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JBBAボディビル・テキスト㉒
指導者のためのからだづくりの科学
各論(解剖学的事項)―感覚1

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月刊ボディビルディング1975年5月号
掲載日:2018.04.05
日本ボディビル協会指導員審查全委員長 佐野誠之

1 はじめに

 運動は刺激に対する生体の反応として表出されるもので、刺激を受容する過程がなければ運動の表出はあり得ない。
 運動の受容過程は、環境の変化が、受容器で刺激として受けとられ、インパルスに変換されて、この信号が中枢神経にいたり、そこで適応した運動の型が決められる。この受容過程に関係する器官として感覚器と知覚神経とがある。(テキスト18参考図D‐1参照)
 知覚神経系とは、知覚性インパルスを求心性に伝える知覚神経線維と、インパルスを中間的に受けとり、感情または情緒のレベルで印象する視床、そこから投射されて感覚としてより高い意識水準を生み出す大脳皮質知覚領とから構成される。
 視床が感情や情緒の中枢と目されるのは、情動的あるいは本能的な行動の座とされる大脳辺縁系との間に複雑な回路を形成しながら、あらゆる知覚性インパレスを集め、大脳皮質に送っている集配センタ‐の役目をしているからである。
 すなわち、運動の受容過程の神経機構を要約すれば、①末梢の知覚受容器一②知覚神経線維一③第一次中枢(視床)一④大脳皮質知覚中枢の四つの要素がある。
 この項では、視覚、聴覚、味覚、臭覚、平衡覚、温度覚(温覚、冷覚)、痛覚、触覚、圧覚の皮膚感覚、および深部感覚等について、前の4つの要素より見た知覚系列を知り、行動(運動)とどの様な関連があるかを知る事である。
 受容器(感覚器官)について言えばその種類と精度は動物によって違うが人体には多くの高等哺乳類と同様、各種の受容器が分化発達し、これに対応してそれぞれの感覚の中枢が分化発達している。
 受容器としては、光、音、嗅、味、接触、圧力、温度、重力等の体外から来る刺激を受容する視覚器、平衡聴覚器、嗅覚器、味覚器、外皮の五種の外受容器に区別される「いわゆる五感」と、飢餓感、渴感、性感、尿意、便意や、最も一般的な疲労感、睡眠感等の感覚にかかわって体内に発生する刺激すなわち深部知覚を受容する「内受容器」(内臓受容器)の他に、筋や腱及び関節の運動自体から発せられる刺激を受容する自己受容器等がある。
 筋紡鐘や腱器官は自己受容器でありそれらは運動の状況を認知し、またチェックする。すなわち運動の調節制御において、筋または腱からの求心性インパレスが、内的手がかりとして重要なものであり、また、目、耳、前庭迷路(平衡器)、体表、とくに足底等からの求心性インパルスは外的な手がかりとして共に重要なものである。
 要するに、外界の刺激や身体内部の状態を認知する働きを解剖生理学的に感覚と呼び、感覚の強さや質の区別、時間的経過等の、より高度な認知を行う場合を知覚と呼ぶ。
 これらの感覚を司さどる器官を感覚器と言い、それは刺激を受けとる受容器と、それからのインパルスを中枢部に送る伝導路である知覚神経と、インパルスを受けて認知する奏効器である大脳皮質とから構成されることはもちろんであるが、知覚神経や大脳皮質は神経系で述べられ、感覚器としては、その受容器について述べられているのが普通である。
 故に、感覚器とは身体の内外の刺激を感受する働きをする知覚神経系の終末装置と考えてよい。
 その絡末装置の大きく独立した器官として、視覚器と平衡聴覚器があり、呼吸器系にある鼻腔に同居している嗅覚器、消化器系の舌に同居している味覚器、外皮系の皮膚に分布している皮膚知覚器、深部知覚を司どる各種器官がある。

