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【ウエイトトレーニングの障害予防への効果】スポーツ外傷、スポーツ障害②

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掲載日:2017.02.06
記事画像1
スポーツの動作の中では、腕や脚部のように動的に動かす部位と、体幹部のように静的にしっかり固定しておくべき部位の2つがあります。ウエイトトレーニングにおいては、動的に動く部位とともに、静的に動く部位についても効率よく強化することができます。例えば、図2-6のようにバーベルを肩に担いでしゃがんだり立ったりする動作を行うスクワットでは、腰背部を常に一定の正しい姿勢で維持するフォームを身に付けることができ、プレー中の正しい姿勢の保持や腰の障害の予防に効果的であると考えられます。

一方、外部からの衝撃に持ちこたえ、正しいフォームで安全なプレーを行うためには、からだの各部位の関節周辺の筋肉をバランス良く強化しておくことも大切です。例えば、膝の関節の安定性を高めるためには、太ももの前だけでなく、後ろ側の筋肉も強化しておくことが必要であると言われています。また、腰痛を起こしやすい選手の場合には、動作中に腰背部の姿勢が崩れて腰椎に負担がかかりやすい傾向にあるため、体幹部周辺の筋群(特に腹筋と背筋)をトータルに強化しておくことが重要であるといえます。
図2-6 スクワット動作における各筋肉の役割

図2-6 スクワット動作における各筋肉の役割

一般的筋力を高めるためのウエイトトレーニングの実施にあたっては、からだの左側と右側、上半身と下半身、押す動作と引く動作、間接を伸ばす動作と曲げる動作などの筋力バランスを考慮しての強化を図るのがポイントと言えます。
ポイント2-17.
ウエイトトレーニングでは、筋力バランスの改善を図ることができる
多くのスポーツにおいては、よく使う部位とあまり使わない部位があり、各部位の筋力や筋肉の発達度合いがどうしてもアンバランスになりがちです。このような筋力のアンバランスは、そのスポーツに都合がいいようにからだが適応した状態であり、高度なパフォーマンスを追求する選手にとってはある程度必要なことですが、これがエスカレートしすぎると傷害の原因となる場合も考えられます。

ウエイトトレーニングでは、スポーツでよく使う部位や動きの強化を行うことはもちろんですが、筋力バランスを考慮して、競技においてあまり使用しない部位や動きの強化も並行して行っておくことが大切です。
ポイント2-18.
ウエイトトレーニングにより、安全で効率の良い(ムダのない)動きが習得でき、これが傷害予防につながる
スポーツで発生するけがを予防するためには、筋力を高めることが必要ですが、筋力やパワーをムダなく発揮する能力や、安全で正しい動きを身に付けることができなければ、せっかく高めた筋力をけがの予防に生かすことができません。

ウエイトトレーニングを正しい動きで実施していくと、より少ない労力で大きなパワーを生み出す動きを身に付けることができるようになります。このため、日頃の練習の中でも、プレー中にかかる衝撃や負荷を和らげる能力が高まるとともに、さまざまな動作をより効率よく、エネルギーのロスの少ない動きで行えるようになり、オーバーワークを招きにくくなります。このことがけがの発生の低下につながると考えられます。

一方、ウエイトトレーニングの基本的な動作は、大きな力やパワーを生み出す動きを養うとともに、けがをしにくい安全な動きをマスターするためにも役立ち、このような動きをからだに覚え込ませることによって、プレーにおけるけがの発生の危険性を低下させることができると考えられます。例えば、スクワットでは、しゃがむ動作で膝がつま先より大きく前に出てしまうような動きでは力が発揮しにくく、重いウエイトを持ち上げることができません。このため、おしりを後ろに突き出すようにして、膝だけでなく股関節の動きを協調的に使って動作を行うようにしますが、このような動きを身に付けておけば、ジャンプ力などのパフォーマンス向上に役立つと同時に、ジャンプからの着地やさまざまな動きの中で膝にかかる衝撃をやわらげる効果を得ることもできます。
  • 競技スポーツのためのウエイトトレーニング2001年6月30日初版発行
    著者:有賀誠司
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社