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☆1981年度IFBBオールジャパンを目指しての…………
私の食事法とトレーニング法

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月刊ボディビルディング1982年7月号
掲載日:2018.12.11

1981年度IFBBオールジャパン・ミドル級4位 矢萩勝利

生年月日 昭和28年4月30日(29歳) トレーニング経験 4年

《体 位》
身長 173cm
体重 普通時 82kg 大会時 78kg
胸囲 平常 110cm 最高 118cm
上腕囲 右最高 43.5cm 左最高 43cm
腹囲 74cm
皮下脂肪(腹部) 5mm
大腿囲 右 63.5cm 左 63cm
首囲 40cm
手首囲 18cm
足首囲 22cm
カーフ 44cm

《パワーの記録》
ベンチ・プレス 140kg
スクワット 170kg
デッド・リフト 240kg
スタンディング・プレス 90kg
カール 90kg
チンニング回数 20回

《トレーニング内容》
 オフ・シーズンは下記のA・B・Cの3コースを週2回ずつ、シーズン中はA・Bの2コースを週3回ずつ循環し、6日トレーニングして、1日休養日とする。1日当りのトレーニング時間はだいたい2時間30分。

◎オフ・シーズン

Aコース−−胸、上腕二頭筋、腹
Bコース−−背、上腕三頭筋、腹
Cコース−−脚、肩、僧帽筋、腹

◎シーズン中

Aコース−−胸、背、三頭筋、腹
Bコース−−脚、肩、僧帽筋、二頭筋、腹

 各筋肉部位のトレーニング種目と使用重量、セット数は次のとおり。

〈胸〉
①ベンチ・プレス 50〜130kg 7セット
②インクライン・プレス 60〜100kg 5セット
③ダンベル・フライ 40kg 4セット
④バー・ディップス 20〜60kg 4セット
⑤バーベル・プルオーバー 25kg 4セット

〈背〉
①チンニング 無負荷 5セット
②ラット・マシーン・プルダウン 50〜80kg 5セット
③プーリー・ロウイング 50〜70kg 5セット
④バーベル・ベント・ロウイング 60〜120kg 5セット

〈肩〉
①バック・プレス 50〜80kg 7セット
②シーテッド・ダンベル・プレス 30〜40kg 5セット
③ダンベル・サイド・ラタラル 10〜20kg 5セット
④プーリー・サイド・ラタラル 5〜10kg 5セット

〈僧帽筋〉
①バーベル・シュラッグ 100〜140kg 3セット
②アップライト・ローイング 40〜60kg 3セット

〈上腕三頭筋〉
①ライイング・トライセップス・エクステンション 20〜50kg 5セット
②ラット・マシーン・プレス・ダウン 20〜40kg 5セット
③ワン・アーム・トライセップス・エクステンション 10〜15kg 5セット
④ベント・オーバー・キック・バック 10〜20kg 5セット

〈腹〉
①シット・アップ 3セット
②サイド・ベンド 3セット
③インクライン・レッグ・レイズ 3セット
④ツイスト 5分間

〈上腕二頭筋〉
①シーテッド・バーベル・カール 30〜70kg 5セット
②プリーチャー・カール 35〜55kg 5セット
③ワン・アーム・ケーブル・カール 5〜10kg 5セット
④インクライン・カール 10〜20kg 3セット
⑤コンセントレーション・カール 20kg 3セット

《食事内容》
普通時の食事内容
〈朝食〉−−8時ごろ
トースト(ジャム付)1枚、バナナ1本、プロティン・ジュース(牛乳300cc、プロティン大さじ3杯、タマゴ4個、ハチミツ大さじ1杯)
〈昼食〉−−12時ごろ(外食)
ごはん1杯、肉または魚1人前、タマゴ料理、牛乳200cc
〈夕食〉−−9時ごろ(外食)
昼食とほぼ同じ
〈間食〉−−15時ごろ
ゆでタマゴ2個、牛乳1本
〈間食〉−−23時ごろ
果物(みかん、りんご等)2〜3個、牛乳400cc

減量時の食事内容
〈朝食〉−−8時ごろ

普通時と同じ
〈昼食〉−−12時ごろ(外食)
普通時と同じ。ただ牛乳が500ccとなる
〈夕食〉−−21時ごろ(外食)
普通時と同じであるが、ごはんを抜き、牛乳が500ccとなる
〈間食〉−−21時、23時ごろ
普通時とほとんど同じ
記事画像1

矢萩選手の食事診断……野沢秀雄

 IFBBオールジャパン・コンテストプロの部で2年連続優勝した坂口賢三選手が、2枚目のレコード「つよがり」「夕陽の中でさようなら」を発売したのは今から3年前になる。
 テレビや舞台のキャンペーンで、バックでポージングをとる選手を務めたのが平井ボディビルセンターの熊岡会長と当時和歌山に来て間もない矢萩選手であった。
「短期間にすごい体になった選手が和歌山の自分のジムにいる。車に乗って和歌山に来て、そのまま和歌山に住んでトレーニングしている」と、坂口選手から聞いていた。
 矢萩選手は北海道の帯広の出身。途中自衛隊体育学校でボクシングの選手をしており、東京都大会で2位になったことがある。学生時代から器械体操をやったりしてスポーツの素質に恵まれていた。「ボディビルをやるのなら和歌山が盛んのようだから行ってみよう」と布団をつみこんだマイカーで道を尋ねながら和歌山トレーニング・センターにたどりついた。
 当時は62〜65kgの体重しかなかったが、「やるだけやってみよう」とベストを尽くした結果、今は体重82kgと、20kgも筋肉質のままバルクを増やすことに成功している。
「ちょっと和歌山に来るつもりが、もう4年になった」と、矢萩選手は明るく語っている。
 余談ながら坂口選手のレコードは今でも有線放送にリクエストが多く、東京新宿の喫茶店で流されていたのを聞いたことがある。さらに現在は博多女をテーマにした「中洲人形」のレコードが発売になっており、ヒットしそうな勢いという。ご同慶の至りである。

