければいけないのだからハイ・プロティンの使用について真剣に考えてみる必要があるでしょう。

 事実アメリカのビルダーは、このハイ・プロティンを日本人よりはるかに多く愛用しています。一般に肉食で日本人よりはるかに多く蛋白質を食べているのに………。

 しかしこれは―今すぐにハイ・プロティンを使用しなさい―という意味ではありません。―栄養について深く考えてみなさい―という意味です。その結果、自分の食事には蛋白質が不足していると気がついたら蛋白質を増やしましょう、ということです。そして、蛋白食品としてハイ・プロテインを補助的に使うのも大いに結構。


<3>ホルモン剤について
 つい最近まで筆者は、本誌の原稿、あるいは直接質問された場合などに、あえてへルス・フードについて深く答えることを避けてきました。

 それは、ビルダー向けのへルス・フードについて深く説明すれば、ホルモン剤についても説明しなければならず日本のビルダーに必ず悪影響を与えると思ったからです。しかし、本誌3月号増刊「クリス・ディカーソンのすべて」発行以来その禁を破りました。

 その理由は、来日する外国一流ビルダーの数が急増し、日本からも外国に行く人たちが多くなったので、隠しきれなくなると感じたからです。それならば、いっそのこと本当のことをブチまけて誤りのないように指導するのが最善と考えを変えたからです。

 筆者は1969年にIFBBおよびNABBAの両ミスター・ユニバース・コンテストに出場し、世界の一流ビルダーに接し、ともにトレーニングし、いろいろと話し合った折に愕然としたことは、欧米のコンテスト・ボディビル界ではホルモン剤使用が周知の事実で当然となっていたことです。

 ホルモン剤とは蛋白同化ホルモン、アナポリック・ステロイドです。

 この蛋白同化ホルモンを使用すると筋肉発達が促進されるので、相当数の者が服用していることは知っていました。そして、副作用として骨の老化、肝臓の機能低下、性欲減少、コウ丸萎縮、性機能不全などのマイナス面があることも知っていました。そのため、筆者はどんなことがあってもホルモン剤の使用は厳禁と心に誓いをたてていました。たとえそれがアメリカと日本のビルダーの実力に差をつける最大の原因であったとしても。スポーツは体を鍛えるためにするものだから、どんなに筋肉発達に効果的だからといって体を悪くするようなものは使ってはいけない、と。

 それが、欧米のコンテスト・ビルダーの大多数がホルモン剤服用者と知ったときは失望もし、また日本にこの風潮を広めてはいけないと強く感じました。数年後にはドーピング(興奮剤使用)と同様に犠牲者が必ずでる。現在はまだ禁止していないが数年後には必ず使用禁止になるはずだ、と筆者なりの確信(希望的観測といったらよいか)があったからです。

 ちなみにドーピングでは、1960年代で100名を越える競技者が死んでいると新聞は報じています。現在ではもちろん、ドーピングは禁止されており、ミュンへン・オリンピックでも400m自由形で優勝したアメリカのデモン選手が、持病である喘息の薬の中に興奮剤が入っていたという理由で金メダルを剥奪されました。その他にもドーピングで失格した選手とチームがいくつかありました。
 ドーピングの副作用が早く判明し、厳しく禁止していれば、100名を越える有能なスポーツマンが死なずに済んだのです。死亡こそしなかったが、悪影響を受けた者がどれほど多数いたのか想像もつきません。

 ホルモン剤使用もドーピングと同様ですが、具合が悪いことには、ドーピングと違って服用を中止しても副作用が後年まで継続し、ひどい場合には一生治らないものがあることです。興奮剤はホルモン剤に較べて一時的な副作用が多いものです。

 ミュンへン・オリンピックでもホルモン剤使用禁止を唱える者が多かったようですが、チェック方法などに難点があり、ついに今年は実現しませんでした。ビルダーに限らずスポーツマンはすべて、ホルモン剤を使用しないよう自発的に注意すべきです。