2 感覚の種類

 人間は知的動物であると言われる一方、感情の動物とも言われているが、その感情をおこすもとは感覚である。
 感覚は形態上、または機能上いろいろに分けられているが、本項では次のような分け方に従う。
①特殊感覚――頭部に受容器があり、脳神経によって中枢に送られるもので視覚、聴覚、味覚、嗅覚、ならびに平衡覚である。
②体性感覚一体性神経によって伝えられるもので、皮膚感覚と深部感覚とに分けられる。
 ⓐ皮膚感覚はさらに触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚等に分けられる。
 ⓑ深部感覚は筋、腱、関節の機能に関係する感覚、および位置感覚、運動知覚、抵抗知覚、重量知覚、深部痛覚、深部圧覚、等である。
③内臓感覚一体液や内臓その他植物性器官の機能に伴って感じる感覚で、内臓痛覚と臓器感覚(飽食感、飢餓感、渴感、便意、尿意、脱力感、酸素欠乏感等)である。
 深部知覚の終末装置からは意識にのぼる知覚が起こるだけでなく、重要な反射が起こるものである。
 以上のように感覚にはその刺激が外界にあるもの(外感覚)と、身体内にあるもの(内感覚)とに分けられ、感覚器も外受容器と内受容器、および自己受容器に分けられている。自己受容器とは、その器官の働きにより引き起こされた感覚がその器官に局在しているものである。(テキスト⑱⑲参考図D‐5、D‐17参照)
 また、感覚には、類と質の区別がある。赤、黄、紫、黒等の色の差別は光線と言う同質の刺激によって引き起こされるもので、ただ波長が相違することだけでこの間には移行が認められる。この様なものを同類の感覚と言う。これに対して異なった感覚器から生ずるもの、例えば、音と光の様に一般に移行が認められないものを異種感覚と言う。

3 適応刺激と刺激閾

 感覚器にはそれぞれ適した特定の刺激がある。たとえば視覚に対して光、聴覚に対して音、嗅覚に対しては気体等で、この刺激をその感覚器の適応刺激と呼ぶ。
 ここで注意しなければならないのは温かいとか冷たいと言う感覚は、温度感覚として一見移行しているように見えるが、温覚、冷覚は感覚器が異なるので異種の感覚であり、さらに質が異なっているものであると言われている。
 適応刺激も、一定以上の強さがなければ弱い刺激として受容器を働かさない。この限界を閾値★イキチ★と言うが、各感覚器は適応刺激に対して、とくに低い閾値で興奮を示す。この事を特異興奮性と呼ぶ。他種の刺激に対して興奮する事があるが、この場合には刺激の閾値はかなり高いものである。この場合の刺激は不適応刺激と呼ばれる(たとえば、強度の衛撃を顔面に受けると目から火花が出たように感じるものを云う)
 また、加わった刺激を誤って知覚する事があり、これを錯覚と言う。なお、刺激が何ら加わらないのに知覚を生ずる事もある。これを幻覚と言うが正常な者でも時には錯覚をおこす事がある。
 感覚神経については「エドリアンの法則」と言うのがあり、これは受容器で受けとる刺激が強い時には、神経のうちをつたえる興奮の数が多いと言う事で、一本の線維でありながらいろいろの強さを伝える事が出来る。故に刺激が強くなると感覚の強さに差が出てくるが、識別出来る差を生ぜしめるための最少の刺激差を区別閾(弁別閾、または識別閾)と言う。

