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高頻度トレーニング導入期間のトレーニングでの注意点

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掲載日:2017.06.15
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導入期間のトレーニングでの注意点

・必ずあらかじめ決めた回数とセット数でトレーニングを行う
・インターバルを短くし過ぎない
・サブセットは行わない
・メイントレーニングの日に補助種目は行わない
高頻度トレーニングの導入期間でのトレーニングの注意点として最も重要なのが、「疲れを残さないように」トレーニングを行うということです。週に2回程度のトレーニングから高頻度トレーニングに移行すると、今までに経験したことのない疲労感を感じるようになります。この疲労があまりにもひどくなると、扱う重量が軽い導入期前半はセットクリアできても、扱う重量が重くなってくる導入期後半はセットクリアできなくなり、いつまでたっても導入期間が終わらないということになります。

疲労を如何に軽減しながらトレーニングを行うか?ということが、高頻度トレーニングをうまく導入し、適応するための大きなポイントとなってきます。

■必ずあらかじめ決めた回数とセット数でトレーニングを行う
やり直しを活用した高頻度トレーニングの導入では、メイントレーニングではセットベスト-20kgの重量から、サブトレーニングはセットベスト-22.5kgの重量からトレーニングをはじめることになります。このため導入期前半では、トレーニングに物足りなさを感じる人は多いと思います。

しかし、だからと言ってあらかじめ決めた回数やセット数以上のトレーニングは絶対に行わないようにします。例えば、8回狙い×4セットというトレーニング内容であれば、どれだけ8回目が軽く挙がっても絶対に9回目は挙げないようにし、4セットだけでトレーニングを終わる事が物足りないと感じても、きっちりと4セットでトレーニングを終えるようにします。

メイントレーニングの日に余計なトレーニングを行うと、その分だけ疲労が溜まってサブトレーニングに影響が出てしまい、その分だけ疲労が溜まってサブトレーニングに影響が出てしまい、その状態でサブトレーニングを行うと、さらに疲労が溜まって次回のメイントレーニングに影響が出るという悪循環に陥ってしまうのです。

こういったことがないためにも、あらかじめ決めた回数とセット数で必ずトレーニングを行う必要があります。

■インターバルを短くし過ぎない
やり直しを活用した高頻度トレーニングの導入期前半は扱う重量が軽くなります。このため1セット毎の疲労度は軽くなり、回復のためのインターバルも短くなってきます。

セットベストの重量を扱っているときの1セット毎のインターバルが10分だったのに対して、インターバルが7分になるということもあるでしょう。しかし、いくら扱う重量が軽くなったからといって、極端にインターバルを短くするようなことは決してしません。例えば、今まで1セット毎に10分のインターバルを取っていた人が、インターバルを3分にしたとします。確かに、導入期前半であればインターバルを10分から3分にしたとしてもセットクリアは可能かもしれません。しかし、インターバルを短くし過ぎると、無駄に追い込むトレーニングになってしまい、それだけ無駄に疲れてしまいます。こうなるとあらかじめ決めた回数とセット数よりも多くトレーニングを行ったときと同様に、次回のトレーニングに影響が出る悪循環に陥ってしまいます。

また、インターバルを短くし過ぎるということで、1セット目から2セット目、2セット目から3セット目へと、どんどんあらかじめ決めた回数を挙げる余裕がなくなってきて、最終セットがぎりぎり挙がるということもあるでしょう。このようなトレーニングだと確かにトレーニングを頑張ったという満足感はあるでしょうが、次回以降に重量を上げてトレーニングを行うときのことを考えるとどうでしょうか?いくらインターバルを短くしているからといって、最終セットをぎりぎり挙げている状態だと、重量を上げたトレーニングでセットクリアできるイメージが湧きにくいはずです。

これは通常のやり直しでも同じですが、やり直しの前半部分では極力余裕を持ってセットクリアし、「今回のトレーニングでこれだけ余裕を持ってセットクリアできたから、重量を上げても同様にセットクリアできるはず」という、次回につながるイメージを持てるトレーニングを行う必要があります。

インターバルを短くしすぎ、その場の満足感を得るためだけのトレーニングは決して行いません。

■サブセットを行わない
やり直しを活用した高頻度トレーニングの導入期間では、メイントレーニングの日、サブトレーニングの日ともに、メインセット後にサブセットを行いません。これは、サブセットを行ってしまうトレーニング量が多くなり、疲労が溜まり、次回のトレーニングに影響が出てしまうからです。

高頻度トレーニングの導入期間ではメインセットでセットクリアすることに全力を尽くし、メインセットが終わったらバーベルを使ったベンチプレスのトレーニングを終了します。サブセットは導入期間が終了し、高頻度トレーニングに適応できた後に、メインセットに足りない部分を補うトレーニングとして取り入れることになります。

■メイントレーニングの日に補助種目を行わない
基本的にメイントレーニングの日には、ダンベルプレスなどの補助種目は行いません。これは、補助種目が体を作る、回復に時間が掛かるトレーニングとなるためで、補助種目を取り入れる場合は、次の日がオフとなるサブトレーニングの日に取り入れることになります。これは導入期間だけでなく、高頻度トレーニングに適応できた後も同様です。

また、高頻度トレーニングの導入期間中は回復の事も考えてサブトレーニングの日のメインセット後に行う補助種目は一種目に絞り、導入期間が終了した後に必要に応じて種目数を増やすようにします(基本は1種目)

なお、補助種目に関しては導入期間、導入後に関わらず、通常のトレーニング通りの重量を扱うことになります。

以上が、疲れを残さないための注意点になるわけですが、中には「疲れが残らないようにトレーニングを行う意味があるのか?」と思う人もいるかもしれません。確かに、週に2回程度の通常のトレーニングを行っている人が、「強くなるためのトレーニング」として疲れが残らないように注意しながらトレーニングを行っているなら問題があるかもしれません。

しかし、ここではあくまで、「高頻度トレーニングに体を適応させるためのトレーニング」として、疲れが残らないようにトレーニングを行っています。疲れが残らないようにトレーニングを行い、少しずつ高頻度トレーニングに体を適応させることで、扱う重量と共に疲労度が増してくる導入期後半のトレーニングを、疲労を残さずに行えるようになるのです。

『疲れを残さないように高頻度でトレーニングを行うことで結果的に疲れを残さないような体を作る』

これが、やり直しを活用した高頻度トレーニングの導入で最も重要なコンセプトとなります。
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    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

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