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“発達への障害(スランプ状態)を打ち破るには”
ドン・ロスの5つの分析

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月刊ボディビルディング1977年2月号
掲載日:2018.07.08
国立競技場指導主任 矢野雅知
ボディビルディングを続けていくうちに、誰でも一度はプラトーと呼ばれる、発達が停滞して、いくらもがいても向上しないという状態に突き当るものだ。これは他のスポーツ競技においても同様である。はじめはどんどん上手になって進歩を続けていたのに、それがまったく伸びなくなり、向上がストップする。こうなると、いわゆるスランプ状態に陥ってしまうことも少なくない。

スポーツを志ざす者は誰でも、体力的にも技術的にも、あるいはまた精神的にも進歩すべく懸命な努力を続けているにもかかわらず、このプラトーが必ずいつかその前に立ちはだかるだろう。はじめからスムーズに進歩を続けるなどということは、まずないといってもいい。いく度となくこのカベを乗り越えながら進んでいかなくてはならないのである。

しかし、誰でも簡単にこのカベを乗り越えられるわけではない。いや、むしろカベを乗り越えられずに、いたずらに年月を過ごしてしまうというのが実状である。「いかにしてこのカべを克服していったかということで、チャンピオンとなるか二流選手で終わるかの分れめとなる」といわれている。

残念なことには、かなりトレーニング経験を積んだボディビルダーにしても、あるレベルに達すると、それ以上の発達がみられなくなり、それで「これはオレの限界に近づいたので、もはや発達しなくなったのだろう」と思い込んでしまう人が多い。だが、それでは自分の能力をあまりに過少評価しすぎてはいないだろうか。

おそらく自分の肉体を限界まで発達させうる人はマレであろう。だから、かなりのレベルに達したボディビルダーが、ある程度の期間、進歩が停滞したからといって、そこで諦めてはならない。必ず打開策はあるし、まだまだ筋肉は適正な刺激に対して反応するはずである。

名界のチャンピオンたちをみるがよい。ボクシングのモハメッド・アリにしても、ゴルフのジャック・ニクラウスにしても、いく度もこのカベを打ち破ってきたからチャンピオンになれたのである。

シュワルツェネガーを見たまえ!彼はすでに数年間も世界のトップ・ビルダーの座を占めており、もはやそれ以上は望めないような肉体を所有していながら、なおかつカベを打ち破りつつ発達を続けているではないか。コロンボをみるがよい!30才を越えてもその筋肉にはさらに一段とすご味が加わりパワーはますます増大しているではないか。あきらめる前に努力せよ!いーや、オレは自分なりにできるだけの努力はしたつもりだ……と、あきらめてはいけない。それは努力の方法に問題があるのだ。

☆ドン・ロスの5つの分析☆

では、どうやってカベを克服したらよいであろうか。その克服の方法を、ボディビル界随一のブ男とおもわれるミスター・ドン・ロスが語っている。彼は一見したところフランケンシュタインの甥のような風貌を漂よわせているが、どうしてなかなかスルドイ男である。

まあ、そんなことはともかく、カベにぶち当って悩んでいる人は、彼の語る発達への障害を克服するために分析する5つの原因のどれかしらに当てはまるだろう。その彼の語る実際的な言葉の1つ1つが読者の参考となり、行動につながり、次の段階への足がかりになればサイワイである。

ΧΧΧ

トレーニングをやっているうちに、筋肉は大きくならないし、キレも出ないし、逆にゆっくりとからだが縮まってしまったり、まったく発達しないことがあり、ついには挫折してしまうことすらある。

トレーニング・プログラムや食事にも関心を払い続けているのだが、数カ月を経過してもまったくなんの変化もない。筋肉は太くならないし、デフィニションもつかない。それも、セット数をふやしたり、特別にエクササイズを行なったり、いろいろ試みても同じ結果しか得られない。

そうなったら君はどうする?タオルを投げて降参するのか。いやいやそんな必要はまったくない。私にまかせたまえ。私を信ぜよ。信ずる者は救われる。

私は過去に何人ものボディビルダーがカベを打ち破ったのをこの目でみている。テレビでゴルフ番組を観ていると、なんとなくうまくなったような気がするだろう。そう考えてみれば、私の言葉もムダにはなるまい。少なくともカべにブチ当って後退するよりも、解決への糸口は見つかるというものである。まず私のこれから述べることをつつしんで拝聴することである。

