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【街ジム訪問】元警察官が作った幻のジム!!中山トレーニングジム タフネス

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掲載日:2017.08.22
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横浜線中山駅から歩いて約6分。3階建て住宅の1階にあるのが中山トレーニングジム タフネスです。

なんだかとってもプライベートな感じの空間。入っていいのかな? そんな不安にかられながらそっと扉を開けて「こんにちは……」。

室内は木の温かみがある、居心地の良いトレーニングジムです。こちらのジム、実は幻のジムとも言われているそう。それは何故なのでしょう? 会長の上野宏紀さんにお話を伺ってきました。
元警察官だったという会長の上野宏紀さん。ジムに通いたいという人は誰でもウェルカムという温かいお人柄です。

元警察官だったという会長の上野宏紀さん。ジムに通いたいという人は誰でもウェルカムという温かいお人柄です。

室内は木目で落ち着いた雰囲気。

室内は木目で落ち着いた雰囲気。

ダンベルもズラリ。

ダンベルもズラリ。

一番重いダンベルは65kg!

一番重いダンベルは65kg!

柔道の補助としてウェイトトレーニングを始めた

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■上野会長がウェイトトレーニングを始めたきっかけはなんだったのでしょう?

今は退職しましたが、私は警察官でした。中学・高校と故郷の鹿児島で柔道をやっていて、警察官時代も柔道で強くなるための体づくりとしてウェイトトレーニングを取り入れたのです。

70kg級にいたのですが、ミュンヘンオリンピックで銀メダルを取った人とか、強い選手がたくさんいましてね。それで強くなるために体づくりをと考えたんです。

ところが当時、柔道の選手はあまり筋トレをやると体が硬くなるのでやらない方がいいというのが定説でした。

私が体を大きくするためにウェイトトレーニングをやることには否定的な人たちが多かったんです。でも私は、そこまで言うなら私自身がその定説が間違っていることを身をもって証明してやろうと思い、トレーニングをするためにジムへ通ったのです。

ジムにはキックボクシングやら、レスリングやら、相撲取りやら、いろいろな世界の人たちがいました。私はキックボクシングも習ったりもしながら、ウェイトトレーニングに励んだんです。

勤続45年の警察官が趣味のために作ったプライベートジム

■中山トレーニングジム タフネスを始められたきっかけは?

ウェイトトレーニングを始めてから私は体も大きくなり、柔道も強くなっていきました。筋肉もついて87kgまで増え、そんな私を見て真似してウェイトトレーニングをする仲間が増えていったんでんです。
現場にはあまりいない幹部までもがトレーニングにはまっていきました。

私がいた警察署はあまり強いところではなかったのですが、署内のウェイトトレーニングの流行に火をつけたような形になり、全国大会で準優勝するまでになったほどです。

警察官の逮捕術の大会というのもあるのですが、投げや突きがあったり、総合格闘技みたいなものなんですね。20代後半にはその全国大会の選手として2年間を過ごし、全国で3位になったこともありました。

私は最初ポケットマネーで、署に簡単な機材を入れたりして、非番のときにトレーニングをしていたんです。

体を鍛えることも警察官の仕事の一つだったので、最終的にはきちんと予算に組み込んでもらって、今では多くの署にトレーニング機材が当たり前のようにあるのではないでしょうか。

やがて私も結婚をし、子供もできて家を買うときに、この1階をジムにしたのです。警察官は副業はできないので、妻名義の、あくまでもプライベートジムとしてでしたが、将来的にはジムを経営したいと思っていました。

自宅にジムを作ろうと思ったのはもう一つの、私が通っていたジムの影響があるんです。あるときランニングをしていてふと見つけたジムが、自宅の1階にあるガレージを改装して作ったジムだったんです。

そこの会長は自分で家も建て、器具も作成してジムを自分で作った人で、中山トレーニングジム タフネスよりももう少し小さいジムでした。手作り感満載のジムで、集まってくる人はボディビルをやっている人がたくさんいて、とても楽しい空間でした。
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■上野会長は柔道をやりながらボディビルもご経験がおありだそうですね。

