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<ベンチプレス>高頻度トレーニング導入までの流れ

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掲載日:2016.11.25
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高頻度トレーニングを導入する場合、導入までにいくつかの項目を順序だって決めることになり、その導入までに決めなければならない項目と順序は、下記のようになります。
トレーニングの頻度を決める
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メイントレーニングの日とサブトレーニングの火を決める
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それぞれのトレーニング内容を決める
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高頻度トレーニングの導入
■トレーニング頻度を決める
高頻度トレーニングを導入する場合、まずは「週に何回トレーニングを行うか?」という、頻度を決めることになります。

先に述べたように週に4回以上の頻度から高頻度トレーニングとなるため、少なくて4回。また、回復やルーティンの組み立てを考えて週に2回はオフの日が必要になるため、多くて5回。週に4回、もしくは5回の頻度でベンチプレスのトレーニングを行うことになります。

ただし、今まで週に2回程度の頻度でトレーニングを行っていた人が、突然週に5回の頻度でトレーニングを行うと、通常は回復が追いつかなくなってしまいます。このため、週に5回の頻度でトレーニングを行う場合、まずは週に4回の頻度の高頻度トレーニングを導入し、対応できた後で頻度を5回に増やすようにします。

なお、高頻度トレーニングでの頻度別のトレーニングルーティンの基本形は、表2のようになります。
【表2】 高頻度トレーニングでの頻度別のオンとオフの振り当て

【表2】 高頻度トレーニングでの頻度別のオンとオフの振り当て

■メイントレーニングの日とサブトレーニングの日を決める
トレーニングの頻度を決めたら次は、意識的に重点を置くメイントレーニングを行う日と、補助的な意識で行うサブトレーニングの日を決めることになります。基本的にオフの火の後の日にメイントレーニングを行い、2日連続以上となるときにサブトレーニングを行います。基本的な頻度別のメイントレーニングとサブトレーニングの振り当てを示すと、表3の様になります。
【表3】 高頻度トレーニングでの頻度別のメイントレーニングとサブトレーニングの振り当て

【表3】 高頻度トレーニングでの頻度別のメイントレーニングとサブトレーニングの振り当て

オフの後の日がメイントレーニング、前日にトレーニングを行っている日がサブトレーニングになるわけですが、頻度が週に4日のパターンCの場合だけオフの後の日にサブトレーニングを行っている日があります。通常で考えればオフを撮り、回復した状態だとメイントレーニングを行いたいところですが、パターンCの場合はオフの日の後にトレーニングを行う日が週に3日もあります。

通常、メイントレーニングはトレーニングの強度が高くなり、肉体的にも精神的にもサブトレーニングよりきついトレーニングになります。そのため高頻度トレーニングで3日もメイントレーニングを行ってしまうと疲労がたまり、モチベーションを保つのも難しくなってきます。このような理由から、高頻度トレーニングは頻度に関わらずメイントレーニングは2回までとし、残りはサブトレーニングを行うようにします。
(特殊な高頻度トレーニングを除く)


■トレーニング内容を決める
・トレーニング内容を決める際の注意点
メイントレーニングを行う日とサブ トレーニングを行う日を決めたら、それぞれのトレーニング内容を決めることになります。順番としては先にメイントレーニングの内容を決め、その後にメイントレーニングの内容に応じてサブトレーニングの内容を決めることになるわけですが、それぞれのトレーニング内容を決める際に注意しなければならない点がいくつかあります。

まず、メイントレーニングを決める際の注意点ですが、週に2回のメイントレーニングのうち、1回を地力アップを目的とした8回狙いのトレーニング、もう1回を筋力アップを目的とした5回狙いのトレーニングといったように、2つの異なる目的を持った別々のメイントレーニングを行わず、必ず同一の目的とメニューのトレーニング、それもできるだけ地力アップをメインとするトレーニングを2回行うようにします。

先に述べたように高頻度トレーニングでは週に4回から5回のトレーニングのうち2日メイントレーニングを行うわけですが、週に4日の高頻度トレーニングで1日を地力アップ、もう1日を筋力アップといったように別々のメイントレーニングを行った場合、意識的に重点を置いて行うメイントレーニングで自力アップのトレーニングが行えるのが1週間に1回。

週に4回のトレーニングのうちの1回ということで、1週間での割合は1/4になり、残りの日に行うトレーニングの1週間での割合が3/4になってしまいます。「記録を伸ばすために最も重要となる地力アップのトレーニングの割合より、その他の補助的なトレーニングの割合のほうがはるかに多い」状態になってしまうわけです。

こう聞くと分かりにくいかもしれませんが、「スクワットの記録を伸ばしたいのにレッグ・エクステンションばかり行っている」と言ったらどうでしょうか。明らかに間違っていることがわかるはずです。

こういったことがないように、高頻度トレーニングでのメイントレーニングは、同一の目的とメニューの、地力アップを目的としたトレーニングを行うようにします(ただし、同一の目的とメニューの、力を引き出す筋力アップ・神経系強化のトレーニングを行うパターンもある)

