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―これぐらいは知っておきたい―
最近話題の栄養食品

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月刊ボディビルディング1977年2月号
掲載日:2018.07.14
野沢秀雄(ヘルス・インストラクター)

[アナポリックステロイド]

タンパク同化ホルモン、または筋肉増強剤とも呼ばれる。「同化」とは体の部分として合成されることを意味し、「異化」とは反対に構成していた物質が分解されることを意味する。ホルモンはごく超微量で影響を現わすので、素人が自分勝手に使用することは禁止されている。たとえ今は害がなくても後で出てくる心配がある。

第一、努力をろくにしないで筋肉をつけるという考えがまちがっている。私としては使用をすすめられない。

[ドーピング]

筋肉増強剤やホルモンではなく一種のアルカロイドで麻薬的なものである。交感神経を一時的に興奮させて「火事場のバカ力」を出させるもの。種類や作用はさまざまであるが、人体に好ましくないのでIOCでは使用を固く禁じている。重量挙の大内選手が失格宣言されたことは有名だ。

[プロティンパウダー]

上記の2つが薬品なのに対し、プロティンパウダーは食品として認められており、タンパク質を補足したいときに用いられる。原料は大豆のタンパク質が主成分で、ある社はそのまま、ある社はビタミン、カルシウム、ジャームオイルなどを加え、ある社は乳成分のカゼインや卵プロティンを配合して発売している。

タンパク質が何%含まれるか数字で示しているのが多いが、計算法で水分を除外して計算している場合があり、注意がいる。1回に大さじ山もり一杯(約7g)で26カロリー、タンパク質6gがとれるから、牛乳1本にとかせば一度に約11〜12gの純タンパク質が補給できることになる。

[プロティンスコア]

タンパク質の含有量のこととまちがいやすいが、タンパク質をつくっているアミノ酸の割合が良いか悪いかを示す点数である。すなわち人体にどうしても欠けるといけない8種類のアミノ酸が理想的な比率に達しているかどうかを判定するもので、鶏卵100、牛肉80、あじ89、牛乳74、大豆56、じゃがいも48、クロレラ29、トマト14などと計算で出ている。

動物性タンパクが良いと一般に言われるのは、プロティンスコアが高く、食べたタンパク質が無駄が少なく利用され、子供の発育などに有効であるためである。

けれども大豆にはメチオニン、小麦にはリジンを加えると、プロティンスコアが高くなって、動物タンパク質と同等かそれに近い効果をあげるようになる。

[サプルメントフード]

ふつうの食事だけでは不足する栄養素を、健康食品のプロティンパウダーやクロレラ、プルーン、青汁の素などで補うとよい。このような食品をアメリカではサプルメントフードと呼び、人気が高い。バラの実からとったビタミンCの錠剤や肝臓エキスを粉末にしたレバープラス、鉄剤などが発売されている。日本では薬事法との関係でこれからの商品である。

[クイックゲインウェイト]

体重増加用にタンパク・糖類・ココア・ビタミン・カルシウムなどを配合した液状のかん詰。粉末もある。フォーミュラ101などと呼ばれている。日本でも価格が安くなれば普及すると思われる。

[へルスフード]

健康食品のこと。にんにく・ローヤルゼリー・朝鮮人蔘など種類が多い。健康食品や自然食品の店が各地にでき、人びとの健康への関心が高まるにつれ人気を呼んでいる。訪問販売などで売りにくることがあるが、中には悪質なインチキ商品で儲けようとする人がいて警察に調べられ、新聞にのることも少なくない。よい商品を見わける目を私たちは持ちたいものだ。

[ジャームオイル]

小麦胚芽油のこと。小麦の胚芽部分にビタミンやミネラルが多く、とくに液状になった小麦胚芽油にはビタミンEが多量に含まれる。飲みやすくするためにゼラチンのカプセルにしたものが発売されている。また天然のビタミンEをさらに強化して効率をあげた製品もある。えらぶときに1粒当り(もしくは100g当り)何ミリのビタミンEが含まれているか尋ねてよく確かめるとよい。

日本食品分析センターなどの公的機関でおこなった証明書がついていると信用できる。

[クロレラ]

のりやコンブと同様に藻類の一種で、微細な丸型の細胞膜に包まれている。以前は膜が固いため中味のタンパク質やビタミン・ミネラルが吸収されなかったが、最近は噴霧乾燥技術が進歩して80%以上消化吸収されるようになった。学者によっては未知物質が含まれていて病気に良いといわれるが、私はタンパク質やビタミン・ミネラルの効果だと考えている。

[プルーンエキス]

カリフォルニアでとれるプラム(西洋すもも)をドロドロに砕き、水を抽出して濃縮したもの。果糖・ビタミン・ミネラルに富む。便秘をなおしたり血色のよい顔色をつくるのに良いとされている。パンやトーストにつけて食べるのが一般的。

〔朝鮮人蔘茶〕

古来漢方薬にものせられ、薬品としての効き目がある人蔘をエキスにして粉末状の頼粒にしたもの。そのままお茶に入れて飲んだりできる。

最近研究がすすみ、強精効果のほか「タンパク同化作用がある」と証明され、アメリカでも人気上昇中だ。シュワルツェネガーが愛用している広告がマッスルビルダー誌によく出ている。

〔果糖〕

砂糖は果糖とぶどう糖からできているが、化学的に分離して果糖の白い結晶をとり出せるようになった。体内で変化するスピードが早いため、スポーツマンの筋肉の疲労回復に良いとされ、マラソン選手が折返し地点などでゴクゴク飲んだりしているものだ。

値段が砂糖より高いのが難点であり、1袋当り20円〜25円につく。砂糖が10gで3円ぐらいなのと比べると高価である。

[レシチン]

日本やアメリカでレシチンの缶詰や錠剤を売っていることでわかるように、肝臓を強める作用があり、コレステロールとなって性ホルモンとなり、必要に応じて体内へ供給する役割を持つ。

またチョコレートやプロティンパウダーに配合して、乳化剤の役割をすることでも知られている。原料は大豆油からとるのが一般的である。

[マルチトール]

“シュガーカット”の原料で、水あめのように甘いけれど体内に吸収・利用されないのでカロリーはほとんどゼロである。太りたくない女性に人気があるが、一度に食べすぎると下痢をおこすことがあるから、少しずつ量をふやしてゆくとよい。

マルチトールを使用したジャム、ママレードなども販売されている。いずれも普通品に比べてカロリーは1/10程度である。
月刊ボディビルディング1977年2月号

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