そこでボディビルを身近に知ったので、素人の私から見れば体格もそんなにかわらないし、私が出てもそこそこいけるんじゃないか、なんて思ってしまったんです。それでボディビルのトレーニングは何もしないまま、大会に出場しました。結果は……、予選落ち(笑)。

体つきはそんなに変わらないと思っていても、審査員の目から見れば全然体ができていなかったのですね。絞りもしないで出てしまったんです。

苦い経験でした。それからボディビルディングのトレーニングの勉強をし、体を作っていきました。


そのジムで知り合ったミスターアポロ(現ジャパンオープン)で優勝しているトレーナーの人から細かいところまでいろいろな情報を頂き、指導してもらったんです。

翌年には県大会5位、その次の年には3位と着実に順位はアップしていきました。一番いいときは全国大会にも行けましたね。トレーニングは結構好きだったのでこれを契機に柔道とボディビル、二足のわらじを履くようになりました。

柔道だけをやっていても、体が小さくなってしまっては筋力が落ちて弱くなってしまうような気がして不安だったんです。

ウッディーな内装は自分でDIY

室内の木の内装は会長自らが手がけたもの。木をバーナーで炙ることによって湿気を吸いやすく、トレーニングに快適な空間が作られています

室内の木の内装は会長自らが手がけたもの。木をバーナーで炙ることによって湿気を吸いやすく、トレーニングに快適な空間が作られています

■中山トレーニングジム タフネスは内装に木を使っていらして、すごく落ち着きますね。全てご自分で作られたとか?

45歳のとき、念願のマイホームを手に入れました。公務員だし、大きな買い物ですから結構勇気はいりましたよ。

その頃は私も仕事が忙しくなり、トレーニングに通える時間も少なくなってきたんです。それで自宅にトレーニングジムを作ろうと思いました。

1Fはもともと2つの店舗があったのですが、仕切りの壁をぶち抜いてシャワールームを作るなど、ジムにするために自分で少しずつ手を加えて作っていったんです。

もちろんそれを手伝ってくれる人もいましたけど、父親が林業をやっていたので子供の頃からノコギリや釘打ちも得意だったんです。

自分で木の板を打ち付けて、バーナーで炙りをかけました。そうすることで湿気を吸い取ってくれるようになり快適な室内を保つことができるのです。
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会員の靴を置く棚も自分で作りました。靴も増えてきてぎっしりなのでまた作らなくてはと思っていたところです。木のぬくもりがいいでしょう? 私は木の感じが好きなので、自分好みのジムに仕上げました。

機材も20年前に一式全てを揃えてからそのままずっと使っています。壊れたりしたときは自分で修理して。

以前、壊れた時にメーカーに問い合わせたことがあるのですが、もう10年以上も前に購入した機材だし、メーカーの対応にもとても時間と手間がかかることが分かったので、だったら自分で直してしまおうと。

鉄材を購入して、知り合いの加工所で加工してもらったり、長年使って焼き付いてしまったベアリングを交換したり。
300kgもの重量でデッドリフトする人がいたので、バーが曲がってしまったことがありましてね。そのときはてこの原理を利用して、逆に力をかけてバーをまっすぐに直したりも自分でやってきました。

ひっそりとトレーニングをしていた場所にクチコミでトレーニング好きな仲間たちが集まるように

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■プライベートな仲間でひっそりとやっていた隠れ家的ジムだそうですが、どのような人たちがいらしたのですか?

