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●1975ミスター日本コンテスト展望●
須藤の連続制覇なるか? 石神の健闘如何が力ギ

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月刊ボディビルディング1975年11月号
掲載日:2018.07.26
日本ボディビル協会 審査委員会委員長 佐野 匡宣
第21代日本一を決定する「'75ミスター日本コンテスト」は、来る11月24日東京神田共立講堂で行われるが、本年一連の府県大会、地区大会等がほとんど終り、出場選手諸君はいよいよ最後の追込み調整に努力を傾注している事であろう。
本日まで、直接自分の目で確め、また手元に寄せられた資料等より、私の見聞の範囲内において推測展望して見よう。

◆再び須藤・石神の激突か◆

選抜戦において昨年上位の各選手はお互いに好敵手の状況を認識し、長所短所を比較検討のうえ各自、大会までの約100日間の練習計画をたて、有効適切に頑張っていることだろう。その出来如何が勝負の分れ目であるが、まず、今回の予想をズベリ言うならば、再び須藤・石神両選手の決戦になる事は間違いあるまい。

NABBAユニバースクラス優勝の余勢をかって連続制覇を狙う須藤選手と、昨年の雪辱を期し、念願の優勝を狙う石神選手とのメイエベントにからみ、虎視眈眈の奥田・榎本両選手が、その間隙をぬって、どこまで追撃の成果を現わすかが、本年最大のみどころであろう。

本稿の載ったボディビル誌が読者の皆さんに届く頃は、大会迄あと3週間あまりの時期で、本予想において一部選手にきびしく感じられる面もあるかも知れないが、参考として最後の調整に努力してもらいたい。また、観戦される方々は、単なる自己のファン意識だけでなく、審査員になったつもりで冷静な目で観戦のポイントにしていただきたい。このような積み重ねが、選手の質的な内容の向上にもつながり、コンテストをスポーツとして認識していただけるみちにつながるものと考え筆をとっている。

ではここで、上位入賞が予想される選手たち個々についていま少し詳しく前記4選手を見てみよう。

◆優勝を狙う選手たち◆

須藤孝三選手ーー
昨年より重量感が出て、上体と下体とのアンバランスがなくなり、安定感が増した事は大きな強みであり、一番優勝を狙い易い優位な選手である。しかし、上体の切れ味は昨年ほどの凄みがなく、安定感は増したが、迫力は昨年より劣るように思われる。大きく伸びる時は他を犠牲にしても出来るだけ大きく伸ばしてもらいたい。変にあれこれと狙って小さくまとまってもらいたくない。
このような意味で、年令的に見てもまだ可能性の大きい時期で、日本ボディビル界の大型選手のホープとして、今後世界の舞台で大いに頑張ってもらうためにも、ここしばらくが一番大切な時期であろう。昨年は抜群の迫力あるポーズ運びで優勝したが、バックについては、肩・腕だけを見せるポーズではなく、もっと大胆に充分見せるよう、またそれに堪え得るように鍛えこんでもらいたい。

石神日出喜選手一ー
いつも優勝候補に上がりながら、過去3回優勝を逸しており、今年こそはと意慾をもやしている事であろう。どこと言って欠点のない筋肉発達と、切れ味の良さをもった、非常にバランスの良い最も典型的なショートマン・クラスのトップ・ビルダーである。20代後半より年々成長を示しいまだ衰えず、過去5年、いつも優勝を狙う座で頑張っている事は実に立派である。
各部を比較して見ても、歴代チャンピオンに勝るとも劣らぬ内容を持ちながら、ポージングにおける表現のまずさで、栄冠に見はなされていることは惜しい。
今までのポーズ運びは既に見飽きられ、必要以上に損をしている事を今回の選抜戦で感じたことであろう。杉田・須藤両チャンピオンに負けたのは、フリー・ポーズに於ける表現力の差で、内容的にはなんら劣っておらず、むしろ良かったはずである。
体の比較審査においては現在でも第一であろう。あとはいかにフリー・ポーズを演じ、見訓れられたマイナス的ハンディを打破し審査員の心を打つかが最大のポイントである。
以上の理由で須藤選手とともに本年度優勝候補の一番手にあげたい。

奥田孝美選手ーー
ここ1〜2年の成長はすばらしく、筋量・筋質ともに抜群の素質をもっている未完の大器である。さらに胸のバルク不足と脚の切れ味不足がなくなれば一段と凄みを増す事であろう。ポーズ運びは未だ充分ではなく下手である。しかし、まだ若いのだから、あせらず変にまとまらず未完の大器としてのびのびと成長してもらいたい。今年度の優勝を狙うダークホースである。

榎本正司選手一ー
昨年は減量に徹しイメージ・チェンヂに成功、日本人には珍らしいプロポーションを作り上げ、一躍上位に躍進したが、その印象が強烈すぎて、本年は最大の難関であろう。
選抜戦ではさして成長が認められなかったが、大会までの爾後100日あまりの成果如何が表彰台に登るかどうかのポイントで、前記3選手へいかに肉迫するか見ものである。

◆優勝を占う観戦ポイントは◆

以上4選手を比較して見ると、まだ成長途上で、未完の大器としての須藤・奥田、完成された感じの石神・榎本、と大別出来るようだ。
バックでは石神・奥田・榎本・須藤の順で、断然石神が光っている。