4 感覚刺激を受けとめる細胞

 刺激を受けてこれを感じる仕かけが眼では網膜、耳では膜迷路の蝶旋器、鼻ではその粘膜の奥の部分、舌では味蕾であるが、網膜の中にあるすべての細胞が光りを感じる能力を持っているのではなく、視細胞と呼ばれるもので組織されている部分であり、耳の蝶施器にあっては音波を感じる細胞は聴細胞であり、鼻の粘膜の中にあって嗅いを感じるのは嗅細胞であり、舌の粘膜にあって味を感じる仕かけは、米粒のような形をした味蕾と呼ばれる器官内にある味細胞である。
 いずれも形を異にするが、細長い形をした細胞であり、この様な細胞を一括して感覚上皮(又は感覚上皮細胞)と呼んでいる。
 網膜――脳の一部で、その起源から見ると神経管が将来、間脳になるべき部位の脳室の壁が前方にふくれだし、眼胞をつくり、これが成長して皮膚のすぐ下まで届く様になると、眼胞の皮膚に接する部分がへこんで眼杯と呼ばれる細胞が2重の壁をもった盃の様な形になる。この盃状のものの内面が網膜になり、その回りに複雑な器官が形成されている。
 また、内耳の膜迷路は、脳をつつむ頭部皮膚の一部、すなわち、将来延髄になるべき脳の部分の外側にあたる位置の皮膚が、内部にくぼみ、次第に深くなって出来たもので、眼胞が脳からふくれ出た袋であるのに対し、耳胞の方は体表が直接に凹んだ袋である。
 複雑な変形の経過をたどって出来たもので、内耳の感覚上皮細胞も元は体表の細胞だったものである。
 この様に考察すると、視、聴、嗅、味の各感覚にあずかる細胞は、すべてがもともとは体の表面にあった上皮に由来している事が分る。
 外界からの刺激と言うものは、先づ体表で体に到達するものであるから、体表に外界からの刺激を受けとる性質が生じてくる事は至極もっともで、自然な事である。すなわち、ここに感覚上皮の生ずる事は当然であろう。
 動物が高級になるにつれ、外界からの刺激を感受する働きも自然と高級複雑に、また敏感になり、その受容器の構造も下級動物よりも複雑微妙になってくる。その結果、複雑微妙になるほどこわれ易くなるので、これを大切に保護する必要を生じ、体表にあるよりも、内部にしまいこんだ方が安全と言うわけで、体表から少し深部へと移させる事になったのであろう。深部へうつったために、外界からの刺激が到達しにくくなっては逆効果で、意味がなくなるのでその様な事のない様に外表からの通路をちゃんと確保してある。
 視覚の場合は、光は瞳孔を通って眼球内部の網膜へ、音波は耳の孔を通って鼓膜から耳小骨を伝わって内耳へそれぞれ到達、または伝達される様になっている。以上、感覚刺激を感受する細胞が上皮性の組織に属するものである事をのべた。

5 感覚上皮と脳との連絡

 感覚刺激が感覚上皮で受容されてもそれが脳に伝えられないと感覚はおこらない。受けとる―→伝える―→感じると言う感覚の基本法則にも各感覚により各々特徴がある。
 この感覚細胞と脳の神経細胞との連絡についてのべる。
 第一の型は、感覚細胞自身の原形質が長くのびて一種の線維となり、脳まで届いて、そこで一定部位の神経細胞に連接する形式で、嗅上皮の感覚細胞(嗅細胞)の場合がこれに当る。
 嗅細胞の原形質突起の束が、いわゆる嗅神経(第一脳神経)であり、大脳の一部である嗅球と呼ばれる部分に入っている。嗅覚は物質が身体に接触する事によって起こる感覚のうち、化学感覚とも言われるものである。
 第二の型は、先の形式とは逆に神経細胞の方から線維がのびて感覚上皮と連絡する型で、眼、耳、味の場合がこの形式である。
ⓐ網膜の場合――視細胞は網膜の層のうち、一番外側にあり、その内側に神経細胞や神経膠細胞が重なりあって出来ているので、網膜はかなりの厚さをもっているが、そのうち視細胞の近くにいる神経細胞は、神経線維を視細胞に連接し、いま一つの神経線維を内側にのばして、次の神経細胞に直接この神経細胞がのびて眼球の後側の一点に集り、揃って眼球の外へ出たものが視神経である。すなわち、網膜の一番内側にある神経細胞からの神経線維の集った束が視神経で、視床後方にある核の神経細胞に連接している。この核から出る神経線維が大脳皮質の視覚中枢に達している。
ⓑ聴覚・平衡覚の場合――膜迷路の感覚上皮は、その近くの骨の中に埋もれている神経節の神経細胞からの神経線維が連接しており、この神経細胞の神経線維の束が、内耳神経(第8脳神経)で、これは延髄に入り、そこの神経細胞に連接している。
ⓒ味蕾の場合――この細胞へ神経系線維を連持しているのは、顔面神経(第7脳神経)と舌咽神経(第9脳神経)の中に含まれている味覚神経で、第7第9脳神経の所属する神経節に入っている。
 甘味、酸味、苦味、塩味の4つの要素をそれぞれ受けとる味蕾があり、一つの味蕾が全部を感じとるものではない。また、その適応刺激は水に溶けるものか、あるいは溶けなくてもイオンとなるものである。
 以上の感覚では、すべて上皮細胞で先づ感受され、これが神経線維をつたわって脳に伝達されるものである。
 しかし、これと違って、神経線維そのものによって直接感受される刺激がある。皮膚知覚と深部知覚とである。