次に、サブトレーニングを決める際の注意点ですが、連続でトレーニングを行う日が最高で2日の場合は同一のサブトレーニングを行い、連続でトレーニングを行う日が最高で3日の場合は2種類のサブトレーニングを行います。頻度が4回のパターンAであれば、2日目と5日目に行っているサブトレーニングは同じ内容となり、頻度が5回であれば、2日目に行っているサブトレーニングは同じ内容となり、頻度が5回であれば、2日目に行っているサブトレーニングと、3日目と6日目に行っているサブトレーニングは、別々のトレーニングを行うことになります。


・メイントレーニングの内容
高頻度トレーニングでのメイントレーニングは筋力アップ・神経系強化のトレーニングを行うこともありますが、基本的にはパワーフォームでの基本的なトレーニング、基本的なトレーニング+α、K's式メイントレーニングなどの、地力を上げるトレーニングを行うことがほとんどです。ただし、通常のトレーニングのように次の日にオフを撮らないため、メインセットやサブセットで無駄にセット数を多くしないようにし、ただ単に追い込むだけのセットは絶対に行わないようにします。
また、補助種目もメイントレーニングの日には行わず、サブトレーニングの日にだけ行います。


・サブトレーニングの内容
高頻度トレーニングでのサブトレーニングは、基本的には体を作る事を目的にしたトレーニングや、力を引き出すことを目的としたトレーニングを行うことになります。体を作るためのトレーニングとしては、ダンベルプレスなどの補助種目を取り入れることもありますが、高頻度トレーニングの場合は、肩甲骨の寄せと上半身のブリッジを作ったうえで床から足を浮かせた状態でベンチプレスを行う、「足上げベンチ」を取り入れることが多くなっています。
肩甲骨の寄せと上半身のブリッジを作ったうえで床から足を浮かせた状態で行う「足上げベンチ」。

肩甲骨の寄せと上半身のブリッジを作ったうえで床から足を浮かせた状態で行う「足上げベンチ」。

この足上げベンチは、パワーフォームなどの全身の力を使って挙上するフォームと比べて不利な状態の挙上の難しいフォームとなり、体作りに役立ちます。ただし、パワーフォームと比べて肩甲骨の寄せが甘くなること、挙上の角度からどうしても肩の関与が増えるという事から、うまく行わないと肩を怪我する可能性もあり、取り入れる場合は注意が必要になってきます。

力を引き出すためのトレーニングとしては、パワーフォームでの高重量・低回数のトレーニングが基本になりますが、その他にも「トップサイドベンチ」や「尻上げベンチ」といったような挙上幅を制限したり、挙上角度を変えることで普段よりも高重量が扱えるトレーニングを取り入れることもあります。
旨の上に板等を置く、バーにクッション等を巻くことによって挙上幅を制限して行う「トップサイドベンチ」

旨の上に板等を置く、バーにクッション等を巻くことによって挙上幅を制限して行う「トップサイドベンチ」

トップサイドベンチは通常はパワーフォームを組み、胸の上に厚みのある板等を置いて挙上幅を制限して普段よりも高重量でベンチプレスを行います。
胸の上に物を置く方法だと挙上時にそれがずれたり、バーが見えづらくなることもあるので、そうならないようにバーにクッション等を巻いて行う方法もあります。

トップサイドベンチを行っている人の中には、胸に板等を置いたりバーにクッション等を巻いたりせずに、自身の感覚だけでトップサイドベンチを行っている人もいますが、
感覚だけに頼ると挙上幅が一定にならず、トレーニングの強度も変わってくるため、必ず危惧を使ってトップサイドベンチを行うようにしてください。
両足をしっかりと踏ん張り、尻をベンチ台から浮かして行う「尻上げベンチ」

両足をしっかりと踏ん張り、尻をベンチ台から浮かして行う「尻上げベンチ」

尻上げベンチはその名の通り尻を浮かした状態で行うベンチプレスで、トップサイドベンチと同様に挙上幅が減ることで普段よりも高重量が扱えるだけでなく、
挙上角度がデクライン気味になることで肩の負担が軽減するため、肩を怪我していても行える可能性があること、肩甲骨の寄せを意識しやすく、肩甲骨を寄せる練習になること、
足をしっかりと踏んばり、足からの運動によって挙上する意識が持ちやすいことなど、様々な特徴があります。

ただし、トップサイドベンチや尻上げベンチといった、パワーフォームを基準とした際により有利となるフォームばかりでトレーニングを行っていると、
肝心のパワーフォームでの挙げ方を身体が忘れてしまうため、あくまでサブトレーニングの中で、補助的な意味合いで行うようにします。
高頻度トレーニングに対する疑問と誤解を解き、その後に高頻度トレーニングの導入までの流れを紹介してきました。
トレーニングを行う頻度を決め、その後にメイントレーニングを行う人サブトレーニングを行う日を決め、最後にそれぞれのトレーニング内容を決める。

ここまで決まれば「それじゃ高頻度トレーニングをやってみようか!」となるわけですが、
今まで週に2回程度のベンチプレスのトレーニングを行っていた人が突然週に4回から5回トレーニングを行うと、通常は回復が追いつかず、どんどん調子を落としてしまいます。
そうならないように以前紹介した『やり直し』を活用し、重量を下げたトレーニングで徐々に体を高頻度トレーニングに慣らしていくことになります。
  • ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1)平成23年9月1日初版1刷発行
    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


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