腕では、太さでは奥田、肘を屈した型では石神、肘を伸ばした型での三頭筋では須藤、とそれぞれ特徴があり、甲乙つけ難いが、筋量、切れ味等バランスの上では、石神・奥田・須藤・榎本の順と見る。
胸では、筋量では須藤・石神・榎本・奥田。切れ味では石神・須藤・榎本・奥田の順であろう。筋量、切れ共のバランスでは石神であろう。
腹については、腹筋の型の良さでは榎本が断然光っているが、鍛え込みから見れば、須藤・石神も充分で、この三者甲乙つけがたい。奥田が一番弱いだろう。

脚では、断然、須藤が光っている。バルクでは奥田が、切れ味では榎本がこれにつづくだろうし、石神は良い脚をしているが、ポーズ時の表現が悪いため損をしている。
以上の諸点を、ポーズにおいて各自の成果をどのように活かし、審査員の注意を引きつけるかが勝負の分れ目であろう。参考のため、上記4選手の最近の同一型に属するポーズ・スナップ2種類を掲載しておく。

以上総合してみると、筋量、切れ味バランス等、内容的には石神。ムード的には須藤・奥田が有利と見る。
要は石神選手のフリー・ポーズによるイメージ・チェンヂ如何が最大のポイントであろう。優勝争いについてはこのくらいにして、ついで、入賞をかけて斗う選手たちをながめて見よう。
【須藤孝三選手】

【須藤孝三選手】

【石神日出喜選手】

【石神日出喜選手】

【奥田孝美選手】

【奥田孝美選手】

【榎本正司選手】

【榎本正司選手】

【木本五郎選手】

【木本五郎選手】

【糸崎大三選手】

【糸崎大三選手】

【長宗五十夫選手】

【長宗五十夫選手】

◆上位入賞を狙う選手たち◆

木本五郎選手(大阪)ーー
どうにか慾が出て、昨年より絞り込み、従来のバルクに加えて、全体的な切れ味を見せ、ミスター関西を制覇しての登場で、上位入賞の実力充分である。

高橋威選手(長崎)ー一
昨年より一段と逞しく成長。そのプロポーションの良さと知性的な迫力は上位入賞を狙うに充分である。

東海林徹選手(兵庫)ーー
昨年から1年計画で、敢然と減量に挑戦、良いプロポーションを作り上げた。上体前面のポーズは迫力もあり、くせの無い伸び伸びした姿勢でのポーズ運びは一つのムードを引き出して立派であるが、前記選手に比べ、脚および背面ポーズ時の僧帽・腰背が弱いのが気になる。先づ脚の切れ味如何が、上位入賞なるや否やのポイントであろう。

塚本猛義選手(大阪)ーー
昨年より一回り逞しく成長し、切れの良さ、ポーズ運びともに進歩している。東海林選手と関西2位を争い、僅少差で措しくも破れたが、ミスター日本では雪辱を期している事であろう。

梅村輝雄選手(愛知トヨダ)ーー
実業団、中部日本と着実に実力を示し、昨年より一段と絞り、切れ味を見せて活躍。パワーとの両立を狙っての努力、年々追い上げている事は立派で、有力な入賞候補である。

野崎清重選手(富山)-一
昨年より一回り成長し、脚の切れもよく安定感が増した。
以上の6選手は優勝争いとは別に、上位入賞をかけて激突する事であろう。一応、木本・高橋両選手を有力と見るが余断は許さない。
東海林・塚本・梅村・野崎の4選手を比較すれば、全体的な切れ味、および筋量のバランスでは塚本、筋量では梅村、上体の切れ味、ポーズのうまさ、バランスの良さでは東海林、脚の切れと筋量では野崎とそれぞれ特徴があり、果たして何れが!!

◆入賞を狙う選手たち◆

前記選手たちを追って入賞をかけて活躍が期待されるのは、昨年3位の糸崎大三選手(石川)であるが、仕事の転換等のたの練習不足がひびき選抜戦では昨年に比しだいぶ見劣りした。爾後の努力如何にかかっている。充分上位に入れる良い素質を持っているのだから奮起してもらいたい。また長宗五十夫選手(兵庫)も一昨年のダークホースとしてのイメーヂが強すぎて、その後成長の跡が見られず、入賞をかけて苦しい立場である事は、糸崎選手と同称でなんとか頑張ってほしい。
その他、寺川和昭選手(住友金属)、古谷喜久雄選手(東京)ともに良いデフィニションをしており、また、鉾ノ原尚(大阪)、,高田英豐(大阪)、加藤一男(東京)、宮畑豐(東京)、金城正勝(神奈川)、石川長男(神奈川)、知名定勝(沖縄)、長友泰彥(宮崎)、牧島進一郎(福岡)等の各選手はそれぞれ特徴あり善戦活躍してくれる事であろう。果たして運命の女神はどの選手に笑えむことであろう。勝負とはきびしく残酷なものである。

あれこれ選手諸君の長所や欠点を探し、それをいかに克服し、努力の成果を展開してくれるかいろいろと考えてみるのは楽しい、しかし大会当日、各選手が日頃鍛練の成果を如何なく発揮し、火花を散らしての熱戦は想像以上にさらに楽しく見ごたえのあるものであろう。

コンテストは単なる肉体のみを競うのではなく、その時点における各選手の持ち味や内容をいかに表現するかが一つのポイントでもあるので、心身共に研鑽を怠たらず悔いなき戦いを展開されん事を望んで筆をおく。
【高橋威選手】

【高橋威選手】

【野崎清重選手】

【野崎清重選手】

月刊ボディビルディング1975年11月号

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