公務員でしたので、最初はジムとして公開はしていませんでした。でもここはガラス張りのドアですし、中に機材が置いてあるのが見えるし「なんなんだ?」と覗いて来られる方がちらほらいたんです。

最初は自分と知り合い、高校の柔道の後輩たちなど10人くらいで利用していたのですが、最初に訪ねてきたのは、中学生でした。いろいろなジムを訪ねたそうなのですが、まだ未成年だからダメと断られたそうです。

ここはあくまで個人的なジムでしたからね。それなら、ここで練習すればいいということで彼も通ってくるようになりました。
他にもこの近くの高校球児たちが、学校には体を作るためのウェイトトレーニングできる機材がないということで、ここを訪れるようになったんです。

指導をしていくうちにみるみる体が出来てきて、その中の一人は甲子園まで行きましたよ。とても嬉しかったですね。

そんな風に別に宣伝もしていないのですが、いろいろな人が「ここは何? 」といった感じで、プロレスラーや、パワーリフターなどが集まってくるようになったんです。

1番多かった時は100名近くが通っていたんじゃないでしょうか。今はきちんと料金を統一して会費制になっているので、それでも70名ほどですかね。女性で通っている方もいます。

都市伝説!? まことしやかに噂された幻のジム

壁にはタフネス所属の選手の活躍する姿も。

壁にはタフネス所属の選手の活躍する姿も。

■こちらにはすごい選手もたくさんいらっしゃると伺いました。

ご覧いただいて分かるようにここはスペースも限られているし、純粋にトレーニングをする場所です。ですから会員の方もトレーナーさんだったり、大会を目指してトレーニングをしている人だったり、トレーニングをしっかりとやりたい人が中心ですね。

初心者の人は大体10%くらいです。トレーニングの経験が浅い人は私がジムに居られる時間に合せて来ていただいて、体の鍛え方や機材の使い方、正しいフォームなどを指導するようにしています。

最初は警察官だったのでこちらのジムも妻の名義でしたし、JBBFにも登録していませんでしたから、どこにも名前を出していなくて。それでもボディビルの強い選手がいたりして、幻のジムと言われていたようです。
会員の藤原さん

会員の藤原さん

同じく米山さん

同じく米山さん

(藤原・米山)金城さんという210kgのアームカールをやる伝説の人がいるんですが、その人が通うジムが中山にあるという噂が流れたんです。

それでこのあたりに住んでいるボディビルダーが何人も必死で探し回ったんですけれど、見つからない。ネットで検索しても公表していないから当然出てきません。もうこれは都市伝説じゃないかと言われるくらいでした。

で、この近くにたまたま車を買いにきた福田君(現会員)が、そこで「この辺に幻のジム知りませんか?」という話をしたら、すぐそこにあると聞いたんです。

あれだけ探して見つからなかったジムがあった!!! ということで、私たち押しかけたんですよ。それがここタフネスでした。

会長に「ここに金城さんがいらしていたというのは本当ですか? 」と伺ったら、「おぅ、金ちゃんな。アイツ、俺の友達なんだよ」って(笑)。

柔道の整骨の知識やテーピングなど、体の仕組みを分かった上での指導

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■意外なんですが、上野会長がJBBFの指導員の資格を取られたのはほんの数年前ですね。

警察官を定年退職して、初めて公にやろうということになって、JBBFに登録して指導員の資格を取ったのは今から2年ほど前のことです。

そうして福田選手のような東日本優勝するような選手も来てくれるようになって、たくさんのハードトレーニーが今ではここでトレーニングをするようになったんです。

資格のための勉強もすごく良い経験になりました。
指導する上ではずっと柔道をやっていたので整骨の知識もあります。解剖学や筋肉の構造が分かることは理論的な指導だけでなく体のメンテナンス的なこともできるので体を壊しにくいトレーニングができます。

今まで自分で検証してきたトレーニング方法や食事の指導、テーピングの仕方の指導などもしています。

JBBFのセミナーで得た知識も大変濃い内容で、さらにパワーアップできた感じです。このような知識と経験を生かして指導をしています。

ボディビルをやっている人はいかに筋肉を落とさずに脂肪を落として体を絞るかが大切で、トレーニングのやり方も元の体つき骨格によっても変わってきます。

誰でも高重量低レップスというわけにはいきません。痩せている人は低重量高レップスでないと体が発達しにくかったりするんです。その人の体格や性格を見ながらですね。

人が言ったことをそのまま鵜呑みにすればいいというものではありません。トレーニングに秘訣はありません。最終的には本人のやる気次第。自分で考えて自分に合った方法を見つけ出さなくてはならないというのが私の考えです。

