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ボディビルがもたらす脂肪燃焼効果について

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掲載日:2017.06.23
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ボディビルのファットバーナーとしての効果

体組成を変えていくという点で、ランニングや自転車こぎ、それにエアロビクスダンス等よりも、ボディビルの方が優れているといえるでしょう。ジムの中を見渡してみてください。エクササイズとして、ただ有酸素運動を行っている人よりも、ウェイトトレーニングを行っている人のほうが締まって見えるはずです。エアロビクスは確かに脂肪を燃やしますが、それには限界があります。僕が強調したいのは、そこのところなんです。

今まで何の運動もしていなかった人が、軽いジョギングを始めたとします。一日に30分。これで最大300キロカロリーを燃やすことができます。徐々に時間を伸ばしていき、最終的にこの人は一日60分行うことにしました。これで約600キロカロリーを燃やすことができます。ただこれだけで、特に食事を変えなくても体脂肪率は落ちていきますが、やがて、本来備わった“遺伝的に決められた点”に達すると、横ばいになります。この“遺伝的に決められた点”というのは、人がこれ以上は脂肪を減らせない、という点のことです(有酸素運動しか行っていない)。男性の場合、それは体脂肪率12~15%の間です。女性の場合は、これより高めで、17~22%です。どんなに有酸素運動を続けても、体脂肪率をこれより低くすることは至難の業です。身体が有酸素運動に適応し、エネルギーをセーブする方向に働くからです。

先程お話しした例に戻りますと、この人が同じ運動を数か月続ければ、以前は600キロカロリー燃やすことができたところが、480キロカロリーしか燃やすことができなくなります。というのも、彼の体がこのエアロビクス運動に適応しようとした結果、60分をもっと効率よく走れるようになるわけです。体は60分で480キロカロリーしか使わないようになり、もっと長く、遠くまで走れるようエネルギーがセーブされるわけです。これが有酸素運動において体が慣れ、上達していく過程なのです。

同じ事が減量についてもいえます。摂取カロリーを減らすと、はじめ体は燃料として脂肪を使います。しかし、ほとんどの減量経験者が知っているように、ある一定の期間が過ぎると、体重の減少が遅くなるか、ストップしてしまいます。これは、カロリーの消費率を落とすことにより、体がカロリー不足の状態に適応しようとしているからです。ここで、仮に食べる量をもっと減らしても、体重の減少はやはり遅くなります。このことは有酸素運動についても当てはまり、たとえ運動し続けたとしても、脂肪の減少は遅くなるかストップしてしまうのです。

この問題に対するたったひとつの打開策が、ボディビルディングなのです。ボディビルは、筋肉を作ります。筋肉の量が多いほど、使われるカロリーも多くなるのです。さてこれから、ボディビルディングが最も優れたファットバーナーだという理由を幾つか述べていくと思います。

◎ボディビルは筋肉を作る
筋肉は代謝が活発です。筋量が多ければ、たとえ何もしなくとも、消費カロリーが多くなります。これとは逆に、脂肪は代謝が鈍く、身体のカロリー燃焼率を落とします。

◎ボディビルは脂肪に対する筋肉の割合を変える
脂肪に対する筋肉の割合とは、文字通り、脂肪に対する筋肉の量の事です。筋量が多ければ、これだけ代謝も速くなるということを思い出してください。筋量が80kgの人は、70kgの人より多くのカロリーを必要とします。これとは反対に、脂肪の量が多ければ、代謝に悪影響を及ぼします。脂肪は代謝を遅らせるので、筋量が80kgで体脂肪率14%の人は、同じく筋量が80kgで体脂肪率10%の人よりも代謝が遅いのです。このように同じ筋量でも、脂肪の量が少ない人のほうが、脂肪の量が多い人よりも、多くのカロリーを燃やすことができるのです。
筋肉の量が多い人ほど、消費カロリーは多くなる

筋肉の量が多い人ほど、消費カロリーは多くなる

◎ボディビルは脂肪よりも筋肉にカロリーが行きやすい状態をつくる
皆さんが取ったカロリーの行き場所はふたつあります。筋肉か脂肪に蓄えられるのです。筋量が多く脂肪の量が少ない人の場合、摂取されたカロリーが筋肉に行きやすい傾向にあります。しかし脂肪の量が多く、筋量が少ない人の場合は、その逆です。つまり、食べたものが脂肪として蓄積されやすい傾向にあるのです。このように、筋量が多く、脂肪の量が少ない状態は、こういったカロリーの分配効果を生むのです。というのは、酸素的、ホルモン的な変化が起こり、筋肉にカロリーが蓄積されやすくなるからです。この分配効果はまた、脂肪の分解に繋がります。以上の結果として、脂肪が減る一方、筋肉は増えるのです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

[ 究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック ]