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【減量】1ポンド(約450g)の脂肪を落とすには?

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掲載日:2017.03.09
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1ポンド(約450g)の脂肪を落とすには

多くの運動生理学者や栄養学者たちは、3500キロカロリーが1ポンド(約450g)の脂肪に匹敵すると言っています。彼らによれば、体が必要とするよりも3500キロカロリー余計に食べたときに、1ポンド脂肪が蓄積されるということです。もし、体が必要とするよりも3500キロカロリー少なく食べたなら、1ポンド脂肪が減るのです。1ポンドの脂肪を落とす別の方法は、食べる量は同じに保ち、運動で3500キロカロリーを燃焼させるというものです。ほとんどの学者は、カロリーの摂取量を減らしながら運動量を増やし、脂肪を落とすという方法を勧めています。

しかし、実験室の中の運動生理学は、現実の世界とは違います。たとえ、その分野で博士号をもっていたとしても、彼の唱える理論が常に正しいとは限りません。脂肪を減らして筋肉を得るのに、ときには科学より常識のほうが役に立つことがあります。これから、1ポンドの脂肪を落とすための僕が信じる方法を述べましょう。

脂肪を落とすためには、カロリーを減らさなければなりません。しかし、あまり過激にカロリーを減らすと、体はその不足分を補おうとして、脂肪を燃料として蓄えようとします。体を脂肪燃焼モードに変えるような不足分とは、全カロリーの約10%なのです。一日に2400キロカロリー取っている人ならば、240キロカロリー減らすだけで脂肪が減ります。これでいくと、14日で1ポンドの体脂肪を減らすのに十分なカロリーが体から出て行くことになります(約3360キロカロリー)。しかも、このくらいでは、あまり食事の内容は変わりませんので、本人もダイエットをしているという感じにはなりません。ですから、長い間ダイエットできるというわけです。また、ハードにトレーニングし、筋肉を発達させるのに十分なだけ食べられますし、それほど厳しくカロリーを減らしているわけではないので、代謝も安定しています。それに厳しいダイエットはエネルギーを奪うので、筋肉を発達させたり維持したりするためのトレーイングができなくなってしまうのです。

140日、つまり今述べた14日間ダイエットを10サイクル行ったところで、健康に関する専門家の計算によれば、10ポンドの脂肪が減っていることになります。しかし、実際はもっと多くの脂肪が減るのです!体脂肪が1ポンド減るたびに、体組成(筋肉と脂肪の割合)が変わるからです。脂肪が減れば減るほど、この割合は望ましいものになります。そして、この割合がより望ましいものになれば、代謝も上がるのです。代謝が高く、筋肉と脂肪の割合が筋肉の方に傾いている場合、脂肪の減少は速まります。

これと似たような例があります。10000ドルを銀行の口座に寝かせておくと、利息が10パーセント付くので10年で20000ドルになるとほとんどのひとは単純に考えますが、実際には25000ドル以上になるのです。このように、カロリーをゆっくりと減らしている人は、最初の計算上よりも多い、25%以上の脂肪を落とすことができるのです。そして、トレーニングを正しく行えば(カロリー摂取を急激に減らしていないのでハードにトレーニングできるはずです)、さらに新しい筋肉を発達させ続けることができ、そうなれば代謝が上がるので、さらに渋尾が減っていくというわけです。

もう一点付け加えておくと、体脂肪がゆっくりと落ちた場合、体はインスリン(炭水化物を食べたときに得られるグルコースに反応して分泌される)の分泌を少なくすることによって、その状態に適応し始めます。このインスリンのレベルが下がれば、脂肪の分解が行われやすくなり、蓄積はされにくくなります。

結果、1ポンドの脂肪を燃やすのに必要なカロリーは、3500というのが妥当なところですが、この値はしばしば誤解され、うまく適用されないことが多いのです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

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