6 神経の末端で直接感受される刺激

 皮膚にさわると、さわった事が分りさわったものが堅いとか柔かいとか、熱いとか冷たいとか、または痛い等を感じるが、皮膚は全身をおおっているので、その皮膚感覚は全身共通である。
 すなわち、皮膚とか粘膜とかに来ている知覚神経の末端が、いろいろの刺激を受けるもので、神経細胞の末端がそのまま裸で皮膚や粘膜の組織内に存在する場合と、末端が結合組織の特殊な鞘でつつまれて、特別な形やしかけになっている場合とがある。先の場合を自由終末、または自由末端と呼び、後者の場合を末端装置と呼ぶ。この末端装置にはいくつかの種類があり、それぞれ固有の名称がつけられている。
 触覚・圧覚・痛覚・温覚・冷覚の基本型が区別され、それぞれ感覚別に受容装置がある。
 その大要は次のとおりである。
①神経の自由終末――神経線維が皮膚や粘膜の上皮下、または上皮内にあって、特別の装置につつまれる事なく、無髄神経線維がいくつかの細い枝に分れて網、または叢をなし、あるいは単独の分岐終末をなしているもの。すなわち、その尖端の糸がプッツリと切れた様にそのまま皮膚や粘膜その他の組織の中に終っているものである。この様な自由終末は、痛覚を受けもっている。
②各種の末端装置――神経線維の末端が結合組織から出来ている特殊な鞘(カプセル)で包まれている装置で、この鞘の構造にもいろいろある。
 ⓐ温覚受容器――ルフィニ‐小体と呼ばれる紡錐形の構造で、その中で無髄神経線維が、反復分岐して終末網を形成している。
 体温の配分を行う血管の近く、体表のやや深い所にある。皮膚面1平方cmに1~2個ある。
 ⓑ冷覚受容器――クラウゼ小体と呼ばれ、球形または楕円形をした構造で、その中で、無髄神経線維が分岐して糸球を形成している。体表面近くに(皮下に比較的浅く)位置しており、1平方cmの皮膚面に13~15個ある。
 ⓒ触覚受容器――触覚小体と言われ*るが、皮膚の有毛部では、毛根部を取り巻いて存在する毛包神経網がよく発達しており、無毛部では、マイスネル小体、メルケル小体、ゴルジ・マツオニー小体と呼ばれる受容装置がある。
 ふつう触覚は、短い一時的な刺激に応じて起こるもので、触れている時間が極端に短かすぎると感じない。また、一様に永くふれていても、なれて感じなくなってしまう。皮膚面には1平方cmに6~28個の触覚小体がある。
ⓓ圧覚受容器(層板小体)――ファーターバチニ小体と呼ばれるもので、小さい米粒の様な感じのする情円状のもので、軸索・内棍・被膜からなり、被膜は同心円状に重なる多数の層板(玉葱の様に幾枚もの皮をかぶった形)からなっているので、層板小体とも呼ばれる。この末端装置は圧、すなわちおされる感じを受取るものであるが、皮膚の表面の形が変えられた時だけ、持続性な感じとして感じられる。手や足の指の腹の皮下組織の中に沢山見られる。また、腸間膜やその他の内臓に見られるのは、腸腔内への外部からの圧迫を感受し、これら器官を防衛するために必要な筋肉の緊張等を反射的にひきおこさすためであると考えられている。また、血管に沿ってあるのは、血圧を感知するためであろう。ただし、これらは意識にはのぼらないものである。

