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【ウエイトトレーニングの障害予防への効果】スポーツ外傷、スポーツ障害

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掲載日:2016.12.14
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ポイント2-13. ウエイトトレーニングの障害予防への効果

①単発的に身体に加わる大きな衝撃をやわらげる能力が向上し、スポーツ外傷の予防と軽減に役立つ
②繰り返し加わる比較的小さな衝撃に持ちこたえる能力が高まり、オーバーユースによる障害の予防と軽減に役立つ
③フォームや姿勢が安定し、悪いフォームによる障害の予防に役立つ
④障害を起こしにくい安全な動作の習得や、効率のよいパワーの発揮能力の向上に役立ち、障害予防に好影響をもたらす
⑤障害発生からの復帰の促進や再発予防に役立つ

ウエイトトレーニングのもう一つの効果として、障害予防が上げられます。障害の予防は、どうしても消極的に捉えられがちですが、ケガによって練習を休んだり、大事な試合にケガで参加できなくなる可能性を減らすことができるということは、選手や指導者にとって大変意義深い効果といえます。

効率的な障害予防を図るためには、ウエイトトレーニングを実施すると共に、ウォーミングアップやクーリングダウン、ストレッチング、食事や休養、競技動作のチェック、練習計画の見直しなど、さまざまな要素の改善を図ることが大切です。

ポイント2-14.

ウエイトトレーニングによる筋力強化は、単発的な大きな衝撃によっておこる「スポーツ外傷」の予防と軽減、再発予防に役立つ

コンタクトスポーツにおいては、プレー中に大きな衝撃が加わる機会が多く、 筋力強化によるスポーツ外傷の予防の効果が期待される

コンタクトスポーツにおいては、プレー中に大きな衝撃が加わる機会が多く、 筋力強化によるスポーツ外傷の予防の効果が期待される

スポーツにおいては、他の選手との強い衝突や転倒、無理な体勢での急激なストップやジャンプからの着地の失敗など、身体の一部に瞬間的に大きな衝撃が加わることによってケガをする危険性があります。

このように、1回の大きな衝撃を受けることによって発生するケガのことを「スポーツ外傷」と呼んでいますが、ウエイトトレーニングによって筋力を強化している人は外部から加わる大きな衝撃に対する耐性にすぐれており、筋力の弱い人に比べてスポーツ外傷が発生する可能性が低く、例えケガをしたとしても軽症で済むと考えられます。

身体にかかる大きな衝撃から身を守るためには、これに持ちこたえられるだけの最大筋力や、危険な衝撃を和らげる動作や身のこなしを養っておくことが必要です。特に、下半身には自分の体重が衝撃力を強める要素として作用するため、膝や足首を保護するためには、自分の体重に見合った脚筋力を身に付けておくことが大切です。

ウエイトトレーニングにおける筋力の目標値を設定する際には、「体重の~倍の重量」というように、自分の体重を基準にして考え、自分の体重や体型に見合った筋力を身に付けるようにします。

ポイント2-15.

ウエイトトレーニングによる筋力強化は、比較的小さな衝撃が何回も反復して加わることによって起こる「スポーツ障害」の予防と軽減、再発防止に役立つ

ランニング中には片足に体重の3~4倍の負荷が加わる

ランニング中には片足に体重の3~4倍の負荷が加わる

日頃のスポーツ活動の中では、さまざまな衝撃や負荷が身体の各部位に繰り返しかかっており、これらが蓄積することによって障害が発生する場合があります。このように反復して身体にかかる衝撃や負荷によって発生するケガのことを「スポーツ障害」と呼んでいますが、一回の大きな衝撃のよる「スポーツ外傷」と同様に、ウエイトトレーニングによって筋力を高めておくことが「スポーツ障害」の予防にも効果的です。

例えば、歩行の際には片足に体重の1.1倍から1.2倍程度の衝撃しか加わりませんが、ランニングになると、持久走程度のペースでも片足に体重の3~4倍の衝撃が加わります。また、ダッシュからの急激なストップや方向転換の際には、瞬間的にさらに大きな衝撃が加わってくると考えられます。

1回あたりの衝撃はそれほどでもなくても、これが反復して加わることによって起こるスポーツ障害を予防するためにも、体重に見合った筋力が必要と言えます。
  • 競技スポーツのためのウエイトトレーニング2001年6月30日初版発行
    著者:有賀誠司
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社