1.ふつう時の食事内容

 矢萩選手は体質的に中胚葉型で、恵まれた体質である。内胚葉型の人は、練習を中断したり、ちょっと食べすぎるとすぐに脂肪がついて、デフィニションが得られにくい。
 逆に外胚葉型の人は、いくら練習を懸命におこなっても、またどんなに多く食べようと努力しても、体重はなかなか増えてくれない。「脂肪でもいいから増やしたい」と望む人がいるくらいだ。
 この点、中胚葉型体質の人は筋肉質で、努力さえすれば比例的にバルクが付いてくる。先天的といっていいほど体力にも恵まれて、激しいトレーニングをこなしてゆける。
 矢萩選手ももともとは細かったのが努力でここまで達したわけだ。毎日2時間半ずつ週6日、限界いっぱいのトレーニングしている。
 食事面でも「とにかく体を大きくする段階」であり、苦しいダイエットは あまりせずに、何でも好きなものを食べている。脂肪の付きすぎはあまり心配ない体質だからといえるが、これだけ熱心に練習しているので、エネルギーが消耗されて、脂肪に変らないとも判断される。

①総カロリー2800、たんぱく質175g(体重1kg当り2.1kg)、脂肪125kg、炭水化物240g(全体の45%)という構成になっている。
②カロリーそのものが、ボディビルを毎日実行する人にしては、やや少ないわけだ。普通は3500カロリーくらいとる人が多い。
③脂肪が付きすぎていない理由は、このようにふだんから過食していないためと考えられる。
 バルク・アップをさらにしたいならあと400カロリーくらい、主として、ごはん・麺類・パンなど炭水化物を増やしてかまわない。
④たんぱく質や脂肪の量はちょうど良いので、炭水化物を増やすのが適当である。2時間半の集中したトレーニングを支えるエネルギー源として活用されてゆく。
⑤量としては、朝のトーストを2枚にすることと、昼や夜のごはんを大盛りにする程度でよい。あるいは間食の牛乳にプロティンをまぜて飲むこともよい。
⑥卵の数は、朝4個、昼2個、タ2個、間食2個と、合計して10個の計算にしている。また、牛乳は朝300cc、昼200cc、タ200cc、間食600ccと、1日に1.3ℓになる。
 今のところ多いとは思われないが将来30才後半になれば、卵は1/2くらいに減らして、その代わりに植物性の納豆や枝豆、とうふなどを採用するとよい。
⑦外食が多く、また加工食品が中心であれば、微量な栄養素、ビタミンやミネラルが不足する心配がある。そこで、意識して、色の濃い野菜や小魚・レバーなどを食べていただきたい。
⑧総合的にみて、無理のない完成されたパターンの食事法といえる。現代の栄養学は、食品素材をなるべく数多くとることをすすめている。魚の種類をその時どきで変えたり、肉も・牛・豚・鶏・鴨・うさぎなど、種類をいろいろ変えるとよい。

2.減量時の食事内容(−4kg)

 82kgから78kgへと4kg減量にはなっているが、ふだんから少な目の食事なので、腹囲74cm、皮下脂肪5ミリという望ましい数字が比較的維持されている。その選手の体質と同時に、ふだんからの心がけが重要であることがよくわかる。

 矢萩選手の場合はオフシーズンも、コンテスト前も、基本的には食事法が変らない。そのぶん、トレーニングを目いっぱいやれるので賢明である。ろくに食べないで苦しい練習を続けることは健康上も無理である。これからも急激な減量はしないほうがよい。

①総カロリー約3000、たんぱく質190g(体重1kg当り2.4g)、脂肪145g、炭水化物230g(全体の40%)という構成になっている。
②ふつう時と異なるところは、夕食がごはん抜きになっていること、代りに牛乳の量が昼と夕食の2回、500ccにふえていることである。その結果として、数字に変化が現われて、カロリーや脂肪は、ふつう時よりも大きい数字になっている。
③コンテスト前は必然的に練習量がふえるので、本来はこのようにカロリーがふえても当然なのである。そしてトレーニング面で腹部を中心に、高回数制で練習するので、その結果体重は減り、デフィニションがいっそう明瞭な体になってゆく。
④午後3時と夜11時ごろ、間食として軽食をとっている。「かえって脂肪がついて太るのではないか?」と心配する人があるかもしれない。前から述べているように、1日2食にするより、5食にして、わけてカロリーをとるほうが脂肪はつきにくい。
⑤強いていうなら、午後11時の夜食はやめて、そのぶん翌朝にしっかり食べるとよい。

−−−いずれにしろ、矢萩選手はデフイニション型のカットが良い体質を持っているので、これを失なわずにバルクアップをはかることが課題である。肩・腕・脚と、着々とサイズが増しているので、旧JBBAの一流選手たちと対等に戦ってゆけるだろう。
月刊ボディビルディング1982年7月号

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