7 深部知覚

 深部感覚とは、深部にある感覚受容器で受けられる感覚で、これには深部感覚と臓器感覚の2つがある。
 筋・腱・靭帯・骨膜・腸間膜・皮下組織等に、バチニー小体、筋紡錘、ゴルチ・マツオニー小体や自由終末等があって、その部分の張力・圧力等が適応刺激となっている。
①深部痛覚――筋や奨膜等の体性神経で伝えられる頓痛で、圧迫、激動運、血流障害等によって起こり、代謝物質の蓄積が原因であると言われている。
②運動感覚――筋紡錘や腱紡錘によって筋の緊張状態がわかり、相対的位置・運動・抵抗・重量の感覚が知覚される一方、各種の姿勢や運動に関する反射は、迷路と深部感覚の求心性インパルスによって起こるものである。
 すなわち、われわれが視覚によらなくても、四肢の自動的、または他動的運動の方向位置、程度等を知る事が出来る感覚で、筋・腱および関節から発する運動に関する感覚、位置感等の総称が深部感覚の内の運動感覚である。
 その中枢との伝導路も、㋑長後索路 ㋺後脊髄小脳路 ㋩前脊髄小脳路等で深部知覚と言われるものは、もともと無意識的なもので、小脳を最高中枢としてすぐそこから身体の姿勢を保持する反射が与えられるものであると考えられるが、この場合、小脳は感覚の中枢ではなく、運動調律、微細調整の中枢として働いているものである事を認識すべきである。
 運動感覚をいま少し分けて考えると
 ⓐ位置感覚――内耳の平衡知覚による事なく、身体の位置(姿勢)を認知する事が出来る感覚で、たとえば腕を水平にあげた時、自分の眼でそのあげた腕を確かめないでも、自分の腕が水平にあがっている事がわかる様な感覚。
 ⓑ運動感覚――休肢の空間的位置(姿勢)の変化を認知する時の感覚で、たとえば腕を上下、または前後等に振る運動を行う場合、自分の眼で腕の動きを見ないでも腕がどの様に振れているかがわかる。この様な感覚である。
 ただし頭の位置の空間的な位置の変化(変動)は、この運動感覚のほかに平衡知覚が関与している。
 ⓒ重量感覚――物を持ち上げたり、支える時、その動きを感じる感覚である。
 ⓓ抵抗感覚一何か動作を行う時、動作に関係する諸組織における張力、圧力の分布により、動作に対する抵抗の存在とその大小が認知されるが、俗に言う「手ごたえ」があると感じられる場合の感覚である。
 ⓔ逆説的抵抗感覚――おもりを紐でつり下げ、この紐を拇指と人差指とでつまんでたらした場合、重量知覚が起こるのは当然であるが、この場合、支持者にわからない様におもりを下から支えると(すなわち、支持者の指にかかる重量を減らすと)、支持者は、下からつき上げられた様に感じるが、この様な感覚が逆説的抵抗感覚である。
 動作中の手ごたえが急に変化した場合、不随意的にこれに応ずる筋力の変化が起こるのは以上の様な深部知覚からくる自己反射(自家反射、または直接反射とも言う)の効果である。
③内臓感覚――体液や内臓の機能に伴って感じられる感覚で、①尿意 ②便意 ③渇意 ④飢餓感 ⑤飽食感 ⑥脱力感 ⑦酸素欠乏感 ⑧内臓圧覚 ⑨内臓痛覚 ⑩吐気 ⑪性感等がある。
 深部知覚路と平衡路は次の様な共通性を有している。
 ①2個のニューロンで小脳皮質に達している。
 ②小脳に達するまで途中交又しない
 ③小脳からの遠心性神経は大部分直接的な反射路に結合する。
 以上の様な原則に基づいて構成されている深部知覚路と平衡覚路は、深部知覚型の伝導路と呼ばれている。
 以上、諸種の感覚について概論的に述べた。
月刊ボディビルディング1975年5月号

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