 アメリカのビルダーは、かなり以前からホルモン剤を服用していたので、その副作用も知っていました。そのため、コンテスト前の2〜3カ月間に限って使用し、その他は一切用いない、と自制する人も多くいると見受けました。日本ではホルモン剤のなじみが薄いためそれが判らず、服用しはじめたらずうーっと継続するでしょうから、副作用も累進します。

<4>ヘルス・フードに対す一般的認識
 筆者は、ホルモン剤を除けば、いわゆるビルダー向けのへルス・フードのなかで、人体に害になるものは無いと考えます。ただし、油溶性で遅効性のビタミンA、Dは人体に蓄積するので極端な大量服用は害があるといわれています。

 水溶性で速効性のビタミンB、Cなどについてはその心配が少ないようですが、薬の大量投与などによる薬禍が問題になっている時勢でもあり、必要以上に摂取することは避けたいものです。

 だが、一生懸命トレーニングしているのに、練習効果を具現化する栄養が少なかったために発達が遅れた、などの馬鹿らしいことがないように十分気をつけたいものです。

 話は戻りますが、蛋白質含有量の豊富なハイ・プロティン錠などを、補助的に用いるのは合理的とも考えられます。15年〜20年以前の日本では考えてもみなかった、低カロリー・高蛋白時代が最近になって到来したようです。昔はカロリーが高いものを、栄養があるなどといっていたのが大変な異なりようです。健康と美容の両面から、肥満しないよう低カロリー食品を望む声が次第に強まってきたようです。

 蛋白質を多く摂取しようとするあまり、余計な他のカロリーを同時に体内に詰め込んで肥満するより、自然の食品では求め難い80%〜90%の蛋白質含有量のハイ・プロティン錠を用いて、欲しいと思っている蛋白質のみを補給するのは、何とも合理的ではないでしょうか。

 いずれにしても、へルス・フードのみに頼り日常の食事をなおざりにしない限り、補助的にハイ・プロティンを用いることは、適量の範囲内であれば害は一切ないはずです。

 しかし栄養分は、現在栄養学的に解明されているもの以外にも、まだまだ底知れぬほど未知の栄養素があるとも信じています。自然の食品にはそれがすべて備わっています。合成した食品ではそれができません。あくまでもへルス・フードは、それに頼りきらずにあくまでも補助的に使用することをお勧めします。

スーパー・セッツの利点は?

Q 本誌に掲載されている有名選手のトレーニング法をみると、スーパー・セッツを採用している人が多いようです。多くのコンテスト・ビルダーが行なっているということは、それだけ効果的と考えますが、どんな利点があるのでしょうか?またマイナス面はないのでしょうか?

 私はボディビルの練習を開始してからちょうど1年のキャリアです。スーパー・セッツを試みたいと思いますがまだ早いでしょうか?もし早くなければスーパー・セッツの具体的な練習方法を教えてください。(K・T)
A たしかにコンテスト・ビルダーにはスーパー・セッツを愛用する者が多いようです。筆者も現役時代にはこの方法の愛用者でした。あなたがいわれるように、有名選手の多くが行なっているのは、それだけ効果的だからです。しかし、この効果的とは、筋肉発達の面のみをさして表現したもので、健康管理や体力増進を目標とした一般練習者にとっても同様に効果的といったものではありません。

 スーパー・セッツは、筋肉発達を最大の目的とする練習方法ですから、一般の練習者にとってはあまり縁のないものです。また筋肉に対して過酷な刺激を与えるものですから、この面からいっても一般練習者には耐え難い方法といえましょう。しかし、あなたがご心配になっているマイナス面ということが、副作用という意味ならば、その心配は無用です。

 ちょうど1年のキャリアとのことですが、あなたがコンテストを目標に練習していると仮定するならば、スーパー・セッツを採用するのに早過ぎはしないでしょう。10〜15年ほど前だったら「スーパー・セッツなど専門的練習をするのは2〜3年経験してから、1年の経験ではまだ早い」といったでしようが、最近ではそんな悠長なことはいっていられません。素質のある者なら4〜5年で一応の体ができあがる時代ですから。

