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☆どう利用したらいいか☆
健康食品

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月刊ボディビルディング1974年9月号
掲載日:2018.07.26
野沢秀雄

健康法があふれている

 健康法をのべた本がベストセラーになり、2匹目のドジョウをねらって出るわ出るわ。「にんにく健康法」「しいたけ健康法」「レモン健康法」「玄米食健康法」「ムギ健康法」「酢の健康法」「海藻健康法」「ビタミンC健康法」「くこ健康法」「やせる健康食」……。このような食事による健康法が広まるのと同時に、健康食品がどこの街でも店頭にならび、人びとはいったい何が本当に効果があるのかとまどうばかりである。そこで今月は健康食品について徹底分析してみよう。

トレーニングにまさる健康法なし

 ひとくちに「健康」といってもそれを追求する手段はさまざまである。病気の人はさておいて、ふつうの人がもっと健康になりたいと思った時に、①ビタミンや保健薬を飲む、②ドリンク剤や健康食品を食べる、③日常の食生活を充実させる、④体力づくりのトレーニングをおこなう、⑤サウナなどでマッサージをうける、⑥日光浴やゴルフをする、⑦漢方薬やハリなどにかかる、⑧健康器具を使ってみる、⑨ヨガや禅などの道場にいってみる等、ザッと考えてみてもこれだけあるが、なんといっても直接効果のあるのが、ボディビルなどのトレーニングだ。

 なぜなら保険薬や健康食品、その他の方法にいくら気をくばっても、「積極的に体を動かす」という動物本来の機能を忘れて、ノラリクラリ、ダラダラした生活では体がなまってダメになるのは目にみえているからである。サラリーマンの仕事でも体を使う仕事はどんどん減り、監視作業や事務作業が増えるばかりである。これでは自然に持っていた力は失なわれ、体もひ弱くなるのは当然であり、その報いが中年や老年になってあらわれるように思えてならない。

 だから読者の中に、ろくにトレーニングをしないで、ぜいたくな食事、高価な健康食品、ドリンク剤や薬品などにたよっている人がいたらそれはまちがいである。トレーニングと食事の比率は人によって重要さはちがうが、ふつうの人ならトレーニング90%、食事10%といって差しつかえない。(トレーニングを水準以上にやっている人にとっては、トレーニング50%、食事50%、あるいは30%対70%にまでなることがありうるが……)このことをわきまえて、食事法の本や記事を読んでいただきたい。
記事画像1

どんな食品も健康に効果がある

さて健康食品というといかにも効果があり、ほかの食品は健康とは関係がないと錯覚しがちである。これまでに何度か述べたように、1カロリーは426kg/m、すなわち1kgの物体を426mの高さまで持ち上げる力を持つので、わずかスプーン1杯(約4g)の砂糖でも約16カロリーあって、ものすごいエネルギーになることがわかる。

 それだけではない。私たちが毎日食べている米や小麦は胃腸の働きを強め炎症をなおす効果を持ち、とうもろこしはむくみをとり、強壮強精、利尿剤としての効果、なすびは口内炎・はれもの・ガンの予防・治療。もやしは強壮・浄血・消化促進、レバーは造血・解毒・鎮痛・胃腸強化、といったように、知らず知らずに体の要求にこたえて、口から入ったものは健康に役立っている。古来「食は医なり」「薬補万補不如食補」(薬をあびるほど飲んでも食事の効果には及ばない)といわれる言葉はこのことをさしている。

ぜいたくな食事が敵である

 以上のように、食事はすべて健康とかかわりあっており、生きることイコール食べることなのだが、反面、よい食べ方、わるい食べ方でその人の健康状態が変わってくるのも事実である。

 たとえば「おれは辛党だから、濃い味が好きだ」と塩分の多い食事をしていると高血圧になりやすい。また熱いみそ汁やお茶づけを食べる人に胃かいようや胃ガンが多いともいわれる。そして魚肉ソーセージには、いま問題になっているAF2のほか、ピンク色のおいしさを出すために亜硝酸塩が使用され、一部の人はこれがガンの原因になると指摘している。

 けれどもなんといっても重要なことは「美食と過食」すなわち、ぜいたくな食事の食べすぎである。余分なカロリーは体脂肪合成を促進させ、肥満・動脈硬化をおこし、脳卒中・心臓病・肝硬変・糖尿病・痛風・腰痛・胆石といった症状を招くことになる。

 逆に食事に注意を払って、たとえば玄米食や無漂白小麦を使ったパンやクッキー、あるいは黒糖、三温糖などの食事にかえるだけで、微量なミネラルやビタミンが摂取できるので都合がよい。植物性の油は血中コレステロールを低下させ、いつまでも若々しい血管を保つために効果がある。また激しいトレーニングのあとに果糖はすばやくエネルギーの回復に役立ち、たんぱく質の多い食品は筋肉の肥大に効果を持ち次回からの負担に耐える体制をつくってくれる。そして食べすぎないようにカロリー計算ができるようにならば、種々の成人病もそれほど怖くないことがわかる。

ホイホイ売られているものに用心

 結局、健康食品は良い食事法をするための一つの手段である。だから人それぞれによって、自分の生活や体質にあったものを選べばいいのだ。健康食品の中に、金儲け主義に走るあまり、万病に効くとか、どんな人にも効果があるとか、巧みにPRし、あたかもそれさえ食べれば、ほかの食事やトレーニングに関係なく、絶対に健康になると販売している商品がしばしば見られるのはまことに残念である。

 たとえば某社は、はちみつにわずか数パーセントのローヤルゼリーを混ぜて、これを100gびん入り2万円で売っている。それも例のネズミ講方式なので、製品の良さよりもいかに組織をつくるかに熱中し、かんじんの食品は誰もろくに食べないのだという。同様な例は、にんにく玉や人蓼茶、あるいはしいたけエキスなどにも見られ、何千円という実際以上の高い値段がつけられ、せっかくの商品が、儲けるために使われている。

 本当に健康増進のために使用するなら、こんな商品は失格である。何の成分がどれだけ含まれているか説明をきき、薬品的に売られているものなら、それが医学部や薬学部でどんな試験がおこなわれ、文献として発表されているものか、つっこんできくとよい。信頼できるメーカーのものならば、基礎的なデータを持ち、良心的な売り方を心がけているものだ。

 健康食品の定義や分類については次号にページをゆずり、今回は自分で自分にあった健康食品をえらべるように読者のみなさんがが豊かな知識を身につけられるよう希望してペンをおくことにしよう。
月刊ボディビルディング1974年9月号

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