まず、発達をストップしているものは何なのかを見つけ出すことだ。それには君の現在のトレーニング・ルーティン、食事法、トレーニング・ペースの変化、そして気を入れてやっているかどうかということを、もう一度ふり返ってみよう。そうすればなにか思い当たるフシがあるはずだ。原因さえつかめれば、あとはその対策をたてて実行するだけでよい。それで君の筋肉は再びグングンと発達を開始するにちがいない。

プラトーになってしまうのには5つの主な要素がある。それらを1つ1つ検討していってみよう。そうすれば、君はその中のどれに落ち込んでいるかがわかるというものである。
〔'74NABBAユニバースに出場したときのドン・ロス〕

〔'74NABBAユニバースに出場したときのドン・ロス〕

<1>オーバー・トレーニング

君はあまりに多くのエクササイズ、あまりに多くのセット数、あるいはレピティションをやりすぎる。また、あまりにも頻繁にトレーニングをやりすぎているにちがいない。その結果、君の筋肉は回復するよりも速く、筋肉組織は壊されてしまう。そして、乳酸のような疲労物質が筋肉内に充満してしまう。

もし、そのままオーバー・トレーニングを続けていると、疲労は蓄積されてかたまってしまう。こうなってしまうと、君は絶えず疲れたように感じるし、へラクレスのような肉体にしてやろうと張り切っていた当初の夢も希望も消えうせてしまう。歩くときは足を引きずるようになるし、神経質になって睡眠も浅く、絶えずボーッとした感じがする。

君の現在のトレーニングをもう一度よく検討してみたまえ。各ボディ・パーツについて3つ以上のエクササイズをやっていないか?全部で50セット以上やっていないか?同じボディ・パーツを2日間連続してトレーニングしていないか?たとえば、バーベル・プレスかべンチ・プレスをやった次の日にトライセプス・エクステンションを行うというスプリット・ルーティンを採用しているならば、上腕三頭筋は2日連続で使われていることになる。

君が初心者であった場合、1週間に3日以上もトレーニングをしていないだろうか?あるいは1週間に4日のスプリット・ルーティンを行なっていないか?君はミスター・オリンピアのチャンピオンがコンテスト前に行なったようなトレーニング・ルーティンをやってないだろうか?―――もしそうなら、それで彼らと同じような結果が得られるものと信じているのではないだろうか?

もし君が「イエース!」と答えるなら、おそらく君はオーバー・トレーニングである。このことは、熱心さのあまりトレーニングをやりすぎる初心者だけの問題ではなく、誰にでもいえることである。もし5セットやれば良い効果が得られるなら、10セットやればその倍の効果が得られるにちがいないなどという間違った考え方をする人が多い。これは「筋肉は使いすぎると減退する」というルーの法則を頭に入れていない証拠である。

もし、トレーニングをすればするほど効果があるのなら、筋肉を発達させるにはただひたすらに多くセットをくり返せばよいということになる。しかし、筋肉は適度に刺激を与えれば発達するが、ある点に達したあとでは、それ以上いくらセット数を重ねても、特別のエクササイズを行なっても、効果はなくなってくる。だからやたらと練習量を増やしてはならない。あくまでもその人の体力・経験に合った適正なセット数やエクササイズを行うことが大切である。

では、どのくらいが適正なトレーニング量であるのか、具体的に説明することにしよう。

まず初心者の段階では、1つのボディ・パーツにつき1つのエクササイズである。中堅のボディビルダーは2つのエクササイズである。上級のボディビルダーでも3種目を越えてはならない。それも、各エクササイズは同一の筋群を鍛えるにしても、わずかに異なった角度から刺激を与えるようなものにする。

上級のボディビルダーでも、各ボディ・パーツに総計50セット以上やるのは好ましくない。初心者の段階なら3セットでよい。もし君が1セット当り10回以上もやってオーバー・トレーニングになっているのなら、ウェイトを増やして回数を減らすのがよい。とにかくエネルギーをからだに蓄えなくてはならない。筋肉の発達にはそれが必要なのである。

<2>アンダー・トレーニング

君のトレーニングでは、筋肉が発達するための十分な刺激を与えてないのかも知れない。筋肉は強い刺激を受けたあとの回復過程で発達する。さしたる努力もしないで、なんとなくやっているようなトレーニングでは、筋肉は発達しない。ただ現状を維持しているだけである。

君のエクササイズは、最近ウェイトを増やしただろうか?――もしそうでないなら、少しでも重たいものを持ち上げようと努力すべきだ。こうしてもっとトレーニング強度を高めなくてはならない。