すごい選手がやっているから、今このトレーニングが流行っているから、という理由では成功はしません。やり方を押し付けるのではなく、自分で方法を見つけ出して欲しいと思います。

噂を聞きつけて、プロレスラー、キックボクサー、ボディビルダー……トレーニング好きが次々と集う

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こちらに通う人達はやはり専門的なトレーニングをしたい人が多いですね。
藤原さんも米山さんも指導者の資格を持っていらっしゃるし、アメフトをやっていたトレーナーの方もいらしていました。

ボディビルダーの大会に出る人はタフネスからは、15人くらいかな。大会に上位になる人も多いですよ。

とても小さなジムなんですけど、金城さんや福田くん、パワーリフティングで県大会優勝の藤原くんのような、いろいろなチャンピオンも通ってくださっています。

他のジムであまり教えてもらえなかったという人もいらっしゃいます。facebookでお問い合わせいただいて、自分一人ではできないということだったんです。

それで、私がいるときにジムに来て頂くという話になって、マンツーマン体制でトレーニングしています。3ヶ月くらいになりますが、ずいぶん体が変わってきましたよ。

特に別料金というわけではなくて、私の時間と合えば、その方の目的に合わせて指導もしっかりしています。

24時間、いつでも自由に使っていいジム

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■中山トレーニングジム タフネスの営業時間はどのようになっていますか?

うちは営業時間を決めていないんです。入り口はシャッターを閉めているんですが、勝手に開けて電気つけてトレーニングして。
帰るときは電気を消して水道を確認して、シャッターを閉めて帰ってもらうというシステムになっています。

中には夜遅くに来られる方もいますよ。
夜遅いときはご近所の迷惑にならないようにシャッターを静かに開け閉めしてね、と話しています。

プロレスラーの人たちは真夜中にトレーニングに来ますよ。彼らも、この近くに住んでいて、たまたまガラス越しにうちの機材を見つけたらしいんですよ。

窓から機材をじっくり覗き込んで、ウェイトが1トン以上もある! ダンベルも65kgがあるよ!! ということで通うようになったんです。

ですから、タフネスはいつ来ても電気が付いていてトレーニングしている。
「いったいいつまでやっているの?」とよく聞かれるんですが、何時まででもやっています。会社帰りに背広を脱いでちょっとトレーニングして帰る人もいるんです。

中山トレーニングジム タフネスが目指すところは

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■上野会長が目指す中山トレーニングジム タフネスの姿はどのようなジムでしょう?

遠慮なく誰でも入れて、ベテランが幅を利かすようなことがなく楽しくトレーニングしながらみんなが成長していけるジムを目指しています。
初心者の人でも平等にトレーニングできる環境にしたいです。

干渉しすぎない、大人の良い距離感でトレーニングができるジムだと思いますよ。

あとは礼儀は重んじています。
変な先輩後輩といった関係ではなくて、私は柔道をやっていたので、挨拶がきちんとできるようにということはよく口にしていますね。


---お話を伺った上野会長もトレーニングをしていた会員の藤原さん、米山さんもとてもフレンドリーであったかい雰囲気。楽しくトレーニングできるのが伝わってきました。

警察官として体を鍛えながら過ごした45年は莫大な知識と経験が蓄積されているようです。

ここはいつでも誰でも気兼ねなくトレーニングができる環境で、会長のオープンな人柄でいろいろなアスリートやチャンピオンが自然と集まってくるジム。

大きなトレーニングジムはちょっと行きにくいけど、きちんとトレーニングをしたいという人、中山トレーニングジム タフネスをぜひ訪れてみてください。他のジムでは味わえない、独特の居心地の良さがあるジムでした。



文 Aya Wada


今回取材にご協力頂いた
中山トレーニングジム タフネス の情報はこちら
facebook

■住所
〒226-0011 神奈川県横浜市緑区中山町313-7
最寄り駅:横浜線 中山駅 徒歩6分

■電話番号
 045-933-4588

■営業時間
 会員は24時間利用可能


■会費について
詳細はfacebookページもしくはお電話にてご確認ください。