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挙がるリズムと挙がらないリズム:後編

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掲載日:2021.09.14
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人のリズムを真似をするのは絶対にダメ!!

ウエイトトレーニングにおいても、その他スポーツにおいても自分のリズムを確立した人が良い動きを出来ます。特に格闘技の世界はリズムの制し合いですよね。いかに相手のリズムを崩して自分のリズムで行くか。私も長年空手をやっていたので凄くわかります。
ウエイトトレーニングにおいてはトップリフターのリズムやセッティングの流れなどを真似しがちですが、真似をするのは絶対にやめた方が良いです。自分の中のリズムを確立することに専念した方が結果的に早く高いレベルまで行けます。

リズムに関してはノーリミッツメンバーで過去にこんな事がありました。彼は非常に勉強熱心で人のフォームや練習をジム内でも観察しています。そんな彼が初めての全国大会に出場した時、いつもの調子が出ずになにかリズムが違う動きをしているのです。おかしいと思った私は彼に聞きました。「もしかして試合が始まる前に他のセッションの選手をたくさん見た?」すると彼は「はい、トップリフターがたくさん出てるのでしっかり試技を見てました。」

彼のリズムが変わった原因はそれでした。ノーリミッツジム内でいつも知っているメンバーのトレーニングを見る分にはそれほど影響はないですが、初めて目にする様々な選手の試技をたくさん見てしまったことによって彼の中でのリズムが引っ張られてしまい、自分のリズムを見失ってしまったのです。

このようにリズムは引っ張られてしまうので、自分と違うリズムを持った選手の試技などをたくさん見る場合は注意した方が良いです。特に試合の前などはやめておいた方が賢明です。
ではそんなリズムですが、ウエイトトレーニングにおいて主に考えられるリズムの違いをいくつか上げてみましょう。

・動作のリズム
・レップ間のリズム
・インパクトのリズム(タイミング)
・セッティングの流れのリズム
・呼吸のリズム


大きく分けるとこの5項目でしょう。

ではこれらの項目を詳しく解説して行きます。

動作のリズム

スクワットであればしゃがみのスピードや立ち上がりのスピード、ベンチプレスなら降ろしのスピードや押しあげのスピードのリズムです。人によってはゆっくり動作しているように見える人もいるし、素早く動作しているように見える人もいます。
動作のリズムで大事なのはしっかりとコントロールした中で一番早いリズムで行うという事です。そのリズムが人によって速かったり遅かったりと違いがあります。言葉で表すと「スッ!」とか「グッ!」という速い感じだったり、「スーッ」とか「ググーッ」という遅い感じや伸びのある感じだったりします。

私はどちらかというとかなり早い動作のリズムなのですが、力強くぐぐぐーっと挙げてくる人のリズムを見るとよくあんなリズムで挙げられるなと感心します。逆に遅いリズムでしか動けない人は私のように素早いリズムの動作を良く出来るなと思っているかもしれません。

レップ間のリズム

回数を反復する際のレップ間のリズムです。人によってレップとレップの間が短い人もいれば、逆に長い人もいます。例えば1~8を数える場合のリズムで、「12345678」とつなげた感じのリズムの人もいれば、「1・2・3・4・5・6・7・8」と区切る感じのリズムの人もいます。

トレーニングの動作でもつなげた感じでレップをこなす人もいれば、区切ってレップをこなす人もいます。これも自分のリズムを維持した中でレップをこなした方が結果的に良い動きにつながっていきます。

インパクトのリズム(タイミング)

スクワットであればしゃがみから立ち上がるボトムの切り返しの部分、ベンチプレスなら胸からの切り返しなどがインパクトです。その部分のリズムというかタイミングも人それぞれ違います。

例えばスクワットの場合、切り返しの直前でインパクトを出す人もいれば、切り返した直後にインパクトを入れる人もいます。その部分のタイミングを自分のタイミングにしないとインパクトが出ないとも言えます。

ノーリミッツでパーソナルトレーニングを行っていると、リピーターの方から良く言われる言葉で、「三土手さんに気合を入れてもらうとなぜか挙がるんです。」という事を言われます。実はこれには秘密があって、私はお客様のタイプに応じたタイミングでインパクトの瞬間に気合を入れているのです。なので、ここで力を込めるというタイミングが取りやすいのと、外部からの気合でも脳が活性化されて出力が出るので私の気合だと挙がりやすいのだと思います。

セッティングの流れのリズム

例えばベンチプレス。ベンチプレス台に座ってラックアップするまでのセッティングの流れも一つのリズムです。じっくりとセッティングしないと自分のリズムを出せない人もいますし、パッパッとセッティングしないとリズムが出せない人もいます。

デッドリフトのシャフトを握ってから引きはじまるまでのセッティングのリズムも大切です。軽い重量の時はサッと握って引き始めるのに、高重量になると握ってから何度も腰を上げ下げしたり、シャフトを何度も握りなおしたりとセッティングのリズムがバラバラになる人がいます。

セッティングで大切なのは軽いウォーミングアップの時も高重量に挑戦する時も同じリズムでセッティングすることです。それがしっかりと出来る様になると動作にかなりの安定感が生まれます。

呼吸のリズム

最後に呼吸のリズムです。呼吸のリズムも大切な要素です。自分のリズムと違う呼吸のリズムを行うと当然その先の動作も悪いリズムを引きずって行ってしまいます。
呼吸も区切るようにため込んで行うリズムの人もいれば、一連の流れの中で呼吸をするリズムの人もいます。

基本的に呼吸に関しては作り込まずに自然な自分の呼吸を行う事が大切です。そうすると自然に良いリズムで出来るはずです。ただし、そもそものフォームやセッティングが出来ていなく、動作をするのに不十分な体勢からだと呼吸も不自然になりがちです。そのような場合は作り込んだ呼吸をしてしまう事が多いのですが、呼吸を見直すよりもその手前の自分の状態を見直さなければなりません。

以上リズムについて解説してきましたが最初にも述べたようにリズムは非常に重要な要素です。重要度的には最上位にあるといっても過言ではないでしょう。正しい身体の使い方と正しいリズム。これが最高のパフォーマンスを生みます。

ちなみにここまで解説した様々なリズムのパターンは4スタンス理論に当てはめるとバッチリ当てはまります。面白い位に。
自分のリズムが自分自身良くわからないという人は是非一度ノーリミッツで私のパーソナルを受けてみて下さい。あなたにとって最適なリズムをしっかりと指導いたします。
  • 三土手 大介
    No Limits代表・レッシュマスター級トレーナー
    一般社団法人レッシュ・プロジェクト理事
    1972年8月26日生まれ
    神奈川県横浜市出身
    120kg超級
    4スタンスタイプ「A2」

    <打ち破ってきた限界の数々>
    スクワットで日本人初の400Kgオーバー
    ベンチプレス日本人初の300Kgオーバー
    トータル日本人初の1トンオーバー
    4つの世界タイトル獲得(世界パワーリフティング・世界ベンチプレス・ワールドゲームズ・アーノルドスポーツフェスティバルPRO BENCH)
    全日本パワーリフティング選手権 優勝20回
    全日本ベンチプレス選手権 優勝18回

    <ベスト記録>
    スクワット435kg
    ベンチプレス360kg
    デッドリフト320kg
    トータル1060kg
    ベンチプレス125kg級世界記録322.5kg
    ベンチプレス125kg超級世界記録360kg
    (IPF旧階級絶対重量世界最高記録)
    スクワット、ベンチプレス、トータル
    旧125kg級、旧125kg超級、120超級日本記録保持者