現在と同じような重量やセット数、レピティションでもってトレーニング強度を高めるもう1つの方法は、セット間の休憩時間を短縮することである。君はあまりにセット間のインターバルが長すぎるのかも知れない。

では、セット間のインターバルはどのくらいとったらいいのか――初心者では2分以内、上級のボディビルダーでは2〜3秒以上休んではならない。1つのボディ・パーツのトレーニングが終了して次のボディ・パーツに移るとき、はじめて休憩せよ。セット間には休憩してはならない。

また、君は決められたレピティションをちゃんとやってないのではないか?もしそうであるなら、君はどんなに多くのセット数やエクササイズを行なったとしても、アンダー・トレーニングとなっている。初心者は各エクササイズの最終セットには、疲労するまでやるべきだ。上級ビルダーは、各筋肉組織が疲労の限界に達するくらい十分な刺激を受けるように、毎回のセットごとにそうすべきである。

これに従ってトレーニングを行えばエクササイズの量やセット数を減らすことができて、なおかつもっとよい結果を得ることができるだろう。

<3>トレーニングのマンネリ化

最近になって、君はトレーニング・ルーティンを変えただろうか。君が用いているウェイトで筋肉は発達しているだろうか。君は長い間、ウェイトを増やしていないようなら考えなくてはならないだろう。

君はトレーニング・ルーティンをどのくらいで変えているか?中には1カ月に何度も変える人がいるが、あまりに頻繁に変化させることは、新しいルーティンのトレーニング効果が現われはじめる前に変えられてしまうので、むしろ効果がないのに等しくなってしまう。もし君が実際に現在のトレーニング・ルーティンを気にいっており、筋肉の発達も続いているのであれば、どんどんそれを行なって3〜4月間ぐらい採用するとよい。

トレーニングが一本調子になってマンネリ化しはじめたら、それはトレーニング・ルーティンを変えろという合図とみてよい。君のプログラムを手直しするよい方法は、バーベル・プレス・ビハインド・ネックならばダンベル・オールタニット・プレスのように似たような動きのものにおきかえる。もし、それでも君の発達をさまたげるカべを克服できないときは、君のトレーニング・ルーティンを根本的に改訂して、筋肉にまるで違った刺激を与えるようなショック療法の必要があるというものである。

そのためには、君のレピティションとセットのシステムを完全に変えるのがよい。そして、基本的なエクササイズにもどすのだ。もし君が全身的なトレーニングをやっていなかったり、あるいはハイ・レップスでのコンセントレーションするエクササイズなら、重いウェイトでロー・レップスでやるのがよい。

では、このショック療法を紹介しよう。このような筋肉へのスーパー・ショックは、6週間続けてみるとよい。
それから次のルーティンに移る。
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ΧΧΧ

この他の効果のあるショック療法としては、21システムがある。このシステムは、1つのボディ・パーツに1つのエクササイズをとり出し、それを3~4セット行う。各セットは21回やるのである。それも最初の7回はハーフ・レインジの運動をやり、次の7回はもう半分のハーフ・レインジの運動をやる。そしてラストの7回はフル・レインジの運動を行う。

これで君のすべての筋線維は焼けつくようなバーンを感じるはずだ。2〜3セットやるだけで、ものすごいパンプ・アップを経験するだろう。そのためには、正確な動作で出来るようなウェイトを用いなくてはならない。この21システムではチーティングはタブーである。

さらに効果のある段階的なショック療法としては、ステップ・ボンビング(Step-bombing)がある。このシステムは私が見い出して大きな成果を得たものである。そのやり方は――

まず軽いウェイトでスタートする。そして1セット10回以上は行わない。だが、セット間の休憩は数秒間にとどめておき、わずか1回しか完全に持ちあがらなくなるところまで、セットごとにバーに10ポンド(約4.5kg)ずつウェイトを付け加えていく。それから今度は逆の過程をたどっていく。つまり各セットごとに10ポンドずつウェイトを落としていくのである。それもできるだけ多くのセット数を行いながらである。

もし君が、器具や重量の完備しているジムで練習しているならば、ダンベルによるステップ・ボンビング・システムをやることができる。各ボディ・パーツに1つのエクササイズを選び出して、この方法で次々とダンベルの重量を増やしていき、1回しか持ちあがらなくなったら、今度は逆に重量を減らしていく……君の筋肉は信じられないほどのパンプ・アップを感じるだろう。
〔1974年度NABBAユニバースに出場したときのドン・ロス〕