 次にスーパー・セッツの具体的な練習方法を述べます。

 スーパー・セッツとは、異なる2種目を組み合わせ、1種目を1セット行なったら、休まずに次の種目を続けて行い、2種目を完了したところで休憩するというものです。これにより筋肉に対する刺激を増大させ、併せてパンプ・アップを促進させるのを目的とします。副次的に練習時間を短縮させる便利さもあります。


① 異なった筋群の2種目を組み合わせる方法。
記事画像1
 この方法では、スーパー・セッツのの効果はなく、体を冷やさずに、時間を短縮しているにすぎない。したがって、これをスーパーセッツとは呼び難い。


② 同一の筋群の種目だが、少し異なった運動と刺激を与える2種目を組み合わせる方法。
記事画像2
 この方法は、スーパー・セッツのいくつものやり方のうち、最も自然で一般的。


③ 同一の筋群の種目だが、異なった働きをする筋肉の種目を2つ組み合わせる方法。
記事画像3
 上記の3例はそれぞれ、上腕部を上腕二等筋と上腕三等筋、大腿部を大腿四等筋と大腿二等筋、腹部を腹直筋と外腹斜筋と細分化して考えれば、同一の筋群ではないが、一般的には同一の筋群とみなしてよい。

 これも前項の②と同様に自然で一般的。


④ 同一の筋群の種目で、しかも同様の運動と刺激を与える2種目を組み合わせる方法。
記事画像4
 これらの方法は、前記②③と較べるとキツイが、特定の筋肉部位に与える刺激は強く、最近では愛用者も多い。


⑤ 全身の筋群をスーパー・セッツで行う方法。
記事画像5
 これらは、スーパー・セッツとしては特別に何の説明も必要とせず、全身の各筋群にそれを採用しただけのこと。


⑥ 一部の筋群をスーパー・セッツで行う方法
記事画像6
 この方法は、あなたのように始めてスーパー・セッツを試みる人には最適と考えます。いきなり全身をスーパー・セッツで行なったのでは急に疲労すると思われるので、一段階のクッション的役割を与えるのに効果的です。ベテランでも全身ではなく、狙いとした筋群にのみスーパー・セッツを採用するのもよいスケジュールです。

 以上①〜⑥に分けて説明しましたが、スーパー・セッツそのものについては②〜④だけを理解していればオーケーです。他は各人の工夫によって変化をつけられます。

練習前の食事は?

Q 練習の直前と直後に食事をとると体に悪いと聞きましたが、どうしてでしょうか?私は5時に会社が終わってからすぐに夕食をして、6時頃からトレーニングしていますが害があるでしょうか?夕食をせずに練習をすると、お腹がへってたまりません。もし、いけないものなら、適切なアドバイスをしてください。(岡山市·横山孝春)
A 練習直後に食事をするといっても、通常はシャワーを浴び、衣服を着がえてからのことでしょうから、30分くらいの時間的経過があるので、あまり神経質になる必要はありません。しかし、練習の直前に食事をするのはちょっと問題です。なぜならば、食事をすると消化器管へエネルギーを補給するため、血液が胃腸の周辺に多く集まります。そこで、すぐに運動したのでは各部筋肉に血液が多く動員されるので、必然的に消化器周辺の血液が必要量より少なくなります。その結果、消化不良となるわけです。

 人間の体はよくできているから、運動している筋肉と消化器周辺の両方とも、必要なだけの血液が確保されるのではないか、との質問を以前にうけたことがあります。しかし、人間の体の中の血液量は一定です。極めて長期的な展望に立つなら、血液が少なくなれば、それを補うべく増血作用が働き血液量は増加します。だがこれは、30分~1時間単位の短時間では行われません。一定量の血液が、必要とされている部分に多く動員されて、あまり必要とされていない部分には少なくなるのが人体のメカニズムです。

 あなたの場合は、5時に会社が終わってすぐに夕食をとり、6時頃から練習とのことですが、できることならあと30分〜1時間は休憩したいところです。退社後すぐに食事といっても、レストランに行き、注文して食べ終わるまでには早くても5時半にはなるでしょうから………。

 しかし、時間的理由などによりその方法がとれないときには、菓子パン、ケーキ、サンドイッチなど、腹にもたれないものを極く少量だけとることをお勧めします。

 空腹になると、練習するどころか、ものを考えるのも億却になるという人がいます。いくら生理的に理想から遠ざかろうと、食べなければ動けないという人にそれを無理じいするのは適当ではありません。

 5時になると空腹を覚えるということは、習慣によるものです。もちろん食欲をまったくゼロにすることは難しいでしょうが、食事時間を2〜3時間遅らせることは訓練しだいで案外簡単なものです。

 あなたも最初の1週間〜半月ぐらいの間、馴れるまではいくらか苦しいでしょうが、訓練によって食事時間を数時間遅らせる努力をなさってはいかがでしょうか。

セット・システムでなければならないか?

Q 私は自宅で約2年間練習しています。最近になって近所の人が運動不足を解消し体力を増進するために一緒に練習するようになりました。

 そこで、基本的な種目を8種目ほど教えて各3セットずつやらせていますが、その人は、セット・システムで同じ種目を3セット続けると疲れるといい、各種目を1セットずつ行い、それを3周しています。

 この方法で効果があるものでしょうか?本人はこの方が体の調子がよいといっています。(目黒区・河村浩)
A 同一の種目を小休止をはさみながら何セットも行うセット・システムではなく、各種目につき1セットで次の種目に移行し練習量を増やす場合にはそのサイクルを増やし、何周もするという方法はシークェンス・トレーニングの一方法ともいえます。この方法でも効果があるのかとのご質問と考えますが、ご心配はまったく無用、十分な効果があります。

 数年前までの感覚からすると、1セットずつで次の種目に移るというのはなにかチャランポランのように感じられました。また、パンプ・アップの状態になって初めて効果があらわれるように思われていました。そして、ウェイト・トレーニングの研究が昔日とは隔絶といえるほどの1972年代になっても、コンテスト・ビルダーにとってはまだセット・システムによる練習が効果的といわれています。

 しかしこれは、あくまでもコンテスト・ビルダーを対象とした意見であり健康管理、体力増進を目的とする練習者には当てはまりません。ましてや、初心者にとってセット・システムのみが効果的とはさらさら考えません。むしろ、あなたが教えている人がいうように、セット・システムより1セットずつ他種目に移行する巡回方式の練習の方が、初心者にとって、また一般の練習者にとっては、より効果的な方法だといえましょう。

 その理由は大きく分けて次の3つがあげられます。

(1) 最近の練習者、とくに健康管理、体力増進を目的とする練習者にとっては、筋肉肥大がそれほど大きな目的ではない。セット・システムは筋肉肥大には効果的だが、体力増進の方法としては最善とはいい難い。

(2) 1セット行い、2〜3分休憩してからまた次のセットを行うという断続的な練習は、体力増進を目的とする者にとって効果的とはいい難い。セット・システムの狙いは、前述のように筋肉のみを対象としている。一般人にとっては、筋肉を鍛えると同時に内臓諸器管、とくに呼吸器系統、循環器系統を鍛えることがぜひとも必要とされる。

(3) 同一の種目、あるいは同一の筋群に対して何セットか運動を繰り返すということは、単に刺激の大きさを増加さすことです。初心者、あるいは一般の練習者にとって、それほど刺激を強める必要があるのだろうか………?

 むしろ、刺激は急激に強くしないようにして徐々に筋肉を馴らし、同時に呼吸器、循環器系統の強化を図る方が得策ではなかろうか………?そうでなくともウェイト・トレーニングは刺激が強くなりがちで、筋肉に対する運動効果は抜群なのだからその他、いろいろとセット・システムに勝る点があります。しかし、誤解してほしくないのは、セット・システムが悪い方法で、巡回方式がよい方法と決めつけているのではないということです。どの練習方法にも長所と短所があります。

 要は、その人の目的、体力、経験それに生活環境などに適応したトレーニング法を選択するということです。他人の練習方法を猿マネしてはいけません。練習方法に人をあわせるのではなく、各人に練習方法をあてはめることです。
(解答はJBBA事務局長、'68ミスター日本 吉田 実)
月刊ボディビルディング1972年12月号

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