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さあ秋だ!体重をふやすチャンス

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月刊ボディビルディング1976年11月号
掲載日:2018.07.26
野沢 秀雄(ヘルス・インストラクター)

1.体を大きくしたい!

 毎週日曜日午後1時15分日本テレビ系列の「テレビジョッキー・日曜大行進」。土居まさるの迷司会で全国各地から奇人変人が登場して若者に人気があるが、なかでもケッサクは「ペチャパイコンテスト」「男女大会」「ガリガリ人間」「毛もじゃ大会」など。ふつうの常識から想像できないヤングの人たちがブラウン管に恥ずかしそうにうつっている。

「世の中さまざま。やせた人は体を大きくしたいだろうな」とつくづく感じる。実際「太っている人」にはいろいろな本や研究所があって指導してくれるが、やせた「ガリガリ人間」には専門の本があまりない。ここにわれわれのボディビルのトレーニングや、これを教えるトレーニング・センターの役割がある。

「クエッ、クエッ」「チャリンコ、チャリンコ」と南河内大学の赤道クンはくったくない毎日をすごすが(「ああ花の応援団」)、本当はもっと真剣に自分や将来の仕事を考えて「体をしっかり鍛えたい」と願っている人がはるかに多いのだ。「健康にあふれた身体は一生涯の財産になる」のだ。
 
 秋から冬にかけて体重をふやす絶好の季節。動物でも魚たちでも皮下脂肪という形で体のサイズを大きくする。われわれの身体も、筋肉のたんぱく質と、その間に入っている脂肪が混然一体となりバルクアップできるチャンスである。日ごろ「やせていてサイズがふえない」と悩んでいる人に、今までの知見をまとめてアドバイスしよう。

2.必ず原因がある

「野沢先生、私の悩みをきいてください。身長が180cmあるのに体重が65kgです。食べても太れません」ーこんな相談がよく寄せられる。食事内容とトレーニングの種目・重量・回数・職業などを基に、くわしく検討すると必ず何か原因が浮びあがる。タイプ別に考えてみよう。

ⓐ 胃腸が弱い人
 自分で「胃腸が弱い」「消化吸収力がよわい」という人の場合、本当に胃腸に障害があることは少ない。「食事を食べるスピードが早く、ろくにかまずに食べる」「間食にコーラやソーダやカップラーメンを好んで食べる」というように食事方法に問題のあることが多い。

ⓑ 仕事が無理な人
 三交替勤務で夜間に働き、リズムがくずれている人。自律神経がうまく働かず、睡眠不足になって太れない。こんな状況にある人にかぎって「タバコをかなり吸う」という、タバコのニコチンは脂肪代謝を妨害して、不健康にやせることが知られている。
 マネージャーや秘書など気を使う仕事の人や、「トラック野郎」「タクシードライバー」など車を運転するのが職業の人も太りにくいといえる。

ⓒ 神経質な性格の人
「勉強をトコトンまでしないと気がすまない」「上司や同僚の目が気になる」「いつもイライラして気が休まらない」このタイプの人は睡眠不足になりやすく、太れない。

ⓓ 食事内容の悪い人
「朝はごはん・みそ汁・漬物。昼は会社の給食弁当。夜はごはん・みそ汁・焼魚・酢の物」といった内容では太れない。毎日食べる食事からわれわれの身体がつくられ、維持され、活動エネルギーになることを再認識してほしい。

ⓔ トレーニング方法が悪い人
 リスト・カールのような細かい部分をきたえるトレーニングに体力を消耗したり、ランニングやなわとびをくたびれるまでおこなってバテる練習生がよくある。「体重をふやす」目的で練習するなら、ベンチ・プレスやスクワットなど基本種目の練習を第一とすべきである。

3. 食事と運動のポイント

 次のグラフは愛知県瀬戸市の田中義和さんが寄せてくれたものだ。秋から冬にかけてよく体重をふやしたことがわかる。ふつうの食事に加えて、たんぱく質を重視すると効果的だ。体重1kg当り2gの純たんぱく質を目標にするとよい。カロリーは約3000を確保する。1日3回の食事だけでなく、間食としてトレーニングの前後、就寝前にバナナ・チーズ・納豆・サバ缶・プロティン・牛乳などを食べる。秋に出まわる柿・栗・梨・ぶどう・いも・さんま・サバ・あじなどは自然の恵みで体を大きく太るための栄養素を貯えている。タイミングよく利用したい。

 さてトレーニングは第一に脚のトレーニングだ。解剖の本によると、全体重のうち35%が下肢によって占められる。つまり人体で一番大きい筋肉のボリュウムを持つのが脚である。したがって「脚にがっしり筋肉がついている人ほど体重が多い」とはっきりいえるわけだ。スクワット、レッグプレス、レッグカール、カーフレイズなど、どの種目も自分ができる最大限の重量で6~8回ずつ3〜6セットおこなう意気ごみで挑戦していただきたい。

 「30才をすぎた高年齢でも効果はありますか」とよく質問される。同じ練習なら10代・20代前半の人の方が効果が大きく早く現われるのは事実であるが、高年齢でも「やれば必ず報われる」のも事実だ。必ず脚が発達して体重がふえてくる。

4.成功した人の例

 私がアドバイスした内容を実行し、あるいはトレーニングセンターの会長やコーチはじめみんなの指導により、「やせっぽち」の体をみごとに変身させて強く逞しくなった人たちを紹介したい。

「なが年水泳選手をしていました。脚のトレーニングがいいときいて懸命におこなったら、脚が太くがっちりなって、なんと短期間に8kgもの体重増加に成功しました」(えびすトレーニングセンター・飯島さん)

「中学校で教師をしています。12月から5月までの半年間にサバ缶・納豆・プロティンなどを食べてトレーニングの結果10kgも体重がふえました。みんな信じられないなあといいますが、私の体が事実を証明しています」(同じく菅原さん)

「小学校の教員で、2年間会長やコーチに教わった結果、胃腸がじょうぶになり、体重がグングンふえミスター千葉の4位になりました」(松戸トレーニングセンター・水谷選手)

 これらは私が知ったごく一例で、このほかえびすトレーニングセンターには阿久津選手が体重58kgから78kgへ驚くべき進歩をみせているし、久留米トレーニングセンターの田中会長がコンテスト・プログラムに成功例をのせて発表したりしている。
 
 私が食事分析した人の中から東京都足立区の佐藤金男さん(25才)の場合を紹介しよう。

「病気で体をこわし疲れやすくて困る。これからトレーニングを始めたい」ということで、たんぱく質を主体とした食事法とトレーニングをアドバイス。3ヵ月たった報告で、夏やせのシーズンにもかかわらず「なんと体重5kg、胸囲8cm、大腿囲5cm、上腕囲3.5cmもふえました。こんなによくなるとは自分でも信じられない。銭湯にゆくのが楽しくなりました。病気もすっかりなおり全然疲れません。本当にありがとうございました。これからもいっそうがんばります」という感動的な手紙を寄せてくれた。

 ああ、これこそボディビルでありこれを指導する良さであり喜びであろう。読者のみなさんでまわりに「やせていて恥ずかしい」という人があったら、ぜひボディビルのトレーニングをすすめてやるようにアドバイスしよう。成功したらよろこばれて感謝される。またボディビルがさかんになり良いことだ。
田中義和さん(21歳、176cm、学生)の体重の変化

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月刊ボディビルディング1976年11月号

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