〔1974年度NABBAユニバースに出場したときのドン・ロス〕

<4>悪い運動フォーム

我々がハーマンと呼んでいる仲間がジムにいる。ハーマンは、彼がまだティーン・エイジャーだった頃から現在まで、20数年間もトレーニングを続けてきた。彼はボディビルダーには完壁とも思える体型と筋肉組織を持っており、少なくとも1日に2時間はトレーニングを行なってきた。私はいまだかつて彼がトレーニングを休んだのを見たことがない。それもかなり重たいウェイトを使ってハードなトレーニングをしてきたのである。

これだけ考えれば、君は彼のことをミスター・アメリカ・クラスのボディビルダーだろうと思うはずだ。しかし残念ながらハーマンのからだは、ちよっと見た目にはアスレティック・マンよりも、もう少し筋肉が発達しているにすぎないのである。今までの長い年月にわたるすべての努力と時間は、この程度のからだをつくりあげるためのものだったのだろうか?そうじゃないだろう。なぜ、彼はもっと発達した肉体をつくりあげられなかったのであろうか?

その答えは、彼のトレーニングにはっきりと見ることができる。たとえば彼はベンチ・プレスを行うときには、胸の上にラバー・パッドをのせ、肩幅の倍くらいにバーを握って運動するので、パッドから6インチしかバーは持ち上がらないのである。

しかも、彼のカカトは浮き上って、背中は弓なりにそって行う。おまけに1回ごとにバーをラバー・パッドの上でバウンドさせてやるのである。これではほとんど腕の運動のないベンチ・プレスとなってしまう。

また、彼はバーベル・カールを行うときも、バーベルを下にぶら下げたときに、背中を前に倒しておき、反動をつけて持ち上げるという極端なチーティング・スタイルなのである。このような悪いフォームでのやり方は、彼のやっているどのエクササイズでも同じである。

あるとき、仲間の一人が彼に「それじゃあ、あんまり効かないだろう」といったところ、彼は弁解するように、「オレは重いウェイトを使うから、反動をつけないとダメなのサ」と答えただけで、そんな忠告などにはまるで耳をかさずに、あいかわらず効果のないトレーニングを続けている。

彼としては、現在用いている重いウェイトは長い年月にわたってトレーニングを続けてきたという証であろう。それをいまさら正確な動作でやるために、重量をガクンと減らす気にはなれないのであろう。

たしかに、すべての筋線維が十分に働くように重たいウェイトを用いて行うチーティング・エクササイズがあるが、これは1回1回ウェイトを持ち上げたら、ゆっくりとコンセントレーションしながら下ろしていくのである。このコンセントレーションがなければ発達を促すような刺激を筋線維には与えることができない。これができるようになれば、重いウェイトを扱えるようになれるので、筋肉のみならず腱も強くさせることができる。そのためには、まず君のトレーニング・フォームに注意しなくてはならない。

<5>間違った食事法

君の筋肉はプロティン、ビタミン,ミネラルなどが欠乏していないだろうか。ハード・ワークには多量のエネルギーが消費されるということを忘れてはならない。君は十分に栄養を摂っているか?たとえそうだとしても、君は正しい食事をしているのだろうか。

一般に公表されているような基本的な食事法では、太い筋肉をつくりあげることはできない。あるいは、いま流行の菜食ではプロティンが十分でないし、肉と水の食事法(Meat-and-waterdiet)ではまだまだ何かが欠如している。

菜食は短期間に体内を浄化しようというにはOKである。また、肉と水の食事法は、君のからだにデフィニションが不足しているような場合には、コンテストに出場する2週間前ならばいいだろう。しかし、これだけでは筋肉は大きくはならないし、パワフルな筋肉とはならない。

君のからだは、多くの肉と新鮮な果物と野菜を必要としている。これらが毎日の食事に適切に含まれるべきだ。君がかなり激しいトレーニングをしているならば、これらはさらに多く摂取すべきである。また、ウェストをしぼろうというのであれば、摂取量を減らす必要がある。そのときはボーン・ミール・タブレット(骨の粉末剤)を補給するとよい。これはエネルギー源となるリン酸カルシウムが含まれているからである。

この他にも、君がトレーニングを行なっていく上で、大きな効果を与えてくれるスパラシイ補強食がある。次にこれらを紹介しよう。


<ビタミンE剤>
これはスーパー・スタミナ・ビタミンといわれるほどの多大な効果をもつビタミンである。とくに、回復能力を向上させて、エネルギーをたくわえる働きがある。細胞が必要とする酸素を供給する働きもある。また、ウレシイことにはセックス能力を高めるという効果もある。このビタミンEはジャーム・オイルに豊富に含まれている。

<ビタミンB複合体剤>
これは筋肉組織の再生を促進する。そして同化作用を助長してホルモンのバランスを保つ働きをする。

<乾燥レバー剤>
激しいトレーニングをする人には大切である。これは各細胞への酸素の運搬を助長する。また、筋肉を構成する高純度のプロティンを多く含んでいる

<アルファルファ>
私の筋肉はアルファルファを用いてすこぶる発達した。以前私のいたニューヨークのロチェスターのボディビルダーとウェイトリフターの多くが、これを摂っており、著しい効果をあげていた。そこで私もさっそくこれを摂取してみたところ、ほんとうにアッという間に筋肉は太くなってしまった。それ以来、私はこれを摂取している。

このアルファルファは、かなり高いチッ素分と微量のミネラルを含んでおり、ハイ・プロティン食とケルプと一緒に摂取すると、アナポリック・ステロイド(蛮白同化ホルモン)と類似の効果がある。しかも、これは自然食であるから絶対に副作用はないのだ!

<ケルプ(Kelp)>
ケルプとは、巨大な海草のことである。この海草は多量の自然のヨードを含んでいる。これは甲状線を刺激して同化作用のスピードをアップさせ、アルファルファが筋肉を発達させる効果を助長する。ケルプは適切な食事とエクササイズがウマク結合されたときに余分な体脂肪の燃焼を促進するように思われる。

<朝鮮ニンジン根>
もう1つの自然のアナポリック・ステロイドとして、我々のホルモンにその構造が似ているものに朝鮮ニンジン根がある。それはまた、セックス能力を促進するといわれており、老化を遅らせる効力もある。

私の食事にこれを用いたところ(毎日スプーンに半分)たしかに私は「強くなった、エネルギッシュになった」と感じはじめた。そして、これを用いるようになってから筋肉のサイズは一段と大きくなった。

<プロティン>
君が毎日摂っている食事の間食用として、90%プロティン・フードを用いるとよい。ふつうの食事だけでも筋肉をつくりあげることはできるのだが、プロティン・フードを摂取した方が効率的である。ただし、過剰摂取はさけねばならない。

ΧΧΧ

これで、君は発達の障害となっていたのは何だったか解ると思う。そうしたら、次に君のやることはその原因を取り除いて、正しい方法で行うということである。しかし、原因はすぐにはわからないかもしれない。そのためには、いろいろのことを試してみることが必要だ。その結果、その障害の原因が何であったか必ず解決されるにちがいない。

そこで、もう一度君は思い出してもらいたい。ハード・トレーニングを開始してから、プラトーになってしまうまでは、自分でも驚くほど筋肉が発達しただろう。エクササイズすべてが、君のからだにはまったく新しい刺激であったからだ。その刺激に適合するように、細胞は次々と増えていったのである。このように筋肉に新鮮な刺激を与えるためには、レイ・オフをとることもまた必要だ。

だからといって、気まぐれにトレーニングをストップしてはならない。規則的なインターバルをもってレイ・オフをとるようにする。それには6カ月に一度というのが最もよいように思われる。レイ・オフの間は、すべてのトレーニングを休むばかりでなく、プロティン・フードのような補助食も摂る必要はない。ゆっくり休息して、健康的な食物を多く摂るようにする。

こうして、レイ・オフをとったあとで、再びトレーニングを開始すると、君がはじめてトレーニングを開始したときのように、翌日は筋肉が痛くなるかもしれない。こうなれば、君の筋肉は十分な休養をとったということになるので、レイ・オフは成功だったということになる。レイ・オフのあとでは新しいトレーニング・ルーティンを採用するとよい。そして補助食の摂取も開始するのだ。

レイ・オフのあとでは、いくらか筋肉のサイズが落ちているかもしれないが、それはまたたくまに回復する。しかも今まで以上に筋肉は発達していくだろう。だから、レイ・オフを規則的にとることが大切なのである。

ΧΧΧ

以上に紹介した、ブ男ドン・ロスの話はいかがであったろう。上級のビルダーには、とくにアナポリック・ステロイドと同様の効果をもつというアルファルファに興味をひかれたことと思う。もしそれが事実で、カンタンに摂取できるようならば、今後のボディビルダーの食事には不可欠のものになっていくかもしれない。これからの研究課題として、実に面白いものである。
月刊ボディビルディング1977年2月号

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